2021年6月の記事一覧

夏は来ぬ

 1学期の期末考査が6月25日(金)で終了し、部活動が再開され、西高のグラウンド、体育館は活気が出てきました。特に、夏の全国高校野球選手権熊本大会を控えている野球部は、一段と気合いが入り練習しているようです。夏の甲子園大会が2年ぶりに開催されることは、高校関係者にとっては喜ぶべきことです。本校野球部は7月10日(土)に初戦が予定されています。

 昨日の放課後、野球部の練習の様子を見に行きました。陸上競技場を通らず、西高北門を出て、細い農道を通ってバックネット裏まで行きましたが、周辺の田圃はこの数日で一気に田植えが済んでいることに気づきました。田に張られた水に早苗が映り、爽やかです。その光景を見ていると涼しい風が体を吹き抜けていくような感覚を覚えました。田には周囲の山々が影を落とし、畦には白鷺がいて、清涼な風景です。これらの風景に包まれていると、ふと「夏は来(き)ぬ」という唱歌を思い出しました。

 「卯の花の 匂う垣根に 時鳥(ほととぎす) 早も来鳴きて

  忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ」

                      (明治29年 作詞:佐佐木信綱 作曲:小山作之助)

 唱歌「夏は来ぬ」は、私が子どもの頃によく祖母が口ずさんでいました。時代を超えて愛された歌だからでしょう、小学校の音楽の授業で私も歌った記憶があります。子どもの頃は文語調の歌詞が難しく、意味はよくわからなかったのですが、気持ちが和む優しいメロディは心に残ります。五番ある歌詞の中には、さみだれ(五月雨、梅雨のこと)、早乙女(田植えする娘さん)、玉苗(たまなえ、稲の若苗、早苗とも言う)など初夏の季語がちりばめられており、それぞれの情景を歌い、最後は「夏は来ぬ」(夏は来た)と結ばれています。

 例年、熊本平野の田植えは6月中旬から下旬にかけて行われます。熊本西高校の周囲は田園が広がっており、田植えによって夏到来を実感します。早乙女の田植えは遠い昔の話で、現代は田植機による田植えですが、それでも大切な年中行事で風物詩だと言えます。古代、我が国が「豊葦原の瑞穂国」(とよあしはらのみずほのくに)と呼ばれたことも思い出します。

 水が張られた多くの田の脇道を歩くと、天然のエアコン効果か、涼しく感じられます。汗にまみれて白球を追う西高野球部の生徒達にも、この涼しく優しい風が届くことでしょう。

中学3年生の皆さんへ ~ 西高の体験入学を開催します!

 中学生の皆さん、熊本県立熊本西高校のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。各地域で中体連大会が行われている時期ですね。県大会に進出が決まった人もいると思います。今は部活動に全力を注いでいるという人も多いことでしょう。

 そして、3年生の皆さんは高校進学を強く意識する夏の到来ですね。

 熊本西高校では、皆さんの進路選択の一助になればと、夏季休業中に体験入学を企画しました。期日は、7月30日(金)の午前と午後、さらに8月20日(金)の午前です。県内すべての中学校にご案内を送ります。本校のホームページでもお知らせします。また遠慮なく本校にお電話でお尋ねください。

 熊本西高の特色(魅力)は大きく次の4つです。

 

一 「一人ひとりが大きく伸びる学校です」  

  生徒一人一台にタブレット端末が配備され、個別最適な学習指導を行っており、皆さんの可能性を引き出します。そして、校外での探究活動や大学・専門学校での体験入学(アカデミック・インターンシップ)、企業での就業体験(インターンシップ)などの体験学習も豊富です。

二 「多くの出会いが待っています」

  科学や情報を興味深く学べるサイエンス情報科、幅広い学びの中から自分の進路を探す普通科(特進・普通)、トップアスリートを目指す体育コースがあります。そして学校行事や生徒会活動、部活動では学校が一体となります。様々な学びや個性豊かな友との出会いが待っています。

三 「部活動が多彩で活気があります」

   全国的に知られたラグビー部、女子柔道部、なぎなた部をはじめ全国高校総体(インターハイ)に毎年出場する陸上部、水泳部。そして3年前に甲子園に出場した野球部。体育部活動が強いというイメージの西高ですが、文化部も多く活発で、百人一首、美術、書道は全国高校総合文化祭の常連校です。また県立高校唯一のeスポーツ部は人気急上昇です。

四 「学習にもスポーツにも最高の環境です」

   校内すべてにWi-Fi環境が完備したスマートスクールで、タブレットを自在に使えます。また、   7万㎡を超える広々とした敷地で、陸上競技場、ラグビー場、野球場等々。3階建ての体育館には、剣道、柔道、なぎなたの専用道場やトレーニングルームがそろいます。

 

 どこの高校に行こうか迷っている人、中学時代に十分に力が発揮できなかった人、まずは熊本西高で体験入学をしてみませんか? たくさんの先輩たちが皆さんを案内するために、笑顔で待っています。

 中学生の皆さん、常に変化し続ける熊本西高に期待してください。



 

同窓会からの力強いご支援を受けて ~ 同窓会「西峰会」総会

「『西高』は いつでも待っています。

  あなたが巣立ったあの日と同じ場所に、同じ姿のままで-」

 熊本西高校の同窓会「西峰会」のホームページ冒頭に記された言葉です。このホームページはデザインも洗練され、同窓会のお知らせをはじめ充実した内容で、「西峰会」が活発な活動をされていることがわかります。

 6月20日(日)午後、西高セミナーハウスにて、令和3年度同窓会「西峰会」の総会が開催され、ご案内を受け私も出席いたしました。

 「西峰会は、今年度も学校及び在校生に対して積極的に支援していきます!」との藤井俊博会長の力強い言葉で総会は始まりました。これまでも多くのご支援をいただいているのですが、今年度の予算案にも具体的な学校支援の項目が並び、頭の下がる思いとなりました。インターハイをはじめ部活動の全国大会出場への応援や冬に実施する学校行事のチャレンジウォーク(強歩会)への支援、2年前に県立学校として最初に発足したeスポーツ部への活動補助、在学中に留学する生徒への補助金制度も整えてあります。さらには、昨年度から始めた、難関大学志望者の北九州予備校での特別セミナー参加への補助も行われます。同窓生の皆さんの母校への熱い思いを実感しました。

 第91回選抜高等学校野球大会「春のセンバツ」(平成31年3月)に熊本西高校野球部は見事出場を果たしました。その時2年生で甲子園にて活躍し、この春、福岡教育大学に進学した中山君が同窓会総会に出席していました。中山君からは、「甲子園出場した時、同窓会の皆様から盛大な応援をいただいたことが大きな力となりました。」と改めて御礼の挨拶がありました。

 同窓会活動も、長期化するコロナ禍により制限を受けています。毎年9月に開催される熊本市の藤崎八旛宮「秋の例大祭」に、同窓生の皆さんは飾馬奉納団体「西峰会」で参加されていますが、同祭は昨年に引き続き今年度も中止となりました。同窓生と希望する在校生が一緒になって熊本市を代表するお祭りに参加し、連帯感を強める貴重な機会が失われています。「来年こそは生徒と一緒にお祭りに出たいですね」と飾馬奉納のリーダーの方が言われました。私も同感です。

 熊本西高校は3年後には創立50年の大きな節目を迎えます。同窓会の皆さんと一緒になって、さらに発展を続ける次代の西高像を追い求めていきたいと思います。

「For others , with others」 ~ 新生徒会の発足

 令和3年度生徒会役員選挙は6月2日(水)に行われました。生徒会長に2年生2人、副会長に2年生2人、1年生3人が立候補し、「zoom」アプリを活用してのオンライン演説会、そして生徒1人ひとりが所有しているタブレット端末から電子投票方式で実施しました。この電子投票(オンライン投票)は、三密を防ぐ効果が大きくコロナ対策として脚光を浴びていますが、コロナ禍以前から「投票率の向上」、「開票時間の短縮」、「人員の削減」等の観点から注目されていました。すでに一部の地域の地方選挙で導入されています。

 我が国では、5年前に18歳選挙権が導入されましたが、変わらず若い世代の投票率の低さが問題となっています。ネット環境に慣れている若い世代は、電子選挙であれば、そのアクセスの容易さからもっと選挙に参加してくれるのではないかと期待されています。今回の本校の生徒会役員選挙では、先取りして初めてオンライン投票を実施しましたが、円滑に行われ、開票も迅速でした。立候補者もデジタルネイティブの世代らしく、カメラを意識し、自分が生徒会でやってみたいことを箇条書きしたフィリップボード(大型のカード)を掲げるなど堂に入ったもので、頼もしく感じました。

 新生徒会役員の皆さんの認証式を6月14日(月)7限目相当の時間に会議室で行いました。会長の濱﨑さん(2年)、副会長の阿久津さん(2年)と篠塚さん(1年)に私から任命書を手渡しました。そして、自らの意思で生徒会役員の重責を担うことになった書記、会計、庶務等の皆さんの紹介がありました。この様子は「zoom」アプリで映像として伝えられ、各教室で全校生徒が視聴しました。

 この1年間、コロナ禍の中、西高生徒会を引っ張ってきた前生徒会長の児藤さんと、受け継ぐ新長の濱﨑さんが全校生徒に向かって挨拶しました。二人とも気持ちのこもった力強い言葉で、さすがは西高のリーダーと思いました。会長はじめ生徒会役員は、「もっと西高を良くしたい」という進取の精神に燃えています。しかし、役員の思いだけでは学校は変わりません。全校生徒一人ひとりが「私たちの学校、西高」という意識を持つことが大切だと考えます。私も、これから生徒会役員の皆さんと、学校行事のあり方、学校のルール、制服のことなど様々な事について対話をしていきたいと思います。

 新生徒会の皆さん、「For  others, with  others」(他者のために、他者とともに)というモットーで活動してください。そうすればきっとあなた達のところに皆が集まってくると思います。

 新しい西高生徒会が帆をあげました。

社会が皆さんを待っています ~ 2年生「職業ガイダンス」実施

 成年(成人)年齢が2022年4月1日からこれまでの20歳から18歳に引き下げられます。現在の2年生は来年度、全員が「成人」(大人)となります。積極的に社会に参画する姿勢を養うために、西高では様々な取り組みを行っていますが、その一つとして、2年生対象の「職業ガイダンス」を6月8日(火)に実施しました。

 社会の第一線で活躍されている社会人講師の方々をお招きしました。「医療」、「福祉」、「サービス」(飲食・冠婚葬祭・販売)、「建築」、「情報」、「警察」(南署)、「行政」(西区役所)、「教育・保育」の大きく8分野に分かれ、生徒達はそれぞれ興味・関心のある職業分野に参加しました。西高の職業ガイダンスでは、事前に講師から課題を与えられ、その課題について生徒達が調べておくことになります。そして、職業ガイダンス当日に発表し、講師から助言を受けるのです。私は全分野を見て回りたかったのですが、ガイダンスの時間は100分と限られ、4分野の参観にとどまりました。

 「福祉」分野には18人の生徒が参加していました。「高齢者が住みやすい街とは」という課題に対し、女子生徒3人の班が「高齢者が移動しやすい」、「治安の良い」などのキーワードで発表しました。それに対し、講師(県社会福祉協議会)の方から、ユニバーサルデザインの街づくりの理念を説明されました。身近なものでは教室の教壇が一つのバリアであるとの指摘に、生徒達は意表を突かれた表情でした。高齢者だけに特化せず、障がいのある人も含め皆が住みやすい街を目指そうというまとめに生徒達は納得の表情でした。

 「医療」分野は42人の生徒が参加し、ほぼ男女半々でした。熊本県看護協会からいらっしゃった講師(女性看護師)の方が、「看護師という職業は男性の仕事としてとても良いものだと思う」と述べられ、男性看護師の必要性を語られました。また、看護師にとって必要なものとして、アセスメント能力をあげられました。看護アセスメントとは、対象者(患者)の多くの医療情報を適切に分析し、看護上の問題を把握することだそうです。

 「建築」分野の教室では、設計事務所の建築士の方が、住宅設計図を最新のコンピュータソフトで立体的にスクリーン表現されました。ドアを通り、住居の中を自由に行き来でき、まるでそこにいるかのような感覚となる画像に生徒達は引きつけられていました。また、「警察」分野の教室では、市民に寄り添う警察官像を語られ、後半は指紋採取の体験まであり、生徒達は興味を示していました。

 「社会は皆さん(高校生)を待っています。」とある講師の方が言われました。生徒の皆さん、社会で活躍するあなたの未来が見えましたか?

 

西高体育スピリットの発揮 ~ 県高校総体での活躍

 2年ぶりに開催された熊本県高校総体は、サッカー競技など一部をのぞき無事に終了しました。コロナ第4波が収束しない困難なコンディションの中、「無観客」でしたが、各競技とも熱戦が繰り広げられ、高校生の部活動の集大成の場として教育的意義は誠に大きいものがあったと思います。

 連日、熊本日日新聞の高校総体特集記事で、西高アスリート達の活躍が報じられ、胸が躍る思いでした。女子柔道が先駆けとなりました。女子団体3連覇を成し遂げた大野主将のコメントが頼もしいものでした。

 「県高校総体は通過点と思っている。目標は全国制覇です。」

 さらに高い頂を目指し、女子柔道部に慢心はありません。大野主将の気迫のこもった試合や団体優勝メンバー4人の笑顔の写真が掲載されました。

 また、ウェイトリフティング主将の西田君が102㎏級で優勝。バーベルを力強く上げる姿が写真で紹介されました。西田君は全国でトップクラスの実力の持ち主で、全国高校総体(インターハイ)でも上位入賞が期待されます。

 陸上部の躍進も光りました。走り高跳びの自己記録で優勝した2年生の杉山君の顔写真が載りましたが、その他にも三段跳びや投てき部門(やり投げ、砲丸、円盤)での優勝が相次ぎ、南九州大会には男女合わせ10人以上が進出します。インターハイに何人出場することになるのか期待がふくらみます。

 西高伝統のなぎなた部は、女子個人優勝の内田さんの躍動感あふれる試合の写真が載りました。一瞬の動きを捉えるプロの記者の腕前はさすがです。

 そうして、掉尾(ちょうび)を飾ったのがラグビー部でした。昨日、熊本高校との決勝戦を制し、今日の朝刊に「西高、4連覇」の見出しと共に劇的なトライシーンの写真が大きく掲載されました。強豪で知られる西高ラグビー部ですが、連覇を続けることは至難の業です。それは女子柔道部やなぎなた部にも当てはまります。西高を倒すことを目標に他校の生徒は努力しているわけですから、それを上回る努力、精進が求められるわけです。

 努力が実り輝かしい結果を得た生徒達がいる一方、日頃の練習の成果を十分に発揮できなかった生徒達もいます。これが勝負の世界です。負けたこと、自分の目標に届かなかったことなどの悔しい思いが人間を成長させます。勝ったことより敗れたことからの方が多くのことを学ぶと私は思います。

 正門脇に「文化 体育 両道顕彰」の石碑が立っています。西高が開校するや文化部体育部ともに特筆すべき成績を次々と残していったため、昭和59年に創立10年を記念し育西会が建立されました。この精神は令和の今日も引き継がれています。

 体育の先生方が日頃唱えられる西高体育スピリットが存分に発揮された今年の県高校総体でした。