柔道部の初稽古と鏡開き ~ 新春の部活動スタート
新春は、光も空の色も空気さえも清々しく感じられるから不思議です。私たちにとって、正月は暦の上で新しい年になったという以上の大きな意味があります。それは再生とでも言うべき、新しく生まれ変わったような感覚が伴います。初日の出、初夢、初詣などすべてに「初」の冠をつけますが、これは初々しさにつながります。また、元日の朝に初めて飲む水を「若水」(わかみず)と称しますが、これも邪気を払うにふさわしい清新な語感です。
1月4日(水)の仕事始めの日は、小春日和に恵まれました。風は多少ありますが、陽射しのもと校内を歩くと春が来たかのような気持ちとなります。そして、学校に活気が戻ってきました。多くの部活動が練習を今日から始めたのです。なかでも熱気を発していたのが、女子柔道部でした。
柔道場には、大学や専門学校へ進学、または就職した先輩たちが十数人ほど来ていました。そのうち7~8人は柔道着に着替え、部員の練習相手になってくれました。高校生側は進路が決まった3年生全員も参加しており、卒業生も合わせるとおよそ30人が練習し、柔道場が狭く感じられました。環太平洋大学(IPU)、近畿大学、鹿屋体育大学、警視庁などで活躍するそうそうたる先輩たちの胸を借り練習できる貴重な場です。強い人と戦ってこそ、強くなります。1,2年生も実力の差はあっても、懸命に組み合って、投げられても先輩に幾度も挑んでいく姿にたくましさを感じました。
そして、1,2年生の部員たちにとって、西高柔道部の伝統の絆を実感する機会にもなったと思います。貴重な正月休みに帰省した先輩たちがわざわざ母校の柔道場に集い、練習相手になってくれると共に、柔道の助言をはじめ大学や専門学校、職場の話を聞くことができます。あの先輩がいる大学に私も進もう、という進路目標も生まれます。
また、稽古始めのこの日は、柔道部の保護者の方々が西高セミナーハウスの調理室で雑煮を作られ、練習後に部員や卒業生に振る舞われました。まさに鏡開きです。正月のお供えの餅(鏡餅)を割って雑煮や汁粉にして食べる風習を「鏡開き」(かがみびらき)と言いました。正月気分との決別も意味します。
卒業生及び保護者の皆さんのご協力によって、柔道部の稽古始めはとても充実した、心温まるものとなりました。深く感謝します。
「校長室からの風」