校長室からの風

梅真白(うめましろ) ~ 高校入試(後期選抜)

 2月24日(木)、25日(金)の両日、令和4年度(2022年度)熊本県立高等学校の後期選抜入試が県内で一斉に実施されました。朝、氷点下の厳しい寒さの中、保護者の車で、または自転車で、緊張した面持ちの受検生たちが西高に集まってきました。体育館での集合点呼は午前9時20分ですが、早い生徒は7時半前には来校しています。中学校ごとの点呼があるのでしょう、校庭のあちらこちらで立って待っています。「おはよう」と声を掛けると、はっきりしたよく通る声で返事をしてくれ、初々しさ、清新さを感じます。

 新型コロナウイルス感染症の第6波に1月から県内も覆われ、受検生たちは感染への不安に包まれ、この日まで過ごしてきました。15歳の少年少女にはあまりにも理不尽な環境と言えます。受け入れる私たち高校側は、受検生が存分に力を発揮してもらえるよう、感染防止を徹底した安全、安心な態勢を整えました。1日目(24日)が国語、理科、英語の3教科実施で午後2時10分に終了。2日目(25日)は社会、数学の2教科を実施し午前中で終了ですが、本校の体育コースを志望している受検生は午後も引き続き体育実技検査が行われました。運動能力や体力を測定する実技検査がすべて終わったのは午後3時でした。

 受検生の皆さんにとっては長い二日間だったと思います。心身の疲労があるでしょう。しかし、受検を終え帰って行く皆さんの表情は一様に晴れ晴れとして、やりきったという充足感さえ伝わってきました。車で迎えに来られた保護者と談笑する光景も見られました。

 入学試験とは確かに厳しいものです。しかし、このような関門があるからこそ、学力及び精神力を鍛えることとなり、大人への階段を上がっていくのです。高校入試を受け終えた皆さんは、自分では気付かないかも知れませんが、もう昨日までの中学生ではありません。まだ見ぬ友が、知らない物語が高等学校でたくさん待っています。皆さんの青春はこれからです。

 24~25日の二日間、冬らしい透明感のある青空が広がりました。西高の前庭に立つ梅の老樹も7~8分咲きです。冬の寒さにじっと耐え、他の花よりも早く春の訪れを知らせる、白梅の花の凜とした姿に、受検生を重ねたくなります。

 「勇気こそ 地の塩なれや 梅真白(ましろ)」(中村草田男)

 かつて高校の国語の教科書で知った句です。この時期になると思い出します。

 3月7日(月)が合格発表です。今年も各学校での掲示発表は行わず、県教育委員会での特設Webページでの発表となります。3月24日(木)、合格者説明会で会いましょう。皆さんの入学を心から待っています。

「校長室からの風」