校長室便り

見えないことを大切にする考えの先

  見えないことを大切にする考えの先

今年は冬が長く厳しかったせいか、3月に一気に暖かくなり、桜も例年より早く開花しました。希望の里の桜も散り急ぎ、葉桜になっています。これはこれでピンクと緑色のコントラストが綺麗ですね。

 さて、3月16日に卒業証書授与式を行いました。今年度は、幼稚部1名、小学部1名の計2名が卒業しました。二人とも標準服に身を包み、凛と引き締まった表情が少し大人びた感じでしたね。4月にはそれぞれ、小学部、中学部で新たな先生や学習と出会い、5月には学校外のお友だちとの交流もあります。大いに楽しんで、頑張ってほしいと思います。

式辞では(はなむけ)二つの言葉を贈りました。

一つ目は、「何事にもひたむきに頑張り続ける」ということ。夢中になって取り組めば、きっと、頑張ったという思いは感動とともにいつまでも長く心に止まるはずです。仮に成果がなかなか現れなくても、必ずや成長の糧になります。

二つ目は、「見えないことをもっと大事にする」ということ。それは、形のない思いやりの気持ちや、愛情、信頼、勇気、希望などのことです。フランスの作家サン=テグジュペリは、著書「星の王子さま」の中で、「砂漠が美しいのは、どこかに井戸を隠しているからだよ…」と王子に語らせています。この言葉によって主人公は、人であれものであれ、見えないところに大事なものが隠れていることに気付きます。見えないところに大事なものを見い出そうとするその考えの先に、人の豊かさとか、人生の豊かさがあるとは思いませんか。また、私たちがこれからの人生を生き抜く上では、「まことに辛いこと」が多くあると思います。しかし、私たちはまた、それを乗り越える力も持っていることを自覚したいと思います。時には、愛する人との別れもあるでしょう。それはきっと、人生の中でも最も辛く悲しいことでしょう。愛情が深ければ深いほど別れは辛く、悲しいものです。でも、その辛さ、悲しみは、「あなたの愛がそれほど深く、強かった」ことを教えているのではないでしょうか。その愛情が、悲しみを乗り越える力となり、新たな人生を歩き始める原動力になると信じています。

学校では、今後も子どもたちの夢の扉を開く教育活動を展開して参ります。保護者の皆様、センターのスタッフの皆様、地域の皆様方、引き続き、御支援・御協力をお願いいたします。

      
       平成30年3月20日   熊本県立松橋東支援学校長 松田 満