徒然雑記帖

2019年1月の記事一覧

大きく変わりつつある高校入試

 

 ここで述べることは1月21日にアップした「大学入試が変わる」と関連があるというか、その続編になることを最初にお断りしておきます。

 

 私、教師になって以来、本校生は一体どういう問題を解いて入学してくるのかという観点から、高校入試の問題を毎年、結構時間をかけて眺めています。そして「最近、変わってきているな・・・」とつくづく思っていることが3つあります。

 

 1つ目です。統計を取って分析しているわけでは勿論ありませんが、「平清盛は中国の(  )との貿易に力を入れた」というような単なる知識・理解を問う穴埋め問題に代わって、記述式で「思考力・判断力・表現力」を問う問題が年々増加傾向にあることを実感しています。その記述量自体も増えているのは間違いないはずです。例えば、昨年度の社会科の問題では記述式が8問出題され、新聞に掲載された正解例に示された文字数の合計は、句読点まで含めて208文字にのぼります。過去数年分の5教科の総記述文字数は、一体どう推移しているのかグラフ化してみると、きっと顕著な傾向が見えるはずだと睨んでいます。

 昔から証明が定番の数学は勿論のこと、国語や英語だけでなく、最近では理科や社会科でも、因果関係を説明させるものや、資料やグラフ・図表などを読み取って記述させる問題などが盛んに出題されています。しかも、解答を引き出すまでに読まなければならない資料や問題文がとにかく長くて多く、短時間に的確に自分の考えをまとめるためには相当な思考力や表現力が問われます。日頃から授業に主体的に臨んでおくことは勿論、様々なジャンルの本や新聞等を読んで自分の見識を深め、社会の動きにも関心を持っておくことが必要だと痛感します。

 

 2つ目は、1つ目で述べた「思考力・判断力・表現力」を問う記述式の問題が多く出題されるようになっていることから当然言えることですが、難化傾向にあるということです。

 私は専門が機械ということもあり、数学と中学生の頃から苦手だった「月」の問題を除いた理科だけは毎年全ての問題に挑戦しています。数学で例年出題されている二次関数と一次関数を組み合わせた問題や図形の融合問題(B問題)の中には、片手間では解けず、自宅に持ち帰って考え込むような問題がこのところ必ず1問はあります。誰がこんな難しい問題を作ったんだろう、この問題が時間内に解ける受験生がいるんだろうか、ひょっとして宇宙人?と思うほどです。そういう超優秀な頭脳の持ち主を早期に把握して、次のステップに向けて入学後の指導計画を立てるというのも高校にとっての難問の役割なのかもしれませんが・・・。

 

 3つ目は、設問の中で「会話形式」で進めていくパターンが著しく増えているということです。「対話」の強調は、「主体的・対話的で深い学び」を求める次期学習指導要領を貫くキィ・コンセプトでもあるわけですが、具体的には、初めにある事象や実験が示され、これに対して数人が話し合いを進め、考察し、その過程の中に問題を組み込むパターンです。

 例えば、昨年度の理科の問題では、由香さんと卓也君の会話が次のように出題されていました。

 

 由香:・・・・の河原で安山岩が見えたのはなぜかしら。

 卓也:・・・・を考えるとわかるかもしれないよ。・・・・・も興味深いね。

 由香:・・・・についても、もっとくわしく調べたいね。

 

 「~かしら」って女性語?かなり無理をして作問したようで、思わず「かわいいな・・・♪」とニヤケてしまったのは私一人ではないはずです。(「俺は・・・」で始まる会話はついぞ見たことがありません)

 それはさておき、この手の問題は私たち教師に、「子どもたちに考えさせる授業をしていますか?」というメッセージを投げかけているように思えてなりません。

 昨年度の社会科では、授業の一場面を扱った会話を元にした問題が出題されました。それをよく読んでみると、「先生」は何も知識を与えていません。ただ話題を提供して、答がある方向に誘導しているだけです。少々知識のある大人であれば、子どもに解き方を見せたり、答を与えたりすることは簡単です。しかし、そんなやり方ではダメだと言っているようにも思えます。

 中国には、「飢えている人に魚を与えると喜ばれるが、その場しのぎにしかならない。それよりも魚の釣り方を教えてあげることがその人のためにはなる」といった趣旨の老子の言葉に由来する格言があります。確かに、人に魚を与えても1日で食べてしまい、釣りを教えれば一生食べていけるわけですが、この格言は教育の現場でもしばしば引用され、まさに言い得て妙です。授業も一緒。授業が単に勉強を教える場となってはいけません。こうした入試問題は、「人生の課題解決の知恵を子どもたち自身が獲得できるような授業が求められている」ということを暗示しているようで、厳粛に受け止めなければならないと思っています。

 

 話は変わりますが、1月21日の記事で触れた大学共通テストのプレテストでも、生徒と先生の会話、生徒同士の議論といった「会話形式」の中での問題がほぼ全ての科目にありました。次は、平成30年の数学Ⅱ・数学Bの問題です。

 

 花子: これは前に授業で学習した漸化式の問題だね。まず,・・・・の形に変形するといいんだよね。

 太郎: そうだね。そうすると公比が・・・・の等比数列に結びつけられるね。

 花子: 求め方の方針が立たないよ。

 太郎: そういうときは,・・・・を代入して具体的な数列の様子をみてみよう。

 花子: ・・・・となったけど…。

 太郎: 階差数列を考えてみたらどうかな。

 

 「こういう数学的会話が教室で本当に展開されるのかな?」「正直、こんなに物分かりのよい生徒はいねぇよ!」といった受験生の斜に構えたような感想も多数あったようですが、共通テストも高校入試も、形としては全く同じ傾向です。結局、大学入試が変化しているので、高校入試も変化していると考えるのがもっとも自然といえるでしょう。

 

 そのような思いで大学入試センターのHPに公開されているプレテストの問題を改めて眺めていて面白いことに気付きました。

 作問の在り方をつくづく考えさせられます。「超駄」かもしれませんし、少々長くもなります。お暇な方はおつきあいください。これは、平成30年のプレテストの国語の古文の問題の最後の設問です。源氏物語からの出題でした。以下に抜粋します。なお、○○や△△、・・・などは、それぞれコッテリした文言が入っていますが、この問題を考える際には全く関係ないので省略しています。

 

 二重傍線部の解釈として、会話の後に六人の生徒から出された発言のうち、適当なものを二つ選べ。ただし、解答の順序は問わない。

 

 生徒A: 私は○○だと思います。

 生徒B: そうかなあ。私は△△だと思います。

 生徒C: 私はAさんの意見がいいと思う。つまり・・・ということになるね。

 生徒D: 私もAさんの意見でいいと思うけど、✕✕に関してはCさんとは意見が違って・・・・。

 生徒E: いや、私はBさんの意見ほうが正しいと思うよ。・・・だから。

 生徒F: 私もBさんの意見のほうがいいと思う。でも、・・・だよ。

 

 「これって本当に対話だろうか?」、そのような思いはとりあえず置いておき、単純な組み合わせの問題と捉えると、で15通り(AとB、AとC、AとD、AとE、AとF、BとC、BとD、BとE、BとF、CとD、CとE、CとF、DとE、DとF、EとF)の組み合わせが考えられます。

 ここで、話の流れを吟味してみます。まず生徒Aと生徒Bが大きく2つの異なる見解を出して、それに対して生徒A側に賛同する立場から、生徒Cと生徒Dが異なる見解を補足しています。同様に生徒B側に賛同する立場から生徒Eと生徒Fが異なる見解を補足しています。そのことは、・・・等で本質的な所を抜いたこの会話からでも見抜けます。

 

 Aの意見に賛同しているのはCとDであり、Bの意見に賛同しているのがEとFであることを考えあわせると、まずAとBで大きな二者選択になってしまうので、AとBの組み合わせを即削除、そして、AとE、AとF、BとC、BとDの4通りも論理的にあり得なくなり、すぐに除外が可能です。

 同様に考えると、CとD、EとFも矛盾しているし、CとE、CとF、そしてDとE、DとFもヘンな組み合わせとして除外できます。

 結局、AとC、AとD、BとE、BとFの4通りのうちどれかという問題です。実際、この問題の正解は、BとFです。

 

 よ~く考えるまでもなく、二重傍線部の解釈を誤り、最初の選択であるAかBの選択を誤るとAとCやAとDを選択しかねず、その場合全滅してしまう可能性があります。この問題の配点は1問7点であり、2問で14点という今回の国語のプレテストの中では最大の配点になっていました。14点ゲットできるか0点か、この差は実に大きいと思います。こんなときは、「矛盾していることは重々承知でAとBを選ぶと7点は確保できるんじゃ?」とかやけくそ気味に考えた受験生がいたかもしれません。

 

 そういうことで、生徒たちが対話や議論する問題で思考力・判断力等を問う問題を作問するのは、難しい一面があると考えさせられたところでした。

                                        【校長】

What is your belief?

 

 1月最後の週が始まりました。3年生は今日が最後の授業日、そして明日から学年末考査です。3年間の集大成の試験になります。全力で取り組んでください。

 ところで、先週の週末、特に26日(土)は、時折雪が舞う大変寒い一日でした。生徒の皆さんはどのようにお過ごしでしたか?

 私は当日、九州ルーテル学院大学で開催された「英語スキットコンテスト」の応援に行きました。今回で3回目になるこのコンテスト、県内の公立、私立高校から合計46チームが出場し、本校からもA、B2チームが参加しました。

 スキット(skit)とは、「寸劇」を意味します。参加者2〜3人で構成する1チームが英語の台詞による寸劇(3分以内)を行い、内容・演技・英語による3つの基準で得点を競う方式で実施されました。

 

 今回のテーマは、"belief"(信念)です。「あなたの『信念』は何ですか?」と、いきなりマイクを突きつけられたら多くの人がたじろぐと思います。心の軸とも言える「信念」、これを3分以内でどうコミカルにまとめるか、演技力や英語力の前に劇の構想力が問われます。

 

 Aチーム(星原夢杜【1MB】君・平川皇樹【1MB】君・玉村慶太【2MA】君)は、"The world of AIs and human beings"のタイトルで、AI(人工知能)と人間がものづくりの大会で勝負します。その結果はいかに?

 Bチーム(中島洸志【1AT】君・畑早和【1AT】君・段村冷美【2AT】さん)が演じたのは、宮大工を目指し日々技術の修練に励む高校生が、前が見えない壁にぶつかっているという設定です。そこに通りかかった同級生が・・・・。タイトルは、"Where there is a will, there is a way"(「意志あるところに道あり」の意味)で、ある意味"belief"の言い換えと言っていいかもしれません。

 それぞれ、生徒たちが頭をひねって考えたシナリオと聞きました。一月ほど前、シナリオを読ませてもらったときから、「実に工業高校生らしい着想で面白い!」と、ずっと期待していました。

 

 本番はミスなく、練習してきた最善の演技を多くの観衆と審査員の前で披露することができました。周りの先生方からの感想も好評なようで、ワクワクして結果を聞きましたが、残念ながら2チームともに決勝コンテスト進出は叶いませんでした。会場を後にしようとしたとき、「非常にメッセージ性のある、いいスキットだと思った。そのことを是非お伝えしたかった」と、わざわざ言いに駆けつけてくださる他校の先生もいて、嬉しく受け止めたところです。

 

 次回大会での決勝コンテスト出場と上位入賞を目指して、また新たな取組みが始まることでしょう。他の球磨工生にとっても良い刺激となること間違いありません。私、残念なことに英語がよく聞き取れず半分も理解できませんでしたが、表情豊かにプレゼンテーションをする高校生たちに圧倒される半日になりました。

 英語科の先生方には毎日遅くまで御指導いただきました。大変お世話になりました。また、保護者の皆様には応援ありがとうございました。

 

                                       【校長】

 

大学入試が変わる

 

 本日から県立学校の前期(特色)選抜の出願が始まりました。前期選抜は、本校の各科に関する学習に興味・関心があり、意欲的積極的な志望動機を持つ受験生の中から、その多様な能力や適性、意欲や関心、努力の成果などの優れた面を積極的に評価して選抜するものです。願書を託された中学校の先生方が次々と手続きに訪れ、受験シーズンが本格化した感がします。

 本校を目指す受験生の皆さん、体調に気をつけて頑張ってください。

 

 ところで、昨日、一昨日と「大学入試センター試験」が実施されました。全国で50万人余りが受験したとあって、テレビ等でも大変大きく報じられました。その中で必ず言い添えられたことが、「センター試験は来年2020年1月実施(2021年度入学者向け入試)を最後に廃止され、2021年からは、『大学入学共通テスト』(新テスト)が実施される」というものでした。

 今の高校1年生以下は、この新テストを受験することになります。

 

 本校生の大半が就職を選択しており、進学では国公立系でも工業高校枠の推薦入学制度を活用している者がほとんどで、今年度はセンター試験を受験した生徒はいませんでした。しかし、昨年度、一昨年度それぞれ1人ずつではありましたが、受験生がいたことは事実です。「入試制度が変わる」という報に接し、高校1年生やその保護者、中には中学3年生やその保護者の皆様の中にも、漠然とした不安をお持ちになられた方も多いのではないかと案じております。

 今日は、大学入試の試験内容等がどう変わるのか、本校としてどう対応しようとしているのかを簡単にご説明をします。

 

 「グローバル化や第4次産業革命に対応しうる人材を育成するため、新しい学力評価制度・大学入試制度の設立が必要である」ということが、この入試改革の背景にあります。文部科学省HP内の「大学入学者選抜改革について」では、そのような人材育成のためには、「学力の3要素」である①知識・技能、②思考力・判断力・表現力、③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度、の3つを育成・評価することが重要であると記されています。

 では、具体的に何がどう変わるのか。センター試験にはなくて、新テスト(共通テスト)に新たに導入・変更されるものが3つあります。1つ目が「記述式問題」、2つ目が民間の検定試験を活用した英語の「4技能評価」、3つ目は提出書類に「志願者本人の記載する資料」等が加わるなど「調査書等の見直し」です。

 

 まず1つ目です。現行の「大学入試センター試験」は、正解を選択肢の中から選ぶだけの出題形式ですが、新テストでは記述式の問題も加わることになります。このことで、「自らの力で考えをまとめさせたり、相手が理解できるよう根拠に基づいて論述させたりすることで、思考力・判断力・表現力が評価できる」としています。また、高校や中学校では「主体的・対話的で深い学びに向けた授業改善」が促され、大学では高校で身につけた「思考力・判断力・表現力」を前提とした質の高い教育の展開が期待できるとされています。

 

 2つ目の英語の「4技能評価」。これは現行「大学入試センター試験」で実施されている「読む」「聞く」テストに、「書く」「話す」技能の評価を加えようというものです。急速に進むグローバル化へ対応するために、コミュニケーション重視の英語教育が一層求められていることが背景にあるわけですが、この「書く」「話す」テストのノウハウは、民間の検定試験実施会社の開発が相当進んでいるので、それを活用しようというものです。ケンブリッジ英語検定、TOEFL iBT、TOEIC(L&R・S&W)、実用英語技能検定(英検)などが共通テストの「英語」の試験として、成績提供システムに参加することが決定しています。受験生は、高校3年生以降の4月~12月の間に受験した2回までの検定試験の結果を共通テストの成績として、大学に提供することになります。

 

 3つ目の「調査書等の見直し」。これは、「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価するため、高校生一人一人が積み上げてきた大学入学前の教育活動を評価することを目的としています。現行の調査書は、A3見開き1枚の様式となっていますが、この制限を撤廃して、より弾力的に記載できるようにするため、2021年度入試では調査書に記載される内容量がさらに増えるほか、「志願者本人の記載する資料」の提出が求められる予定です。これは大きく、①活動報告書(「総合的な学習の時間」等において取り組んだ課題研究等、生徒会活動、部活動、ボランティア活動、資格・検定等、各種大会・コンクール等、学校の内外で意欲的に取り組んだ活動など)、②大学入学希望理由書や学習計画書(各大学の学部等の教育内容を踏まえ、入学希望理由や入学後に学びたい内容・計画、大学卒業後を見据えた目標等)からなり、志願者本人が記載するものです。

 

 この大学入学者選抜改革、記述式の導入により、これまで可能だった自己採点ができなくなります。また、50万枚を上回る答案に対してどう採点委員を確保して、採点基準のレベルを合わせるのかも気になります。マスコミも盛んに報じているように、高校、大学双方から批判を含め様々な視点から意見が噴出しているわけですが、レールは敷かれてしまいました。大学全入時代と言われる今でも、大学入試は当事者にとって一生の一大事であり、高校側はその対応が早急に求められています。

 

 御存じのとおり、大学入試センターは「大学入学プレテスト」と称して試行テストを平成29年と30年の2回実施し、思考力・判断力・表現力を問う記述式の問題とは一体どういう問題なのか、そのイメージを明らかにしました。本校の先生方にも問題の分析と、日頃の授業への反映をお願いしたところです。

 また、教務部を中心に「主体的・対話的で深い学びに向けた授業改善」の視点を持った研究授業を企画し、思考力・判断力・表現力の育成を目指すとともに、記述式の問題への対応も意識した授業を展開しています。例えば、英語科の授業では、工業科目とも協働し、生徒の発信力を高め、英語を「書く」「話す」活動にアクティブに取り組めるよう、研究・実践を進めています。

 さらに、「志願者本人の記載する資料」のうち①活動報告書については、今年度から各行事や学期の終わりごとに生徒たちに記述式の振り返りを求め、ポートフォリオ(学習の過程や成果などの記録を、計画的にファイル等にためておくこと)として記録を残すことを始めたところです。

 これらの取組はまだ緒に就いたばかりですが、県内の他の工業系高校とも情報交換を密にしながら、新しい入試制度に向かって用意周到に対応するつもりです。

 

「志願者本人の記載する資料」のうち、①活動報告書は、文字通り生徒が活動したことについて記述します。つまり、活動した生徒だけが書けることになります。ボランティアを積極的にしたり、資格試験に意欲的にチャレンジしたりすればするほど充実した報告書が書けるわけです。この報告書が提出できると、入試の際に加点の対象になることが十分に考えられます。また、本校では全員が課題研究に取り組みますが、研究の中心的なリーダーとなって取り組んだ生徒と、先生やリーダーに指示されたことだけに取り組んだ生徒とでは報告書の内容に違いが出てくることは明らかです。高校生活をより主体的に送り、充実させることで報告書の内容も豊かで充実してくることでしょう。

 ②大学入学希望理由書や学習計画書は、大学に入って自分が何をどのように学びたいのかを詳細に記述します。大学側はこれまで学力で受験生をふるい落としていました。しかし、現在「大学全入時代」と言われるように、大学の定員数と大学進学希望者数に差がありません。受験生はより好みさえしなければどこかの大学には入学できます。そのような中、学ぶ目的意識が乏しい学生が入学後に伸び悩むことを目の当たりにし、苦慮している大学側としては、「入学後も主体的に学んでいく学生を取りたい」という意識に傾くのは当然であり、「大学で学べること」と「生徒が学びたいこと」のマッチングがより重視されるようになっているわけです。

 本校では、大学進学だけではなく、就職に関しても、将来どのような仕事をしたいのか、その仕事をするために自分に足りないものは何かを考えさせることにも力を入れています。

 

                                           【校長】

 

 

月やあらぬ

 

 今朝、1年生は5時頃から次々に登校、5時30分から凜とした中、修学旅行の出発式を行いました。

 インフルエンザ等での不参加者もなく、197人全員が6時5分、無事出発しました。

 

 

 保護者の皆さまには早朝からの送迎、大変お世話になりました。事故・怪我なく旅程が進み、楽しい思い出を沢山作ってきてほしいと願っています。

 

 

 話は変わりますが、官舎から本校までの通勤路の脇の民家の庭先に梅の木があり、3分咲き位でしょうか、清楚な花が咲いています。

 「梅に鶯」連想で、その梅の木にウグイスが来て「ホ~ホケキョ♪」と鳴いている写真を撮ろうと昨日10分ほど待ってみましたが、とうとう来ませんでした。写真部の生徒たちが校内で「一瞬」を狙っている姿を時々目にし、その粘り強さに頭が下がります。私は早々引きあげました。

 

 鳥のことを解説したあるサイトに、「梅の木に止まっている鳥はメジロの可能性が非常に高い。ウグイスとメジロは姿が似ているのと、メジロはウグイスの鳴き声と同じタイミングで梅の木に止まるため、ウグイスと勘違いする人が大変多い・・・」とかありました。私、メジロとウグイスの見分けはつきません。もし写真が撮れていたら、あわや梅の木に止まるメジロの写真を誤ってHPに載せるところだったかもしれません。冷や汗ものです。

 

 梅の花について誰かと話すと、意外なことに桜より梅の花のほうが好きだという人が多いように思います。桜の花の儚さの美しさに対して、梅の花は何かしら力強さを感じます。その香りにも魅せられている私は、今年楽しみにしていることがあります。人吉市大畑(おこば)町の「人吉梅林」を訪ねることです。市のHPによると「白加賀(しらかが)や青軸(あおじく)を中心に、鶯宿(おうしゅく)など白桃系統も合わせた約4,600本の梅の花が咲き誇ります。周辺一帯は梅の香りに包まれ、白やピンク色の花が広大な斜面を彩る優美な世界に・・・」とありました。ずっと前から一度行ってみたい・・・と思っていました。せっかく縁あって人吉で勤務しているのに、昨年は都合で行けなかったので今年こそ。催事も行われる2月24日(日)が待ち遠しいです。できれば、昨年9月に大畑駅に開業したフレンチレストランにも足を運んでみたいです。

 

 最後に・・・、梅ときたら私にとっては「鶯」じゃなくて、「月やあらぬ」が条件反射です。

 恋人を失った男が、去年の春にその恋人とともに過ごした、もう住む人のいない家を訪れて詠んだ在原業平のこの和歌、切なすぎます。

 

 月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ わが身ひとつは 元の身にして

 

 あなたと共に見上げたあの月も、あなたと一緒に芳しい梅の香りを楽しんだ春も、そしてあなたまでもお隠れになり、私の周りのものは何もかも変わってしまった気がする。私だけは元とのままで変わらないのに・・・と、世の無常と手が届かない所に行ってしまった恋人に思いを馳せ嘆いている歌だと高校の時に教わりました。

 

 伊勢物語の4段の悲恋をもとにしたラブストーリー、我が家の本立てにもそのコミック本があります。

 間もなく別れの季節、3月がやってきます。

                               【校長】

 

2019年と国道219号線のワクワクする関係

 

 明けましておめでとうございます。皆様には希望に満ちたいい新年をお迎えになられたことと思います。今年も本校のHPをどうぞ宜しくお願いします。
 さて、生徒の皆さん方はお正月、いかがお過ごしでしたか?
球磨川では早くも3日に、寒風を衝いてカヌー部が初こぎをしたと報告を受けました。

 

 私はというと、学校に通う子がいた頃は、元日の朝はそれなりの緊張感があったように記憶しています。でも、みんな巣立ってしまった今、大きな感慨もなくこたつの中で本を読んだり、始業式で何を語りかけようかと考えたり・・・そんな数日間でした。
 とはいうものの、これから1年間お世話になる新年号の2019という数字には何かしらワクワクするものがあります。
 既に昨年11月27日の記事でも話題にした通り、2019は3×673と素因数分解され、2つの素数の積として表される「半素数」です。そして、今日を含め残り114日になった平成31年、この31は素数です。
 早速、1から9までの数字をこの順に並べて、加減乗除等を施して2019と31を作る小町算をしてみます。

 

  1+2345-6×7×8+9=2019

  1×2+345×6-7×8+√9=2019

  -1+2+(3!)!!!-45+6×7×8×9=2019

  (1×2-3×4+5+678)×√9=2019

  {(1+2)!-3}×(4!!-5!!!+678-√9)=2019

  12×3+4×5-6×7+8+9=31

  12÷3+√4-5+6+7+8+9=31

  (1+2+3)×4+56÷7+8-9=31

  1×2÷3×4×5×6-7!!!-8!!!!!+√9=31

  sin-1(1/2)-tan-1(√3)-4+(5-6)×7+8×9=31

 

 どちらもとりあえず5通りずつできあがりました。まだまだできそうな気がします。
 昨年12月19日の記事でも触れたとおり、6[]4[×]7[]5=29 程度ではありますが、小町算は就職試験のSPIの常連で筆記試験でも多くの企業が出題しています。日頃からこういう機会を捉えて、紙と鉛筆を持って実際に試行錯誤しておくと、数に関する感覚が磨かれ備えは万全になるはずです。誰も考えつかないという渾身の一式ができあがったら是非教えてください。

 

 暇つぶし?のついでに、今年の素数日も調べてみました。
 素数日とは、2019年2月21日を20190221のように8桁で表すと素数になる日です。ネット上の「素数一覧」のサイトから拾い出した今年の素数日は次の19日です。

 

 20190221、20190227、20190301、20190319、20190323
 20190421、20190523、20190529、20190601、20190613
 20190719、20190811、20190823、20190913、20191009
 20191027、20191109、20191117、20191231

 

 和暦(平成31年)ではどうなんだ?と、考えるのは自然なことです。このまま何も起きなければ、1989年1月8日に始まった平成は、11070日続いて、今年の4月30日に終わることになります。31****のような6桁表示の素数日は次のとおりわずか7日でした。

 

 310111、310117、310127、310129、310223、310313
 310423

 

 工業高校で学び数字とは縁が切れないはずの皆さん方に、数字を見る目や数的処理のセンスが高まるようにとの願いを込めて、今年もこのサイトを充実していくつもりです。どうぞ宜しくお願いします。
最後に・・・、本原稿は下の注釈まで合わせて全部で2019文字です。
                     【校長】

 

 なぜ2019にワクワクするのかずっとひっかかっていました。そしてやっと判明しました。県庁での出張や自宅がある熊本への往復でいつも愛用している国道219号線と数字がよく似ているからでした。夜は鹿と遭遇して冷やっとすることが多いのがこの国道です。
 ちなみに、八代市から人吉市までの約40kmの間に「国道219」の看板が全部で何箇所立っているか数えたことがあります。全部で27箇所でした。平均して1.4kmに1回、219という数字が嫌が上でも目に飛び込んできます。

 

 早速、219を素因数分解してみました。  219=✕73 です。
 先ほども触れたように、2019のほうは、2019✕673 でした。
 どちらもという素因数が共通しています。これがワクワクする原因でした。
ワクワクしたついでにちょっとしたクイズを作ってみました。下の①~⑤に当てはまる数字は何でしょう?数学検定級程度の規則性を見つける問題です。

 

 3✕ 73= 219
 3✕173=【 ① 】
 3✕273=【 ② 】
 3✕373=【 ③ 】
 3✕473=【 ④ 】
 3✕573=【 ⑤ 】
 3✕673= 2019 

 

 答 ①:519、②:819、②:1119、③:1419、⑤:1719
  ※00ずつ増えている理由は?

 鹿に関連したクイズをもう一つ。漢和辞典で一番画数の多い漢字は何でしょう?

 憂鬱(ゆううつ)のではありません。29画です。答は鹿を上に1つ下に2つ計3つ書いた「」で33画です。この漢字は「粗」と同じで、音読みは「ソ」、訓読みは「あらい」と読むようです。ちなみに牛つの犇は「ひしめく」と読みますが、という漢字もあります。何と読むか知ってますか?猫がつの漢字は見つかりませんでした。