保護者の声

令和2年度 保護者の声01

 聾学校に通う前は集中して見ることができない、じっと座ることが難しい子でした(北九州では特にそういう場が母と通園だったからかもしれません)。手話も覚えるのは興味のあるものだけで、こちらから問いかけても手話が返ってくることは無い事が殆どでした。言葉がない分コミュニケーションの面で状況を説明したり、どうしてダメなのか、何故行かないといけないのかなど伝わらなかったり、とても困ることもありました。
 幼稚部に通いはじめて色々学んだ中でびっくりしたのはやはり自分の気持ちを伝える力です。言いたい、伝えたい、聞いて欲しいという気持ちが芽生え本人から沢山話しかけてくれることが増えました。そして説明の方法も少しずつわかりやすく変わってきています。指文字も増え、覚えたいという気持ちも増えている気がします(家で自ら指文字カルタを持ってくることがあります)。先日の散歩を通して、〇〇君の指文字はすごく早く表すようになりました!
 普通の幼稚園の場合、きっとこんな心は育たなかったと思います。自分が伝えたことが相手にわかるだろうか、みんなの言っていることがわかるだろうか、伝わらない、わからないのは仕方がないことだ、と思っていたでしょう。難聴児である以上、聴者が多い世界で生きていく中で聞こえる私たちにはわからないような苦しい事も経験すると思いますが、それを小さい頃から可愛い可愛いで育っていける今から経験させる必要がないと思っています。今だからこそ、わかる環境の中で育てたいと思っています。
 引っ越す前は、我が子ほどの重度の難聴の子供はいないだろうなー、聾学校でも誰よりも情報が届かないんだろうなーと思っていたところがありました。が、今は良い意味で裏切られています。
 幼稚部の中で友達ができて、お兄ちゃんお姉ちゃんがいて、一緒に過ごす楽しさや伝わる嬉しさあるからこそ本人がイキイキと毎日通えていると思うと、熊聾で過ごせて心から良かったと思っています。これからもよろしくお願いします。

令和2年10月  3歳児保護者