2022年2月の記事一覧
梅花(ばいか)寒苦(かんく)を経(へ)て清香(せいこう)を放(はな)つ
本校の東側に天神門があります。その脇にある梅の花が咲き始めました。紅白が一本ずつありまして、白梅の方がちょっと花が多い様子です。紅白1対の梅の木は平成15年に植えられたと石碑にあり、タイトルの句はこの石碑に刻まれていました。
さて、季節を感じたときには短歌をおすすめします!日本に文字ができる前から存在していた短歌。そのDNAは皆さんの中にもあるはずです!
ここでは梅を読んだ短歌をご紹介。
『古今和歌集』より
君(きみ)ならで 誰にか見せん 梅の花 色をも香(か)をも 知る人ぞ知る(紀友則)
現代語訳 (梅の花を折って、あの人に贈ったときの歌)この梅の花はあなたでなければ誰に見せましょうか、いえ、誰にも見せる気はございません。この色の美しさも、この香りのすばらしさも、あなたにしかわからないのですから。
作者の紀友則(きのとものり)は今から1,100年ほど昔の人です。当時は旬の植物を添えて和歌を送っていました。送られた側は花がついた梅の枝と和歌が送られてきたのですから、何なのかしらとドキドキしたでしょうね。今回のは梅の花ですが、「すばらしさはあなたしかわかないのですから」というところは、ロマンチックなセリフです。
『万葉集』より
春(はる)されば まづ咲く やどの梅の花 ひとり見つつや 春日(はるひ)暮らさむ(山上憶良)
現代語訳 春になると最初に咲く庭の梅の花を、1人で眺めながら春の1日を過ごすのだろうか、いやそのようなことはできない。
作者の山上憶良(やまのうえのおくら)は奈良時代初期の人です。この和歌は現在の太宰府で大伴旅人( おおとものたびと)が主催する梅花の宴にて詠まれたものであることがわかっています。現代語訳で「1人で眺めながら春の1日を過ごすのだろうか、いやそのようなことはできない」とあるのは、梅の花は1人で楽しむのではなく、みんなで楽しみたいものですという解釈となるそうです。
2月4日は立春、2月19日は雨水でした。まだまだ寒い日が続きますが、日中は穏やかな陽光と暖かい風を感じるときがあるでしょう。ふとしたときに五音七音の調子で言葉を紡いでみてはいかがでしょうか。
日常にアクセントを
2月4日(金)は立春です。この日からは春だ!というのではなく、だんだんと暖かくなる春の始まりを春が立つと書く「りっしゅん」と名付けたのですね。
しかし日本の南部に位置する天草は、立春を待たずして暖かくなっていて、スーパーや産直市場では春の野菜が売られるようになりました。
そこで、今回はお料理の本を紹介します。
吉田企世子監修 『春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養辞典』
春夏秋冬ごとに旬の野菜が紹介されています。
2月は春なので、赤タマネギ、あさつき、イチゴから始まり実にたくさんの野菜が掲載されています。しかも主な栄養成分や料理のコツなども具体的に書かれていて、料理に役立てることができます。
2冊目は東京慈恵会医科大学付属病院栄養部監修『その調理、9割の栄養捨ててます!』
きれいな写真とかわいいイラスト、調理のコツばかりか正しい切り方、保存方法まで紹介。おすすめの調理方法も書いてあります。
2冊ともきれいなカラー写真で食材について紹介されています。
時間がある日には、旬の野菜をつかって料理をしてみてはいかがでしょうか。