校長室からの風(メッセージ)

生徒の笑顔 ~ 「97年間の末っ子たち」

 

 

 3月1日(金)の卒業式では涙を見せる生徒もいましたが、翌日の閉校式では生徒に涙はありませんでした。皆、明るく、笑顔でした。

 閉校式で生徒代表挨拶を務めたのは古堀廉大君でした。ご両親が多良木高校卒業生である彼は、東京の中学校を卒業し入学してきました。そして、野球部と勉強の両立に取り組み、3年間自らを厳しく律し生活してきました。千人近い聴衆を前にしても、野球部のエースだった古堀君は動じることなく、立派な態度でした。挨拶の中で、多良木高校最後の学年として注目され続けたことへのプレッシャー(重圧感)に言及しながら、「全力を尽くしました」と述べたところが印象的でした。

 生徒合唱『いつまでも』は、まさに閉校式の圧巻の場面でした。遠く離れても故郷を想う気持ちを、伸びのある声で生徒たちは心を込めて歌いました。その歌声に、会場では目頭を押さえる人の姿が多く見られました。ステージ上の67人の生徒たちは輝いて見えました。そして、歌い終わりピアノの後奏の間に、白い晒し布で「一生多高生」の文字をつくり、「私たちは、一生、多高生!」と力強く宣誓し、会場から惜しみない拍手が沸きました。閉校式においても生徒たちが主役となった瞬間でした。

 歌『いつまでも』の作者である音楽家のタイチジャングルさんが閉校式に出席してくださいました。学校としては誠に有難いサプライズ(驚き)の出来事でした。式終了後、タイチジャングルさんから生徒たちに声を掛けていただき、一緒に記念撮影を撮ることができました。

 閉校式後、生徒達はより明るく、元気で、お互い笑い合っていました。恐らく、彼らは「やっと多良木高校のアンカーとしてゴールテープを切った」という達成感に満たされていたのだと思います。そして、自分たちの言葉、歌声、立ち居振る舞いに、多くの同窓生や地元住民の方が感動されたことを実感していたのでしょう。彼らは「多良木高校97年間の末っ子たち」です。

 愛すべき「末っ子たち」の皆さん、多良木高校に忘れ物はありませんか?

 学校は最後の春休み中です。もう忘れ物を取りに行けない時が近づいています。