卒業式に立ち会える喜び ~ 第45回卒業式
3月1日(火)、熊本西高校第45回卒業式を挙行しました。理数科34人、普通科290人(体育コース39人含む)が卒業していきます。理数科としては最後の学年(34期生)となり、その精神は現2年生のサイエンス情報科の1期生に継承されるでしょう。
前日の式予行の場で、学年主任の錦戸教諭が「これまでやかましいことを言ってきたが、もうやかましいことを言えなくなる」と淋しい心境を伝え、「どこに行くかよりも、行った先でどれだけ頑張れるかの方が遙かに大切だ」と、それぞれの進路へ向かう生徒達を励まされました。
感染症予防の観点から、来賓は招かず、在校生は送辞を読む生徒会長とピアノ演奏の生徒の二人だけ、保護者の出席も各家族から原則1人にお願いし、体育館の座席間隔を広く保ちました。国歌、式歌、校歌を唱和することもなく、演奏を聴くにとどめましたが、校歌さえ声を出して斉唱できないことに改めてパンデミックの重苦しさを感じました。しかし、簡素ではあっても、卒業式の基本を守り、厳粛さの中に若人の旅立ちにふさわしい清新さが感じられる式典になったと思います。
私語一つなく背筋を伸ばして座る姿、呼吸を合わせ起立し、礼をする動作、落ち着いて歩く入退場の様子と、その一挙一動が卒業生のこの3年間の成長を示していました。卒業生総代の児塔さんは、答辞の中で後輩に対してメッセージを残しました。「逆境を成長の糧にして、西高生が一丸となり、過去の伝統を超える、皆さんらしい西高を創り上げていってください。」と。
パンデミックはいまだ終息していません。ウイルスと共存しながら、私たちは新しい社会を創っていかなければならないのです。このような変革期においては、従来の常識にとらわれない、柔軟な発想と行動力が求められます。若い世代への期待が大きくなります。急速に進化するICT(情報通信技術)を皆さんなら使いこなし、より良い社会づくりに活かしていくでしょう。
皆さんの行く道のりは決して平坦ではありません。この先も自然災害や新たな感染症などが待ち構えているかもしれません。けれども、どんな不条理な出来事に遭遇しても、必ず道は開けると自分を励まし、歩み続けてください。
新たな世界へ若者が旅立つ時に立ち会えることはなんと幸せなことでしょう。卒業式に臨む度に、高校の教職員としての喜びをかみしめます。
「校長室からの風」