思わず、深呼吸 ~ 体育大会全体練習

 熊本西高校の遠景は、金峰山の山並みの麓に抱かれているように見えます。青葉萌え、山々の新緑がまぶしい季節を迎えました。有明海からの風が吹き抜ける広々とした西高運動場へ出ると、思わず、マスクを少しの間はずし、金峰山に向かって深呼吸したくなります。コロナ第4波の憂いを忘れられるひとときです。

 5月8日(土)の体育大会実施に向け、今週は連日、運動場で全体練習が行われています。生徒たちはマスクを着用し、距離をとり、西高体操、行進、開会式、そして3団(黄・赤・青)に分かれての応援練習などが続きます。広い運動場に全校生徒が集い、全体で動く様子は活気あふれ、壮観です。西高生830人が「ここに、共に、在る」ということが学校の一体感を醸成するうえでとても大切だと思います。1年生はこの全体練習を通じ、「西高生」になると言えるのでしょう。一方、2、3年生は上級生としての意識が高まるのでしょう。

 昨年度は、コロナパンデミックの影響で体育大会を中止しました。もし、今年度、体育大会を実施しなければ、来年度は体育大会を知っている生徒はいなくなります。西高の体育大会の伝統をつなぐためにも今年の体育大会開催は重要な意義があるのです。

 全体練習の中で、私が引きつけられたのは、西高体操です。創立以来行われている独自のもので、一つ一つの動作に力強さと姿勢の美しさがあり、指導される体育科の先生の息が上がるほどです。「体操」と言うより「演武」と呼びたくなります。全体練習を見ていて、「西高体育スピリット」というものが具体的に伝わってきました。西高には高校スポーツ界で知られた体育コースがあり、各競技で活躍する高校生アスリートたちがいます。しかし、そのような運動能力に秀でた生徒だけでなく、西高生全員にこのスピリットは求められています。日々の体育授業の集大成である体育大会を全員で創り上げていく過程で、気持ちを一つにした行動、挨拶などが備わっていくようです。

 西高の体育大会ならではのユニークなものとして、聖火入場・点火のセレモニーがあります。事前にグラウンドで太陽から採火し、代表の生徒が開会式において聖火トーチを掲げて走って入場し、運動場南側の特設の聖火台で点火するものです。生徒の気持ちに火を付けることになるでしょう。

 西高体育大会を多くの方にご覧いただきたいのですが、コロナウイルス感染防止の観点から、開放せず無観客で実施することとしました。苦渋の判断です。保護者の皆様、どうかご理解いただきたいと思います。生徒たちの達成感、充足感を最大の目標(ゴール)として、体育大会実施に努めていきます。