御挨拶
第39代校長 古閑 千尋
「商業高校の今」
本日は、熊本県立熊本商業高等学校のホームページを訪ねていただきありがとうございます。本校は、明治26年創立、今年で創立から129年目を迎える県内でも有数の歴史と伝統を誇る高校です。また、本校は商業関係学科のみで編成された県内唯一の県立商業高校です。
さて、商業高校をめぐっては、全国的に大変厳しい状況が続いています。まず、生徒数の減少です。全国の商業学科で学ぶ高校生の数は、平成元年は588,741人だったのが、令和5年には162,675人となり、この30数年間でおよそ3.6分の1にまで減少しています。一方、高校生全体の生徒数は、平成元年が580万人であったのに対し、令和5年が290万人と、約半数にまで減少しています。しかし、二つを比較すると、商業学科で学ぶ生徒数の減少率は高校全体の約1.8倍と、その減少率の高さが際立ちます。このような違いが生まれた背景には、少子化の進行とともに進学志向が高まり、中学生が大学、短大や専門学校への進学を目指して普通高校を選択するようになったことがあります。このような商業高校の生徒数の減少は、商業高校や商業学科の統廃合につながっていきました。本県でも、以前は県内に複数の商業高校があり、多くの学校に商業学科が置かれていましたが、そのどちらも数を減らしてきました。
そして現在、商業高校、商業学科に学ぶ生徒は、今後さらに減少すると予想されています。その背景には、店舗型販売や対面取引に代わって、ネット通販等の電子商取引が拡大していること、会計や財務、経理等がAIの導入で自動化されるようになってきていることがあります。つまり、高校商業科で習得した知識や技能を基にした仕事が、そう遠くない未来、コンピュータや機械に取って代わられると考えられているわけです。
しかし、実際はどうなのでしょうか。日本の令和2年度の産業別就業者数の割合を見ると、第三次産業(商業、運輸・通信業、金融保険業、公務、サービス業等)が73.4%で他の産業(第一次産業が3.2%、第二次産業が23.4%)を圧倒しています。また、国内研究機関の推計では、2030年に人材が不足する職業のトップ2に専門的・技術的職業従事者、事務従事者を挙げており、その中の多くの仕事が商業や経済に係る知識、技能を必要とする職業となっています。実は、今こそまさに、商業、経済の専門的な知識や技能を持った人材が必要とされているのです。
とはいえ、その知識や技能は社会や技術の成長とともにリニューアルされ続けています。求められる人材は、リニューアルされる知識や技能を自分自身でアップデートしていく力を持った人材です。本校をはじめ、県内の商業関係高校では、このような力を生徒が身につけられるよう、企業や自治体と連携した実践的で創造的な学習を展開しています。そして、このような学習を充実していく中で学校の魅力化を推進しています。生徒たちは、この学習の中で、主体的かつ探究的に学び、将来に必要な知識、技能とそれらを更新していく力を身につけていくのです。
今後、本校をはじめ県内の商業関係高校は互いに力を合わせ、また切磋琢磨しながら、中学生がこれまで以上に学んでみたいと思える学校となれるよう努力していきます。本ページを訪問いただいた皆様には、今後も本ホームページにアクセスいただき、変化、成長する本校の姿に注目いただけたらと思います。
では、またの訪問をお待ちしています。
熊本県立熊本商業高等学校長 古閑 千尋