コロナ禍の中にあっても ~ 熊本県高等学校書道展
第56回を数える熊本県高等学校書道展が12月15日(火)から20日(日)まで熊本県立美術館分館(熊本市)で開催され、最終日には表彰式を行いました。
今年は新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態に私たちは直面しました。学校教育も大きな影響を受け、文化活動の面においても、6月の熊本県高校総合文化祭が中止、8月の全国高校総合文化祭高知大会は生徒の参加ができませんでした。そして、12月に予定されていた全九州高校総合文化祭熊本大会も大幅に縮小され、書道部門の生徒たちの参加は叶いませんでした。社会的に、また日常の生活でも様々な制約を受け、生徒の皆さんは思うような活動や成果発表ができなかった一年だったと思います。それだけに、年の最後を締めくくる熊本県高等学校書道展(高書展)の開催実現は、私たち関係者にとっては特別な意味を持つものでした。
書道に親しむ高校生にとって、この高書展は大きな目標だと思います。今年の高書展には県内46校から218作品が出品されました。コロナ禍で出品数が減少するかと懸念したのですが、例年と変わらないものでした。各校の展示スペースに制限があるため、多くの学校で選考会が行われており、実際にはさらに多くの生徒が大会に参加しています。その中から厳正な審査の結果選ばれた受賞者20人が表彰式に招かれました。受賞者の皆さんは、緊張の色を浮かべながら、晴れ晴れとした表情でした。最優秀賞の8人は、来年8月に開催される全国高校総合文化祭和歌山大会に熊本県代表として推薦されます。最優秀賞に坂口さん(2年)、優秀賞に坂井さん(1年)と御船高校から二人の受賞者を出したことは大きな喜びです。
コロナパンデミックという困難な状況の中でも、多くの高校生が創作に励んできたのです。逆境においても、熊本の高校生は弛(たゆ)みない努力を続け、文化活動をおこなってきたという証が、「高書展」会場に並ぶ作品群です。不遇な一年だったことを微塵も感じさせない、若いエネルギーが作品に満ち広がっているのです。このことを誇りに思います。
コロナ禍にあっても、軸がぶれず精進してきた多くの高校生の成果に触れることができ、「後生畏(こうせいおそ)るべし」(論語)の言葉が浮かびました。
自分が打ち込めるものを持っている若者は、どんな時も強いと思います。