寄宿舎

男子棟 活動紹介①

 寄宿舎では日記を書くようにしているのですが、私の担当生徒(4人)には「今日の勝利!」というテーマで書くようにしています。これは、心理学でも研究対象とされている「勝利効果」をねらった取り組みです。勝利効果とは、簡単に言うと「勝ちが勝ちを呼ぶ」という好循環のことを指します。勝ちと言うと、「試合で勝った」とか、「テストで○○さんより良かった」等をイメージするかもしれませんが、そうではありません。ここでいう勝ちとは、日常の小さな成果を指します。

例えば、「朝7時に起きることができた。」「本を1ページ読むことができた。」「ウォーキングすることができた。」 等です。予め目標を立てて、達成できたかどうかを評価するものではありません。今日一日を振り返り、「色々あったけど、これだけは頑張ったなあ」とポジティブな気持ちで床に就いてほしいと願っての活動です。私の意図がどれだけ伝わっているかはわかりませんが、生徒の具体的な記述を紹介します。

 「専門学科で片付けの指示が出ていたのですが、残りの作業時間を考え製作を優先しました。結果、作業を次の日に回すことなくやり遂げることができました。先生に褒められました。」

→指示に従うだけではなく、自分の判断で効率を上げる工夫ができたようです。素晴らしい。

 「ブックオフに行って、一人でDVDを買いました。」

→生活経験が少ない生徒なのですが、一人でレジを通して買い物ができました。相当、ドキドキしたと思います。頭をフル回転させたことでしょう。大きな成長です。

 「先輩の洗濯物をたたみました。」

→急きょ帰省した先輩の洗濯物がポツンと干してあるのに気づき、取り込んで畳んだそうです。その状況判断と行動力はまさに勝利に値します。

 「外に出て、ウォーキングをしました。」

→とても言葉数の少ない生徒ですが、自宅で外に出ることが増えたようです。ランニングもするし、早起きもできるようになったとのことです。成果が出ていますね。

 「今日は道徳の授業がありました。僕は道徳が好きです。なぜかと言うと、道徳には明確な答えがないので答えを考えるのが面白いからです。」

→感動しました。人生には唯一の正しい道などありません。そこにあるのは自己の判断と行動だけです。18歳にして、この境地にたどり着いたのでしょうか。

  生きていると、何をやってもうまくいかない日があります。しかし、そういう日こそ「それでも、これだけは頑張った。」と書くことができることを願っています。