校長室からの風(メッセージ)

地震を知る ~ 阿蘇火山博物館の池辺館長のご講演

地震を知る ~ 阿蘇火山博物館の池辺館長のご講演

 今年度から、多良木高校は地域の方と一緒に防災活動に取り組むこととなりました。「防災型コミュニティスクール」です。昨年まで学校だけで防災学習、そして避難訓練等を実施してきましたが、昨年の熊本地震の体験をとおして、改めて地域との連携の大切さを知り、今年度から全ての県立高校は防災型コミュニティスクールとなったのです。

 その最初の取り組みとして、7月4日(火)の午前、地震に関する講演会を開催しました。本校が位置する多良木町六区からも区長さんをはじめ20人余りの方々が来校され、生徒及び教職員と共に一緒に聴講されました。学校と地域の方が共に学ぶことが、コミュニティスクールの第一歩です。

 講師は公益財団法人阿蘇火山博物館館長の池辺伸一郎先生で、演題は「地震を知る」です。池辺先生は、長年、同館の館長を務めておられ、火山及び地震の専門家でいらっしゃいます。お話は、(1)地震のメカニズム、(2)熊本地震について、(3)人吉球磨地域の断層、(4)自然災害から身を守る、の四つの項目に沿って進み、プロジェクターでスクリーンに投影された図、資料を使われ、とても具体的でわかりやすいものでした。

 また、「地球は生きている、火山活動、そして地震について予知はできない」、「地球が何を考えているかわからない、地球科学の分野はまだわからないことが多い」と専門家ならではの謙虚な表現が印象に残りました。そして、地震、火山噴火、台風などの危険な自然現象(Hazard)は日本列島で生きていく以上、避けようがない、しかし、自分が生活する地域のハザード(Hazard)の理解を深めることで、防災、減災に結び付け、生活に多大な被害が生じる災害(Disaster)が起こらないよう努力すべきだと結ばれました。

 熊本地震で阿蘇地域は大きな被害を受け、池辺館長の阿蘇火山博物館も復旧の途上にあります。火山及び地震の研究者としての使命感と復興に挑む気概が込められた、内容豊かなご講演でした。「地震を知る」という初めの一歩を多良木高校は地区の住民の方々と共に踏み出すことができました。