希望の光を ~ 2学期終業式

 一年前、「来年こそは、世界のコロナパンデミックが終熄することを皆さんと共に願いたいと思います」と2学期終業式の挨拶をしました。その願いも空しく、今年もパンデミックは続きました。

 また、2月に勃発したロシアによるウクライナへの侵攻も長期化し、現地は厳しい冬が到来している模様です。ロシア軍の攻撃によって、電気、水道、ガスなど社会生活の基盤となるライフラインが大きなダメージを受けているウクライナ住民は過酷な寒さをどう乗り越えていくのでしょうか? 日本とウクライナは約8000㎞も離れています。しかし、遠い国のことと思ってはいけません。今のローマ教皇、フランシスコ教皇は、自然災害、内乱、戦争などの被害で苦しむ社会的弱者の人々を前にして、このような言葉を発しました。「Why them,and not me?」(なぜ彼らであって、私ではないのか?) なぜウクライナの人々であって、日本人の私ではないのか? 「平和な日本に生まれて良かった」で片付く問題なのでしょうか? 21世紀のいま、地球上で共に生きる人間同士として、フランシスコ教皇の言葉をかみしめ、自問自答したいと思います。

 ローマ教皇の言葉を紹介しましたが、今週土曜24日がクリスマスイブ、25日がクリスマスですね。世界で最も信仰する人が多い宗教のキリスト教、その創始者であるイエス・キリストの誕生を祝福する聖なる日です。けれども、イエスキリストという人物が12月25日に生まれたという記録はどこにもありません。聖書にも書かれていません。では、なぜ12月25日に生まれたことになったのでしょうか? キリスト教が成立し、最初に広まったのはヨーロッパをはじめ北半球です。日本も含む北半球はこの時期が最も昼が短く夜が長くなります。日本では冬至と呼ばれる日があります。今年は12月22日(木)が冬至で、1年で最も昼間の時間が短い日です。夜の闇に長く支配されていた北半球が光を取り戻し、一日一日、昼の時間が長くなっていく変わり目の時期なのです。そのような時に人々に光をもたらす救世主イエスキリストが誕生したのだとヨーロッパの人は考えたのでしょう。

 「冬来たりなば春遠からじ」と言われます。これから一日一日、太陽の時間が長くなります。新しい年を、希望の光をもって迎えましょう。皆さん、良いお年を。

 「校長室からの風」

              2学期表彰式・終業式の様子