2021年4月の記事一覧
運動部活動の活気に驚く
放課後、西高の体育館1階を歩くと、柔道、剣道、なぎなたの各道場から生徒たちの気合いと声が響き合い、熱気が伝わります。近年、高校生との武道離れが加速し、どこの高校でも柔道、剣道の部活動は部員不足が顕著です。しかし、西高は違います。剣道場には新入生も含め30人ほどの部員が稽古に没頭しています。柔道部も女子を中心に約20人が汗を流しています。また、なぎなた部(女子)では凜とした一挙手一投足が展開されています。かつては多くの高校で見られた光景ですが、今日ではとても新鮮に映ります。体育の授業で選択武道(私は剣道でした)が実施されていた頃に高校時代を送った者にとっては、高校のあるべき姿と思いたくなります。
西高に赴任して驚いたことは、武道をはじめ活気あふれる運動部活動の情景です。本校のスポーツ環境は抜群のものがあります。運動場は4万1千㎡あり、陸上競技場、野球場、ラクビー場、サッカーグラウンド、テニスコート等が広がっています。また、体育館も3階建ての大規模なもので、1階のトレーニングルームは各種器具がそろっており、市街地のスポーツジムに比べ遜色がありません。スポーツに存分に熱中できる学校と言えます。
体育コースのある県立高校が7校ありますが、その中で本校は最も歴史があり、平成3年4月に発足しました。以来、全国大会「花園」出場12回を数えるラグビー部、全国高校総体(インターハイ)で団体5連覇を成し遂げ個人選優勝者も出たなぎなた部、全国チャンピオンも誕生し躍進著しい柔道部など先輩たちの活躍で高校スポーツ界において熊本西高校の名は広く知られるようになりました。平成31年3月の春のセンバツ高校野球大会に21世紀枠で出場した野球部の快挙も記憶に新しいところでしょう。
この春開催された高校選抜大会において、女子柔道で坂口さん、ウェ-トリフティングで西田君が入賞を果たしました。ウェ-トリフティング部は部員4人の少人数で体育館1階のコーナーで黙々とバーベルをあげています。今のところ新入生が入っていないようですが、「大丈夫です。きっと他の部をやめて途中から入ってきますから。」と西田君が笑顔で語ってくれました。
本校には16の体育系部活動があります。体育コースの生徒を軸に、学科やクラスを超えて結びつき、「チーム西高」として力を発揮します。
中学生の皆さん、この充実した環境と伸び伸びした雰囲気を実際に体感しに来てください。西高で、思い切り、好きなスポーツに熱中してみませんか?
グラウンドの光景 柔道部 ウェートリフティング部
ICTの波に乗れ
一年前を振り返ると、新型コロナウイルスの急拡大に伴い、学校は臨時休校を余儀なくされていました。生徒たちは在宅学習で、職員の多くも在宅勤務となり、学校には職員が交代で出勤するという前代未聞の異常事態でした。私たち教職員も混乱し、戸惑う中、生徒たちと学校を結んだのはICT(Information Communication Technology 情報通信技術)の力でした。オンラインで生徒と担任がコミュニケーションをとり、各教科の様々な動画教材を学校ホームページにあげ、生徒はそれを視聴して学習に取り組み、オンラインで回答を寄せるなどして、約2ヶ月の臨時休校期間を乗り越えることができました。
コロナパンデミックの長期化に伴い、「テレワーク」という言葉が流行語になったことが示すように、ICTを軸として私たちの生活は急激に変化しています。過密都市の社会をコロナウイルスが襲ったことをうけ、これからの社会のあり方として「分散」がキーワードになっています。「分散」した人、仕事をつなぐのがICTなのです。社会生活のICT化について、時計の針が一気に進んだ感じがします。伝統芸能の歌舞伎において、「図夢歌舞伎」(ずうむかぶき)が登場したことには驚かされました。役者さんたちがそれぞれの稽古場に同じセットを組み、そこでの演技を撮影して画面に組み合わせるという手法で、まるで一つの舞台で複数の役者が演じているような臨場感があります。コロナ禍のニューノーマル(新しい常態)を人々が懸命に模索している時だと思います。
ICTの波は学校教育にも押し寄せてきました。国も県も学校教育のICT環境整備に予算を重点的に当てるようになりました。この波に、西高は率先して乗っていきます。生徒1人ひとりにタブレット端末1台の配備が実現したのです。先ずは県内16校が先行実践校としてスタートすることとなり、西高もその一つに選ばれました。1、2年生は1学期から1人1台配備され、早速授業で活用することになります。3年生は2学期から手元に届き、進路実現の役立たせてほしいと思います。学校内の回線工事はまもなく終わる予定で、早ければ5月の大型連休明けから授業での使用が始まるでしょう。
生徒の皆さんは、無限の可能性を持つ学習道具を手にすることになります。それをどう使いこなすかはあなた次第です。生徒の皆さんもICTの波に乗ってください。
私たち教職員がまずは意識を変える必要があります。意識が変われば授業が変わります。今年度は西高のICT教育元年と言えます。生徒の皆さん、西高の授業がどのように変化するか、大いに期待してください。
ビデオ動画による新入生への部活動紹介の様子
西高からの新しい風
「校長室からの風」も3校目となりました。
新しい赴任地は熊本県立熊本西高校です。熊本市西郊の田園地帯にあり、北に金峰山山系が連なり、西南の有明海からの風が吹き抜ける、爽やかな環境です。海からの強い風にはとうていかないませんが、校長室から私の思いがひとすじの風になり、校舎内をめぐり、校外へ流れ出て、地域社会へと伝わって欲しいと願っています。これから、日々、私からのメッセージを風に乗せていきます。
私自身、50歳代後半となり、年々、進取の精神が弱くなっていることを感じていました。しかし、この度、熊本西高に赴任し、また新たな多くの出会いがあり、新鮮で、高揚感を覚える毎日です。これも人事異動の効用だと思います。
「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。」という「方丈記」の有名な冒頭の文があります。川の流れは学校のあり方にもあてはまると思います。3月に卒業生や転退任の職員が学校を離れました。しかし、私を含め新転任者が4月1日に着任し、8日には243人の新入生が入学してきました。そして9日に全校生830人が一堂に会しました。生徒や職員は変わります。しかし、熊本西高という学校は変わらず存在し、学習や部活動の成果を発信し続けることになるのです。流れる水には勢いがあります。生徒や職員という中身が変化することで、新たなエネルギーが生まれ、学校は前進できるのです。
4月8日(木)の午前、体育館で開かれた新転任式において、ヴィレッジ・ピープルの楽曲で知られる「Go West」をBGMに私たち14人の赴任者は壇上にあがりました。そして、2年生、3年生と対面し、あらためて西高の一員になったことを実感できました。午後2時からの第47回入学式において、入学生243人を迎えました。代表者宣誓で、総代の西村さん(2組)は「勉学をはじめ学校生活全般がんばりたい」と決意を述べてくれました。宣誓書を校長の私に渡すときの西村さんの瞳の輝きが印象的でした。 入学生の皆さん、今の初々しさが高校生活の原点です。一日一日を大切にしていきましょう。
大いなる希望を胸に入学してきた新入生のみなさんが「西高に入学して良かった」と思い、我が子を本校に託された保護者の方々が「西高に入学させて良かった」と思ってくださるよう、私たち教職員は使命感をもって教育に当たります。
「生徒を大きく伸ばす西高」に期待してください。
第47回熊本西高校入学式の光景