校長室からの風(メッセージ)

瞬間の世界に挑む ~ 陸上100競技


瞬間の世界に挑む ~ 陸上100m競技

 3年1組の三浦恵史君が熊本県高校総体陸上100mで優勝したことで本校も脚光を浴びました。三浦君の快挙を伝えた新聞記事には「多良木高校として32年ぶりの優勝」とありました。改めて、男子100mの歴代優勝者を調べてみると、確かに昭和60年に「西 和任」選手が10秒90で優勝の記録が残っています。さらに遡ると昭和49年に「田代博志」選手が11秒2で優勝しています。県高校男子100m優勝者は昭和25年から記録が残っていますが、多良木高校は今回の三浦君を含め3人の優勝者を出しています。

 多良木高校の『創立80周年記念誌』等によると、「田代博志」選手が優勝した昭和49年は、多良木高校陸上部が県高校総体で大活躍し、南九州大会に21人もの選手が進み、その年のインターハイに8人が出場するという輝かしい成績でした。当時の多良木高校陸上部のユニフォームがオレンジ色だったことから、「オレンジ旋風」と称えられたという逸話が伝えられています。

 このような先輩たちの汗と夢の伝統を受け継ぎ、今年の三浦君の走りがあったと思うと感慨深いものがあります。43年前の田代選手の記録が11秒2、32年前の西選手の記録が10秒90、そして今年の三浦君が10秒81と並べると、100m競技で1秒、いや10分の1秒、100分の1秒を短縮することがいかに至難のことかよくわかります。瞬間の世界に挑む短距離ランナーたちの苦闘が想像されます。

 「南東北インターハイ」に向けて三浦君は練習を再開しました。自己ベスト記録更新を目指し、孤独で厳しい自分との闘いです。その後ろ姿を見ながら、多良木高校陸上部の歴史のアンカーとなる2年生たちも練習に取り組んでいます。平成31年3月の「閉校」というゴールに向け、走り続けます。

 

 

         南九州大会100m2位(三浦君)を示す電光掲示板