二つの山にはさまれて ~ 金峰山と御坊山

「教室の窓から山々が近くに見えるのが新鮮です。山を眺めるのは大好きです!」

 高校入学しておよそ一月(ひとつき)経った感想を1年生に聞いたところ、ある女子生徒がこのような感想を述べてくれました。市街地から通学しているそうで、熊本市内の高校でこれほど山が間近に迫って見えるとは思ってもいなかったと明るい表情でした。

 熊本西高の北には金峰山山系の山並みが広がっています。1学年の教室棟は教室棟の中で最も北側に位置しているため、教室の窓から山々が近くに望めるのです。山々の若葉がまぶしい、新緑の季節を迎えました。

 西高運動場から見て、ひときわ高くそびえるのが金峰山一の岳です。電波塔が立っていて、遠くからでもよくわかります。熊本市民に広く親しまれている山です。標高は665m。そして、西高からは見えませんが、北に連なる金峰山山系の二の岳685mが熊本市で最も高い山です。西高校歌に「朝夕仰ぐ 金峰の 雄姿に高き 希望(のぞみ)あり」との一節があります。金峰山は高きのぞみ、目標の象徴と言えるでしょう。

 ところで、学校から南西の方角にこんもりとした森が見えます。運動場や西門からよく見え、私は赴任当初から気になっていました。この森は、御坊山(おんぼさん)と呼ばれる山です。標高29mの熊本市で一番低い山です。元々は海に浮かぶ島でしたが、白川と坪井川が運んできた土砂で周囲が埋まり、今の姿になりました。小さくても存在感があり、地元の人から親しまれています。御坊山がある地区を「小島(おしま)」と呼びますが、この地名は御坊山が由来だと言われています。小島地区は、白川の河口に当たります。

 金峰山と御坊山。二つの山の間に西高ははさまれています。金峰山は高き目標を示していると思えます。一方、御坊山は、小さいものを見過ごさないことの大切さを教えているように感じます。あの森は何だろう、山かな?と疑問を持ち、気づく感性は大切です。

 対照的な二つの山を通し、高き目標を持つこと、小さなことをおろそかにしないことを西高生の皆さんに伝えたいと思います。

               金峰山           御坊山