最後のクラスマッチ

 「皆さん、人生最後のクラスマッチです! 楽しい思い出を作りましょう!」

 前生徒会長の田中美璃亜さん(3年B組)の挨拶で、3年生のクラスマッチが始まりました。クラスマッチは学校特有の行事です。クラス(学級)対抗で主にスポーツ活動を競うもので、学校には欠かせない年中行事と言えます。クラスの団結心を養い、チームスポーツを通じてコミュニケーション力を高めあう目的があり、教育的意義も大きいものがあります。そして、何より生徒たちにとっては楽しみな行事で、学校生活に変化を与えます。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大によって、今年度は体育大会、長距離走大会、クラスマッチとスポーツに係る学校行事を中止してきました。本来なら体育大会は3年生がリーダーとして牽引する晴れの場であったのですが、その機会は失われました。このまま何もできずに3年生は卒業することになるかと危惧していたのですが、体育科を中心に企画、準備し、12月23日(水)に3年生だけのクラスマッチ開催を実現できたのです。

 3年生にとって最後のクラスマッチです。3限目から6限目の授業を3学年6クラスだけクラスマッチの時間にあて、1、2年生は通常授業を行いました。競技種目は男子がグラウンドでサッカー、女子は体育館でミニバレーです。天候も味方してくれ、晴天で日中は気温も上がりました。

 さすがは3年生で、サッカー部と女子バレーボール部の生徒による審判のもと円滑に試合が運営され、プレーの技術も高いものがありました。もちろん珍プレーも続出しますが、一生懸命だからこそ珍プレーが生まれるのであり、温かい笑い声や歓声が響きました。スポーツが得意でない生徒は応援や写真撮影に回り、声援を送る姿も爽やかでした。

 バレーボールを追いかけ体育館の床で転げる女子生徒やサッカーで競り合って転倒し体操服が土で汚れる男子生徒の姿を見ていると、熱いものを胸に覚えました。このように思う存分エネルギーを発散する場(学校行事)を3年生は待っていたのだと思います。彼らは、コロナパンデミック下の様々な制約の中、辛抱し、我慢し、自らの進路実現に向け、努力を続けてきたのです。

 時間ほど確かに過ぎ去るものはありません。大変な1年であった令和2年(2020年)も残り一週間。3年生のクラスマッチという学校本来の輝きを少しだけ取り戻すことができたことは、御船高校にとって大きかったと思います。