校長室からの風(メッセージ)

藤崎台球場の夏

藤崎台球場の夏 ~ 第98回全国高等学校野球選手権熊本大会開幕

 7月10日(日)、熊本市の藤崎台球場で第98回全国高等学校野球選手権熊本大会の開会式が行われました。4月の大地震の影響で、藤崎台球場の施設の一部に被害が生じ、同球場での夏の大会予選開催が危ぶまれましたが、修復、安全点検が間に合い、熊本県高校野球の中心地である藤崎台球場での開会式に至ったのです。

 雨上がりの曇天の下、午前10時20分から出場校63校の選手入場が始まり、35番目に多良木高校の選手達がはつらつとした態度で行進しました。今年の大会は、熊本地震の復興の中での開催ということで全国から注目されています。入場行進では、「がんばろう九州」の横断幕も掲げられ、日本高野連会長の八田英二氏も駆けつけられ、選手達にエールを送られました。

 出場校の中には、グラウンドをはじめ学校の施設、設備が被災して、2週間から3週間にわたって休校となった所もあります。避難所となった学校もあります。選手達の中には、自宅が被災して避難所または自動車の中での生活を余儀なくされた人もいます。そのような苦しさを体験した多くの高校生の、それでも好きな野球をしたいという意志が原動力となり、大会が始まるのです。

 外野席の背後には、国の天然記念物に指定されている7本の大楠が立っています。樹齢千年に及ぶと伝えられる巨樹群は、幾多の戦乱、自然災害を経験してきたことでしょう。これらの大楠に見守られながら、高校球児が藤崎台球場で躍動し、ひたむきなプレーを繰り広げます。青春賛歌の「栄冠は君に輝く」を口ずさみながら、選手達に惜しみない拍手と声援を送ります。

「雲は湧き  光あふれる

                 天高く  純白の球  今日ぞ飛ぶ

                 若人よ   いざ

                 まじりは  歓呼に応え

                 いさぎよし   ほほえむ希望

                 ああ栄冠は   君に輝く」
                
(作詞:加賀大介 作曲:古関裕而)