校長室からの風(メッセージ)

歴史の大きな流れの中で

歴史の大きな流れの中で

 今年は西暦2018年、平成30年です。歴史の面では、明治維新150年ということで注目されています。西暦1868年は元号で言えば慶応4年でした。前年の10月に徳川幕府は朝廷に政権を返上、いわゆる大政奉還を行い約260年続いた徳川幕府の時代は終わりました。そして正月3日、京都近郊の鳥羽伏見で、薩摩藩、長州藩を中心とする新政府軍と旧幕府軍が戦って新政府軍が勝利し時代は大きく動きます。4月には旧幕府側は江戸城を戦わずして新政府軍に引き渡し、7月には江戸は東京と名称が変わりました。9月に慶応4年は明治元年に改元されたのです。そうして一世一元の制が定められます。一代の天皇御在位の間は一つの元号とするもので、それまでは不吉なできことや大きな災害が起きると元号を頻繁に変えており、中には一年で変わった例もあります。ちなみに最初の元号は大化です。西暦645年の大化の改新で知られています。

 一世一元の制によって、明治、大正、昭和、そして平成と続いてきましたが、現在の天皇陛下は来年の4月30日に退位され上皇となられ皇太子が即位されます。平成の世は31年で終わることが決まりました。平成は私たち大人の時代でした。
 昭和天皇が昭和64年1月7日早朝に崩御され、元号が平成に変わった時、私は高校教諭2年目でした。以来30年、熊本県の教育公務員として働いてきましたが、人間一人が体験できる世界とは非常に限られたものだと実感しています。もっと広い世界がある、出会っていない多くの人がいる、私の知らない物語があることはわかっています。自分の経験などは誠に小さいものでしかありません。だからこそ、人は学び続け、本を読み、旅をして新しい扉を開けていく努力をしていくものでしょう。歴史を勉強する意義もそこにあると思います。

 私たちは誰しも歴史と言う時間の流れの中間ランナーなのだと思います。前のランナーからバトンを受け取り、次のランナーに渡していく存在としてあるのだと思います。平成という時代を大人として生きてきた私には、次の時代を生きる生徒の皆さんにバトンを渡さなければいけない責任を感じています。


          雪景色の九州山地(1月11日多良木高校からの遠望)