校長ブログ

2024/04/08(54) 熊本県立球磨中央高等学校第8回入学式 式辞(抄)

 ただ今、入学を許可しました104名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。

晴れて本校への入学を果たされた皆さんを、職員、在校生一同、心から祝福し、歓迎します。今、皆さんは入学の喜びとともに、新しく始まる学校生活への大きな期待に胸をふくらませていることと思います。今の気持ちを大切にして、志を高く掲げ、それぞれの夢の実現に向けて、これからの学校生活を充実させてください。

本校は、平成29年4月に開校し、今年で8年目を迎えます。球磨商業高等学校の伝統を引き継ぎながらも、新たな専門的で探究的な商業に関する専門的な学習活動を行う商業科及び情報処理科、地域の課題を発見し、未来創造を担う人材を育成する地域未来探究科からなり、皆さん方は八期生となります。

 商業科や情報処理科では、実践的・探究的な学習活動を通して、「新たな価値の創出に向け、探求・創造・実行することができる人材」、「経済発展と社会的課題の解決を両立できる人材」を育成し、地域産業をはじめ、経済社会の健全で持続可能な発展を担うための資質・能力を育成します。

 地域未来探求科では、地域への愛情を深めた、将来の地域社会の発展を担う地域リーダー育成をします。学びは本来

楽しい活動です。どうか専門的で、創造的な各科の学びの中で学ぶおもしろさを味わってください。

さて、本校の教育方針は、「全ての人の幸福のために、倫理的に正しく、規律ある判断力をもって責任ある行動がとれる人間の育成を目指す」です。世界では戦争やテロが至る所で起こり、地球沸騰化や大規模な自然災害、エネルギーや水、食糧の枯渇など、本来ならば地球人としてこうした大きな問題に立ち向かわなければならないはずなのに、自国第一主義と分断、偏見と暴力、富の集中と貧困がその解決を阻んでいます。また、SNSの急速な発達は、私たちの生活を便利にする一方で、自分に都合のいい情報だけを取り込み、平気で嘘をつき、人をだまし、人の心を傷つけています。

熊本県は、人吉球磨は、熊本地震、豪雨災害と本当につらい思いをしてきました。そして人々はその苦しみに正面から立ち向かい復旧・復興にまい進しています。だからこそ、他者のことを自分事として捉えることの大切さ、一人一人の力を合わせることの大切さ、人を思いやることの大切さを知っています。本校では教育方針に基づき、自分自身の、他者の、地域の、あらゆる人々の幸せのために行動する人材を育てていきます。現在、本校の学校生活はコロナ禍以前の状況に戻ってきました。どうか、クラスメート、先輩、先生方とともに充実した毎日を過ごし、皆さんの無限の可能性を伸ばしてください。

そして、入学式にあたり、私から皆さんにお願いがあります。

「いってきます」「いってらっしゃい」「ただいま」「お帰りなさい」、この当たり前の、本当に当たり前の会話が、当たり前にかわされてほしい。この言葉が聞こえるということは、今日一日を生きている証です。皆さんに期待することはたくさんありますが、一教師としての、一人の大人としての願いは、健康であってほしい、生きて欲しい、ただその願いだけです。皆さんはたくさんの人から愛されています。そして、この球磨中央高校でたくさんの人と出逢い、支え、支え合ってください。自分を大切にし、周りの人を大切にし、毎日を過ごしてください。当たり前の幸せを土台にして、3年間をかけて自分の未来を開拓してください。

この3月に卒業した生徒が「私たちの未来のために」と題した作文を書き、警察庁長官賞を受賞しました。その作文の終わりには「明日、当たり前の日常が当たり前に来るとは限らない。もしかしたら、明日、当たり前が変わるかもしれない。そのことを胸に刻んで、一日一日を大切に自分の行動に責任をもってこれからも生活していきたい。」と書かれています。何気ない日常の一日一日があることを幸せと思い、大切に生きてください。

新入生の皆さんの輝ける未来を祈念いたしまして式辞といたします。

 令和六年四月八日 

   熊本県立球磨中央高等学校長 松下 宏則

▲入学おめでとうございます。

▲入学式の準備