徒然雑記帖
3乗の展開の公式
いつも本校のHPにお越しいただきありありがとうございます。
今日の2限目、3階の1年生の教室です。建築科や機械科ではモーメントや力の合成など専門の内容が本格的に始まっていました。また、電気科では数学で3乗の展開をやっていました。
3乗の展開とは、(a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3 の公式を使って(2a+3b)3などを求めるものです。
板書されたこの公式が廊下越しに見えて、自分が高校の時の数学の恩師(故人)のことを思い出してとてもノスタルジックな気持ちになりました。
その先生、中学数学で学んだ2乗の展開公式と3乗、(そして発展的に学ぶ)4乗の展開公式の中に出てくる各項の係数を抜き出して板書され「規則性を見つけてごらん」と水を向けられたのです。
どういうことかというと、
(a+b)2=a2+2ab+b2
(a+b)3=a3+3a2b+3ab2+b3
(a+b)4=a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4
各項の係数を抜き出すと
121
1331
14641
なかなか見えてこないかもしれませんが、
(a+b)1=a+b
を2乗の展開公式の上段に加えて、係数の並びを少しずらすと
11
121
1331
14641
のように、綺麗な三角形の形に係数が並んでいきます。そして上の段の係数と下の段の係数の間には規則性があります。
この記事をお読みの1年生や中学生の皆さん、もう見抜けましたか?
上の段の左上の数と右上の数の和が下の段にきています!
この三角形は「パスカルの三角形」(Pascal's triangle)と呼ばれています。圧力や応力の単位[Pa]として工業で学ぶ皆さんにとってはおなじみのフランスのパスカル(1623~1662)ですが、彼が最初に気付いたからということでしょうか?名前が残っています。しかし、数学史を紐解くと、実際にはパスカルより何世紀も前の数学者たちも研究していたようです。
従って、14641の下の段の数字の並びは、1 5 10 10 5 1 となりますので、(a+b)5の展開公式は、
(a+b)5=a5+5a4b+10a3b2+10a2b3+5ab4+b5 となります。
係数の並びは分かるけどa4bとかがどういう仕組みになっているのか、こんがらがっている人がいるかもしれません。
a について見るとa5, a4, a3, a2, a1, a0(a0=1)のように次数が下がり、
b について見るとb0,b1,b2,b3,b4,b5のように次数が上がっています。ここで、aとbの次数を合わせるといつも5次(5乗)になるということは見逃さないで下さい。
まぁ、こういう公式なんて覚えていなくても、気合いで1つずつ展開すれば済む話なんです。でも、覚えていたほうが速く解けるし、計算による脳のエネルギー消費を節約することができるわけです。最後に・・・
Which do you like better, expansion or factorization?
(展開と因数分解、どちらが好きですか?)
私は断然・・・。
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