お知らせ

 

~河浦高校(一町田農業高校) 67年間にありがとう~

 

 多くの皆さんから愛された河浦高校も幕を閉じる日が目の前に迫ってきました。

 平成29年3月4日(土)には、600名を超える多くの皆様方に見守られながら閉校記念式典を挙行しました。

 ご参列いただきました皆様方に感謝申し上げます。

 閉校式典のなかの校長式辞と生徒代表のことばを紹介します。

    


  

閉校式  式  辞

 

本日、ここに、熊本県立河浦高等学校閉校記念式典を挙行するにあたり、公務ご多用にもかかわりませず、多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、また、同窓生・保護者・地域の皆様、そして歴代校長先生をはじめ、本校に奉職されました先生方なども、数多くご列席をいただき、衷心より厚くお礼を申し上げます。

 この日が来るのは分かっていましたが、いざこの日を迎えると惜別の情を一段と深く感じます。

 本校は、昭和25年10月に、「郷土を興す基は教育にあり」 「教育こそ財産」 という地域社会からの熱い要望と、地元行政をはじめ関係各位の多大なるご尽力のおかげで、当時の旭炭鉱事務所の跡地に組合立の一町田農業高校が誕生いたしました。

その後、県立天草農業高校の一町田分校、昭和33年には熊本県立一町田農業高校として独立認可をいただき、昭和48年には熊本県立河浦高等学校に校名変更するなど、幾多の変遷を遂げてきました。 

その間、一貫して「地域に根ざした特色ある学校づくり」を目標に掲げ、町当局からの絶大なご支援・ご協力を賜りながら、町立高校と言われてもおかしくないくらいに地域と密着し発展を遂げてきました。その間7750名の卒業生が学び、568名の教職員が奉職しました。 

卒業生の方々にとりましては、学んだ学校がなくなるということは、痛惜に耐えない思いをされていることと思います。過ごされた年代で、それぞれの思い出は異なるかと思いますが、友と過ごした高校生活を昨日の出来事のように思い起こされておられるのではないでしょうか?

本校教育の特色は、生徒一人ひとりを大事にし、基礎学力向上や希望に応じた進路実現を目指して、学校だけでなく、地域や保護者、行政などと連携して取り組んでいるところです。昭和五十四年に町当局で建設されました、勉強の宿泊施設『学習館』などがその象徴的なものです。その甲斐あって、学力向上や多くの公務員合格や大学等への進学実績などが上がり、現在もその伝統は受け継がれています。

併せて部活動でも実績を挙げ、軟式野球部の全国制覇をはじめ陸上競技部や文化部の百人一首部などで全国大会出場を果たしています。

また農業教育におきましても農業クラブの全国大会に測量競技などに出場するなど、文武両面にわたる活躍がありました。それ以外でも地域の清掃ボランティアや福祉施設でのボランティア活動に早くから取り組み、近年は、世界文化遺産候補の崎津集落の観光ボランティアガイドをするなど幅広く活躍しています。

生徒の成長に加え、河浦高校にご勤務された多くの先生方が、「河浦高校での勤務経験がとても良かった。その後の教師としてのあり方や生き方を学ばせてくれた。」などと話され、生徒とともに教員も河浦高校で育っている思いがしています。   

河浦高校転出後の先生方のご活躍等を見聞きするにつれ、河浦高校が果たしてきた役割の大きさに気づかされます。

 

このような成果も、ひとえに本校の発展と教育の充実のために御尽力いただきました熊本県教育委員会様、歴代の校長先生をはじめ昼夜を問わず熱心に取り組んでいただきました教職員の皆様方、育友会及び同窓会、並びに地元行政や地域の皆様方の深い御理解と御協力・御支援の賜であり、心より厚くお礼申し上げます。

学校はなくなりますが、これらの地域に根ざした取り組みの精神は、新設された天草拓心高校や牛深高校に引き継がれるものと確信しています。

終わりに、私たちを育ててくれた河浦高校と、今日お越しいただいた皆様方への、感謝の念とお礼の言葉を申し上げ、平成29年3月31日をもって熊本県立河浦高等学校は閉校することをお伝えし、式辞と致します。

 

平成29年3月4日    校長 木庭 敬勝

  

 

閉校式典 生徒代表のことば

 

 辺りには梅の花の香りが漂い、小鳥のさえずりが春の訪れを告げています。 この春が、河浦高校の迎える最後の春となり、六十七年の歴史に幕を閉じようとしています。入学前からこの日が来るのは分かっていましたが、いざとなったら惜別の思いが込みあげてきます。それと同時に河浦高校で過ごした色鮮やかな高校生活が走馬燈のように浮かんできます。私達が行うことには絶対「最後」という文字がついてきました。あまり意識はしなかったものの、校舎から学年が一つずつ減っていくと、閉校へのタイムリミットが近づいているのだなと実感しました。

 河高の閉校にあたり、残された時間を最大限に使って様々なことに挑戦しました。河浦高校でしかできないこと。河浦高校だからできることをたくさん経験させていただきました。

 4月に発生した熊本地震。連日ニュースで見る熊本の惨状に胸を痛めました。そんな中で中止も検討された最後の体育祭。幸いにも天草に大きな被害はなかったこと、そして何より天草から熊本へエールを送ろうと開催されました。当たり前だと思っていることに感謝をし、喜びを噛みしめ、全力で競技しました。当日はきれいな青空の下、たくさんの方に来て盛り上げていただき、最高の体育祭となりました。

 今年度の文化祭は、河浦町文化協会の方と協同で開催枯れました。4月から天草を離れる人も多くいるため、故郷天草を愛するという「愛郷」をテーマに掲げました。ステージ装飾や展示物、出店そして人の優しさや、天草の魅力がたくさん詰まった文化祭になりました。

 河浦高校伝統の送別ラグビー大会。最後のキックオフは雨の中でした。全員泥だらけになりながら、全力でプレーしました。あの青のボーダーとヘッドキャップを見ることができなくなると思うと悲しい気持ちで一杯です。

 

 もう河浦高校で生活を送る高校生を見ることはありません。私達にとって日本一、いや世界一の学校がここ河浦高校だと思っています。この高校に入学できて本当に良かったです。それと同時に、なんでこんなすばらしい学校がなくなるのだろう、そう思います。しかし河浦高校で過ごした時間はなくなることはありません。ここで学んだことを糧に私達の先輩が多方面で活躍されていらっしゃるように、私達もこれから頑張っていきたいと思います。

 河浦高校が大好きです。

 今まで河浦高校を支えてくださった皆様に感謝申し上げ、生徒代表の言葉とさせていただきます。

 平成29年3月4日     生徒代表 中山 愛子