校長室からの風(メッセージ)

福島への修学旅行出発

福島への修学旅行出発

  1月16日(月)から2年生67人と修学旅行に行きます。多良木高校の修学旅行は2年前から福島と東京を巡るコースと決めています。多良木高校にとって最後の修学旅行になる来年も福島を訪ねます。どうして福島県を訪れるのでしょうか。スキーは長野県でもできます。しかし、東日本大震災そして福島第一原子力発電所事故という未曽有の困難に見舞われた福島県の今の様子を直接見て、現状を知ることは未来を担う高校生にとって大きな意義があると考えるからです。福島の今、そして未来を見るための修学旅行です。

  昨年4月、熊本県でも大きな地震が発生し、日常のあたり前の生活ができることがいかに幸せであるかを実感しました。東日本大震災発生からやがて6年となり、震災に関する報道に接することも少なくなりました。福島県の人々は、地震、津波に加え、福島第一原子力発電所事故と三重苦に襲われました。沿岸部の双葉町、大熊町、浪江町、富岡町などは未だに放射線量が高く、帰還困難区域となっている所があります。一方、福島県内の多くの地域では復旧・復興が進み、放射線量も九州と変わらず、健やかな日常生活が行われています。しかしながら、風評被害で農林水産業や観光面で苦しんでいると言われます。

  実際に福島県を訪れ、正しく理解し、若い感性でもって共感してほしいと願います。福島県は、全国の都道府県で三番目に面積が広く、沿岸部から内陸、そして山間部と多様で豊かな風土があります。先ずは初日、「浜通り」と言われる沿岸部の拠点のいわき市を訪問し、水族館「アクアマリンふくしま」で環境学習を行います。そして「中通り」の県中央部へ移動し、岩瀬郡天栄村の羽鳥湖スキー場で2日間スキーを楽しむ予定です。

  昨年秋、「群青」という合唱曲を全校生徒で歌いました。福島県南相馬市立の小高中学校で2013年に生まれた歌で、福島第一原発事故によって多くの生徒及びその家族が全国に離散するという悲しい出来事を背景につくられました。今思えば、「群青」を全校合唱したことは、修学旅行の何よりの事前学習となったのではないでしょうか。「群青」の旋律、そして歌詞を思い出しながら、私たちは福島へ旅立ちます。 


           グランディ羽鳥湖スキーリゾート(福島県岩瀬郡天栄村)