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【全】感謝の一射
沖縄での九州総体の時のことです。公開練習間際、選手が皆、緊張やら何やらで舞い上がっているのが見て取れました。「さぁて、どうしたものか。」と思っていたところ、
「先生、荒尾の子いない?荒尾の子?」と他県の顧問の先生が声をかけてこられました。その高校は九州大会はもちろん、全国大会常連校、全国優勝の経験もある学校です。その学校の顧問の先生は、玉名高校のOBで、上位大会に進出が決まる度に、「おめでとう」メールを一番にくださいます。
部員の一人が「私、荒尾です」「何中?俺は一中出身だけど、もう一中ってないんだよね?」「今は、海陽中っていいます」etc。この後は他の6名の選手も一緒に、玉高の体育祭トークで盛り上がりました。「総責」だの「統制長」だの「人文字」だの玉名高校関係者でなければ、わからない言葉が並びます。にこやかに談笑される先生の顔を見て、その学校の部員たちは、あんぐりと口をあけてました。(練習中はとても厳しい方なので)また、他の学校もその監督がなぜ、他校の、しかも、他県の学校の選手と談笑しているのか、不思議そうに眺めていました。
でも、この先生との談笑のおかげで、選手達はいつもの落ち着きを取り戻し、公開練習での的中はもちろん、翌日の予選も20射16中、15中、計31中とトップ通過を果たし、決勝でも3位に入賞することができました。緊張している後輩たちを見かねて声をかけてくださったのですが、単に「頑張れ」とか「大丈夫」という言葉をかけられるよりも、そのときの選手たちにはとても効果的で、温かいものでした。
先週の土曜日にその先生から電話を頂きました。第一声は「大丈夫ね?練習できよるね?」。風の噂で本校のクラスターのことを聞かれて、心配になってお電話をくださいました。「対面での練習試合はできないから、せめてリモートで練習試合せんね」「少しでも実戦に近いことをすれば、選手のモチベーションも上がるよ。」と。このような時期に、全国での常勝チームから、声をかけて頂けるとは思いませんでした。先輩とは本当に、有難いものです。先輩の後輩の努力を後押ししたいという優しさに、心が温まりました。
思うように、練習ができないことを嘆いてばかりいることなく、このように応援してくださる方の思いに応えていきたいものです。練習でも、大会でも、感謝の思いを込めて、一射一射大切に引きたいと思います。