野球部を応援する謎の青年
野球部を応援する謎の青年 ~ なぜ多良木高校野球部を応援するのか
多良木高校野球部の試合会場で、その青年に気付いたのは昨年の春でした。野球部の試合の応援に行くと、スタンドでよく見かけるのです。多良木高校の応援団の近くの席に居る方なので、最初は卒業生だと思っていましたが、野球部の保護者の方たちによると、「卒業生ではない、多良木町や球磨郡出身でもない」、しかし「多良木高校野球部を応援したい大学生」とのことでした。
名前はTさんと云い、県北にある大学に在籍していて、とにかく多良木高校野球部を応援したい一心で熊本市の藤崎台球場、八代球場と駆けつけてくれる奇特な方で、次第に、この学生さんのことは野球部員や保護者の方、そして応援に来られる多良木町民の間で知られるようになりました。今年度に入ると、多良木高校野球部応援隊のシャツを着て、Tさんは野球部保護者の応援の輪に入って声援を送り、共に喜び、悔しがり、多良木高校野球部の応援席にはなくてはならない存在になりました。私も球場スタンドで会うたび、笑顔で挨拶を交わすようになりました。
さて、今、秋の熊本県高校野球選手権大会の開催中です。去る9月25日(日)、県営八代球場で多良木高校野球部は水俣高校と2回戦を戦い、9対2で勝利しました。この試合でも、Tさんはスタンドに来て、私たちと一緒になって熱烈な応援をしてくれました。試合後、Tさんが私に、なぜ多良木高校野球部を応援するのかという理由を語られたのです。Tさんは旧蘇陽町(現山都町)出身で、熊本県立蘇陽高校の卒業生でした。蘇陽高校は生徒数の減少に伴い、「県立高等学校再編整備等基本計画」により、平成24年3月末日をもって61年の歴史に幕を閉じました。この最後の学年19人の一人がTさんでした。母校が閉校となる寂しさ、口惜しさを体験したTさんにとって、同じ定めの多良木高校野球部を心から応援したいとのことでした。「僕もこの秋は就職活動をしなければなりません。神戸で就職するつもりですので、甲子園で待っています。」とTさんが言われました。
閉校まであと2年ですが、多良木高校野球部はTさんの思いも受けて夢の甲子園出場に向けて果敢に進んでいきたいと思います。
県営八代球場
登録機関
管理責任者
校長 粟谷 雅之
運用担当者
本田 朋丈
有薗 真澄