校長ブログ

23/07/13(14) 前任校の校長先生から教えていただいた詩集

 『世界はもっと美しくなる』。校長ブログ4でご紹介した前任校の校長先生が、2年前の終業式で生徒に紹介された本です。奈良少年刑務所の受刑者たち(17歳~26歳未満)の詩集です。この本のことや受刑者の背景にあるものについては、いつかこのブログで書けたらと思っています。その時、校長先生が詠まれた詩に深く感銘を受け(自分の幼少期のことを思い出しました)、すぐに購入しました。すばらしい詩がたくさんつまっていますが、その中で次の詩が私の胸に響きました。引用します。

    ひとつのこと
  ひとつのことでも なかか思うようにいかないから
  ぼくは ひとつのことを 一生けんめいやっています

 私も不器用で、要領が悪いので、作者の気持ちがすごく分かります。大人たちは「まだできないの」「ほかの人はもうできているよ」とせかします。


 受刑者たちの詩づくりを担当した、この詩集の編者はこう解説しています。

「なんて健気(けなげ)な! 傍(はた)から見たら、全然できていない、足りていないと思えても、本人が必死でがんばっていることもあります。できないことを責めるのではなく、できることを認めてあげるだけで、その子の未来は、大きく変わっていくことでしょう。」

 私たちは結果を求めがちで、その過程の中にある、いくつもの大切な宝ものを見逃しがちです。子どもたちなりの一所懸命さを大切にし、できたことを褒め、その子の心にフィードバックする。そのためにも、日常の中にいる子どもたちにしっかりと寄り添っていたいですね。

 錦町一武の風景。当たり前の日常のなかに素敵なものがいっぱいあります。

 一武の風景① 一武の風景②
*文献:『世界はもっと美しくなる 奈良少年刑務所詩集』(寮 美千子編・ロクリン社)