校長室からの風(メッセージ)

閉校記念誌の完成

 

 多良木高等学校閉校記念誌が完成して、2月14日(木)の午後、印刷会社から本校へ納品されました。サブタイトル「人生(よ)の幸福(さち)やがて茲(ここ)に生れん」は校歌の一節から取ったもので、表紙の墨書は本校書道担当の土肥先生にお願いしました。表紙写真は、学校正面玄関を斜めの角度から撮り、裏表紙は九州山地を背景に二棟の体育館と校舎が写っています。どちらも爽やかな白雲と広い青空が印象的な明るい仕上がりになっています。

 この閉校記念誌は昨年の1学期から同窓職員を中心にチームをつくり作成に取り掛かりました。同窓会とPTAからも担当の方が編集作業に加わっていただきました。そして、編集方針として「写真集」を目指そうということになりました。本校には戦前の女学校時代の古い写真が少なかったため、同窓生や地域の方に御協力を呼び掛けたところ、貴重な写真や資料の御寄贈、御寄託が相次ぎました。現存する最古の卒業アルバムは昭和8年「熊本縣立多良木實科高等女學校」卒業のものです。卒業生は47人。針やミシンでの裁縫や調理の実習、そして農作業、修学旅行などセピア色の写真から昭和初期の青春が伝わります。

 大正11年(1922年)に上球磨地域の九ケ村組合立の女学校として創立、戦後の学制改革で男女共学の高等学校として再出発、施設拡充のため昭和43年に現校地に移転、平成に入って生徒数が減少するも地域にとって大きな役割を果たしてきた学校でした。平成31年(2019年)に閉校となり、97年間の歴史に幕を下ろしますが、いつの時代も地域と共に在った学校でした。

 閉校記念誌の冒頭部分では、県教育委員会の宮尾教育長、歴代の校長先生方の玉稿が並びます。そして20頁から185頁まで「多良木高等学校思い出の97年」として、主に卒業アルバムからの生徒写真が卒業年次ごとに続きます。ページをめくりながら、写真の中の女学生、高校生の視線の先には何があるのだろうと考えました。それはやはり「未来」だったのだろうと思い至りました。多良木高校は、若人たちが未来に向かって夢を育んだ学び舎だったのです。