校長室からの風(メッセージ)

県高校総体を振り返って(その2)

県高校総体を振り返って(その2)  

 「実は、私の母、そして祖母も多良木高校の卒業生です。だから、多良木高校のプラカードを持ちたいと希望しました。」

 6月1日(金)の県高校総体総合開会式で多良木高校の入場行進のプラカードを担当した熊本商業高校3年宮田さんの言葉に私は驚きました。宮田さん自身は熊本市在住ですが、お母さんが多良木町ご出身で、お祖母さんと二代続けて多良木高校同窓生だそうです。今年度で閉校となる多良木高校の高校総体総合開会式のプラカードを持つことが決まり、お母さんとお祖母さんはとても喜ばれたと宮田さんは語ってくれました。このような巡りあわせに出会うと、無数の卒業生の方々の思いが多良木高校に寄せられていることを痛感します。

 「最後に自己ベスト記録を出すことができました。」

 6月4日(月)、陸上競技最終日の女子100mハードル競技を走り終えた越替さんが、控えめな笑顔で語ってくれました。越替さんは予選通過できませんでした。しかし、上位選手から離されても、最後まで自分の力を出し切ってゴールしました。放課後、多良木高校のグラウンドで黙々と走る彼女の姿をこの2年余り見てきた私は、集大成の高校総体の場で自己ベスト記録を更新したことを心から称えたいと思います。彼女は自分との戦いに勝利したのです。彼女だけではありません。多良木高校最後の高校総体において、成績や記録に表すことができない尊いものを全ての多高生は勝ち得たと思っています。

 県高校総体が終了した後、多良木高校にスポーツの明るいニュースが飛び込んできました。卒業生である法政大学野球部の中村浩人君が東京六大学春のシーズンで首位打者を獲得したのです。打率4割5分という驚異的な成績で、甲子園に出場した幾多の選手を抑えての快挙です。在校生には何よりの励みとなるものです。

 閉校の年度を迎えながら、多良木高校には追い風が吹いているような気がします。その不思議な風の源は、きっと母校に寄せる同窓生の方々の熱い心なのでしょう。