全国高校ロボット競技大会に参加して

 決勝トーナメント1回戦での敗退が決まった瞬間、ある生徒は両手で頭を抱えて天を仰ぎ、ある生徒はフロアにしゃがみ込み、ある生徒は呆然と立ち尽くしました。勝敗が決まる時はいつも無情です。しかし、結果は受け入れなければなりません。審判の判定後、観客席に向かって「有り難うございました!」と朗朗と挨拶する姿は誠に潔いもので、私は胸を打たれました。

 第27回全国高等学校ロボット競技大会は、「集え、競え、次代を担う若き技術者たち!」のテーマのもと新潟県長岡市で10月26日(土)から27日(日)にかけて開催されました。会場は市庁舎も入る大型公共複合施設の「アオーレ長岡」のアリーナ(競技場)でした。御船高校は過去9回の全国制覇を誇り、高校ロボット競技の世界では知られた学校です。しかし、平成26年の宮城県大会を最後に優勝から遠ざかっており、今年こそV奪還を目指し、マイコン制御部ロボット班の生徒達と指導の職員は一体となり準備、練習に取り組んできました。そして、その成果を問うべく臨んだ大会だったのですが、厳しい結果となってしまいました。

 ロボット競技は、技術工作力をはじめ総合力が要求されるものです。規定条件下でロボットを製作し、3人一組のチームで制限時間3分内で用意されたコート上の課題をクリアしていきます。特に今回は、最後の難関として、新潟県の特別天然記念物「朱鷺(とき)」の飛来をイメージした課題があり、ロボットから輪を射出して所定のポール(棒)に入れなければなりません。大会に向けて、生徒達はロボットの調整、改良に努め、操作の練習を繰り返してきました。しかしながら、初日の公開練習時からロボット機器の不具合が発生し、不安定なまま競技に突入せざるをえませんでした。

 御船高校の生徒及び職員は最後まで努力し続けました。機器の不具合が判明し、長岡市内で材料を購入し、ホテルに帰ってから簡単なコースを廊下に設け、職員と生徒が調整作業に没頭しました。諦めないその姿勢を見ていたので、1回戦敗退が確定しても私は充実感のようなものに包まれていました。

 また、今回も「東京御船会」、「関西御船会」など多くの同窓生の皆様が遠路、長岡市の大会会場まで応援に駆けつけてくださいました。何と御礼を申し上げてよいかわからないほど感激しました。敗退が決まった後も、部長の上田君(3年)はじめ生徒達を温かく励ましてくださり、心より感謝申し上げます。

 全国大会に出場した2台のロボット「御船A天神」と「御船B龍鳳」は無念にも動きを止めてしまいましたが、これが新たな始まりです。不死鳥の如く、御船高校は次のロボットを創り出していきます。そして、来年の全国大会を目指します。前進あるのみです。