校長室からの風(メッセージ)

アイルランドから連想すること ~ アイルランド人のALT着任

アイルランドから連想すること ~ アイルランド人のALT着任

 新しいALT(外国語指導助手)のCharles Edwin Merchantさん(男性)が着任され、8月9日に校長室でお会いしました。「チャールズ先生です。よろしくお願いします。」と流暢な日本語での挨拶には驚かされました。高校時代に第二外国語で日本語を学び、それから日本のことに興味、関心が高まり、ALTとして日本で働くことを希望することにつながったそうです。チャールズさんはアイルランドから来ました。ALTの出身国は、USA、イングランド、カナダなどが多く、アイルランド人のALTは私にとって初めてです。

 アイルランドという国名を聞いて連想するのが、アイルラン出身の作家ジェイムズ・ジョイス(18821941)の作品『ダブリン市民』です。アイルランドの首都ダブリンを舞台とした短編小説集で、中でも「死せる人々」は印象深く心に残る物語です。30年前の大学生の頃に読み、感銘を受けました。

 また、熊本市には、熊本アイルランド協会があり、熊本とアイルランドとの交流活動を行っています。「熊本市になぜアイルランド協会があるのか?」と疑問を持たれる人もいるでしょう。それはラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の存在に由来します。『怪談』をはじめ諸作品で日本の伝統文化を欧米に紹介したラフカディオ・ハーンの父親はアイルランド人で、ハーンは幼少期をダブリンで過ごしているのです。ハーンは明治24年に熊本へ赴任し、第五高等中学校(熊本大学の前身)で教鞭をとり(英語を教授)、明治27年まで熊本で生活をしています。軍都として発展しつつあった熊本の街には違和感を抱きながら、「簡易で、善良で、素朴な」熊本の人々の精神をハーンは高く評価しました。ハーン一家が住んだ家は「小泉八雲旧居」として熊本市に保存されています。

 このように、ジェイムズ・ジョイスの『ダブリン市民』の読書体験やラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と熊本の関係を思い起こすと、アイルランドに対して私はとても親近感を抱きます。初めてアイルランド人と一緒に仕事ができるということで、何かわくわくします。新ALTのチャールズさんはとてもフレンドリーな方ですから、きっと生徒たちもすぐに親しむことでしょう。