校長室からの風(メッセージ)

2017年8月の記事一覧

変化の潮流の主人公になってほしい ~2学期の始業に当たって

変化の潮流の主人公になってほしい ~ 2学期の始業に当たって

 多良木高校の2学期は8月25日(金)に始まりました。新ALTの新任式、7月から8月にかけての各種大会、コンクール等の表彰式、そして始業式を行いました。式において、生徒の皆さんに私は、変化の潮流の主人公になってほしいと語りかけました。

 この夏季休業中、故郷の八代市に帰省し、外港で海に浮かぶ巨大な豪華客船を見ました。世界2位の規模をもつクアンタムオブザシーズという豪華クルーズ船で、中国上海から来ており、4千人を超える中国人観光客を乗せていました。まさに海を移動する大きな豪華ホテルに私は圧倒されました。八代港へ寄港する豪華客船の数は年々増え、今年は70回になるだろうとの予測です。仮に1回に4000人の乗客があれば、年間に28万人もの中国人観光客がこの多良木町からおよそ90キロ下流の港にやってくるのです。この巨大な豪華客船のことを、八代の人は平成の白船と呼びます。

 江戸時代末期、それまで風の力で進む帆船しか知らなかった日本人の前に、蒸気機関で動く、鉄板の大型船、すなわち黒船が現れ、欧米の文明の力に圧倒されます。そして幕末の動乱が始まり、江戸幕府は倒れ明治維新となります。平成の巨大な白船は、私たちに時代が大きく変わろうとしていることを告げる存在です。急速な科学技術の進展と情報化によって社会は大きく変化しています。人工知能AIは将棋や囲碁の名人に勝利します。人が運転操作しなくても走る自動運転の自動車が一般道を走る日も近いでしょう。このような変化に私たちはついていけるだろうかと不安になります。しかし、私のような中高年はついていけないかもしれませんが、皆さん達若者は、この変化がチャンスです。

 黒船到来で揺れる幕末の日本において、このままではだめだ、欧米列強に後れをとって日本は植民地になってしまうと危機感をいだき、奮起して新しい国づくりに活躍した志士たちは10代、20代の若者でした。世の中が大きく変わってしまったと驚く私のような中高年をしり目に、変化の潮流の中で皆さんたちは主人公となってこの社会を変えていってほしいと期待します。

            

表彰式の様子

新しいALTの紹介(新任式)

 8月25日(金)、2学期の始業式に先立ち、新しいALTの新任式を行い、私のほうから次のように日本語と英語で紹介しました。

「新しいALTの先生を紹介します。アイルランド共和国から来られたチャールズ先生です。

New ALT is Mr Charles Edwin Merchant from The Republic of Ireland.

チャールズ先生は、高校時代に第二外国語で日本語を勉強して、日本にとても興味を持たれ、ALTとして日本で働くことを希望されました。

Mr Charles studied Japanese as the second foreign language at high school. So, He was interested in Japan and He wanted to work as an ALT in Japan.

 チャールズ先生は日本語が上手で、とてもフレンドリーな方です。皆さんと話すことを楽しみにされています。どうか、皆さんの方から積極的に話しかけてください。

 He can speak Japanese well. He is  very friendly . He is looking forward to talking with you. Please speak to him actively .

 ところで、皆さんはアイルランドの首都がどこか知っていますか?

そう、ダブリンです。

By the way, do you know where the capital of Ireland is?

It is Dublin.

 私は、大学生の時に、アイルランドが生んだ大作家のジェイムズ・ジョイスの「ダブリン市民」という有名な小説を読み、深い感銘を受けました。

I read a famous novel the Dubliner written by James Joyce in my  university days.  I was deeply impressed by this novel.

 この小説を読んで、私はいつかアイルランドに行ってみたいと思いました。しかし、その希望は実現していません。

 I read this good novel and  I would like to visit Ireland someday, but that hope has not yet come true.

 アイルランドの人と一緒に仕事をするのは私にとって初めてです。とてもわくわくしています。

It is the first time to work with the Irish . I am very excited.

 私は英語の教師ではありませんが、できるだけ英語でチャールズ先生とコミュニケーションをとりたいと思っています。皆さんもそうしてください。

 I am not an English teacher, However ,as much as possible,I would like to communicate with Mr Charles in English. Everyone,Please do so like me.

 これで私の挨拶を終わります。これからチャールズ先生に自己紹介をお願いします。

 my greeting is over . Mr Chrles Please introduce yourself from now.」


                               新ALTのチャールズ先生に歓迎の言葉を述べる生徒会長

アイルランドから連想すること ~ アイルランド人のALT着任

アイルランドから連想すること ~ アイルランド人のALT着任

 新しいALT(外国語指導助手)のCharles Edwin Merchantさん(男性)が着任され、8月9日に校長室でお会いしました。「チャールズ先生です。よろしくお願いします。」と流暢な日本語での挨拶には驚かされました。高校時代に第二外国語で日本語を学び、それから日本のことに興味、関心が高まり、ALTとして日本で働くことを希望することにつながったそうです。チャールズさんはアイルランドから来ました。ALTの出身国は、USA、イングランド、カナダなどが多く、アイルランド人のALTは私にとって初めてです。

 アイルランドという国名を聞いて連想するのが、アイルラン出身の作家ジェイムズ・ジョイス(18821941)の作品『ダブリン市民』です。アイルランドの首都ダブリンを舞台とした短編小説集で、中でも「死せる人々」は印象深く心に残る物語です。30年前の大学生の頃に読み、感銘を受けました。

 また、熊本市には、熊本アイルランド協会があり、熊本とアイルランドとの交流活動を行っています。「熊本市になぜアイルランド協会があるのか?」と疑問を持たれる人もいるでしょう。それはラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の存在に由来します。『怪談』をはじめ諸作品で日本の伝統文化を欧米に紹介したラフカディオ・ハーンの父親はアイルランド人で、ハーンは幼少期をダブリンで過ごしているのです。ハーンは明治24年に熊本へ赴任し、第五高等中学校(熊本大学の前身)で教鞭をとり(英語を教授)、明治27年まで熊本で生活をしています。軍都として発展しつつあった熊本の街には違和感を抱きながら、「簡易で、善良で、素朴な」熊本の人々の精神をハーンは高く評価しました。ハーン一家が住んだ家は「小泉八雲旧居」として熊本市に保存されています。

 このように、ジェイムズ・ジョイスの『ダブリン市民』の読書体験やラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と熊本の関係を思い起こすと、アイルランドに対して私はとても親近感を抱きます。初めてアイルランド人と一緒に仕事ができるということで、何かわくわくします。新ALTのチャールズさんはとてもフレンドリーな方ですから、きっと生徒たちもすぐに親しむことでしょう。


 


多高野球部が愛される理由 ~ 野球部の地域貢献

多高野球部が愛される理由 ~ 野球部の地域貢献

 毎夏、多良木町と交流している北海道の南幌町(なんぽろちょう)の小学生10人が来町し、本校にも宿泊します。本校にとっても毎年恒例の行事となっています。そして、この交流事業で大活躍するのが野球部です。

 7月30日(日)、多良木町の中心部から北の山間部に向かって車で15分ほど走り、休校中の宮ケ野小学校校舎を訪ねてみました。この日は南幌町の小学生と多良木町の小学生の交流会が予定されていて、多良木町役場の方々が山女魚の塩焼きとそうめん流しの昼食の準備を行っておられました。そして本校の野球部員がそれを手伝っていたのです。18人の選手は野球のユニホームを着て、6人の女子マネージャーは学校の体操服で、それぞれ動き回っていました。そうめん流し用の竹筒を作ったり、小学校前の渓流で山女魚の血を抜いて洗い竹串をさしたり等、活発に立ち働いていました。その健気な様子を見て、私は思わず笑顔となりました。「高校生のみんながよくやってくれていて、感謝です。」と役場の方から御礼の言葉もいただきました。

 夕方、本校のセミナーハウスに会場を移し、女子マネージャーがカレーライスを作り、両町の小学生の夕食会。夜は本校の体育館で野球部選手たちも交じってのビーチボールバレーのレクリエーション。「こんな経験は多良木高校野球部ならではだね。」と私が声を掛けると、生徒たちは笑顔で「はい」と返事をしました。

 本校野球部の齋藤監督は多良木町の社会教育指導員を務めておられるため、積極的に野球部員にボランティア活動を呼び掛けられます。南幌町の小学生との交流行事をはじめ町の文化祭や科学展(サイテク祭)の設営準備、公園の清掃活動、町の駅伝大会への参加など年間を通して野球部員が地域のために身体を動かし、汗を流しています。

 他者のため、公のため、無償の気持ちで働く野球部の生徒たちは輝いています。その姿を知っている地域の方々が、いざ大会となると本校野球部を応援するために球場に駆け付けてくださるのです。多良木高校野球部が地域に愛される理由は日頃の活動にあると思います。


 


 

多くの来校者でにぎわう ~城南地区県立高校PTAビーチボールバレー大会

多くの来校者 ~城南地区県立高校PTAビーチボールバレー大会


 7月29日(土)、多良木高校で城南地区県立高等学校PTAビーチボールバレー大会が開催され、12校19チーム、参加者総数190人の方が来校されました。開会式での校長の歓迎挨拶を掲げます。

 「皆さん、ようこそ多良木高校へお越しいただき、有難うございます。八代・芦北・水俣の学校の皆さんには遠く感じられたことと思います。本校が位置する多良木町、そして東側の湯前町、水上村などこの地域は球磨郡の中でも上球磨、あるいは奥球磨と称しており、ここより東にはもう熊本県の高校はありません。本校から車で15分ほど国道219号を走ると湯前町横谷峠にさしかかり、宮崎県西米良村に入ります。

 多良木高校は、上球磨の拠点、多良木町に大正11年に創立され、戦前は高等女学校の歴史を持ち、戦後、新制の普通高校となり、「多くの良い木」の名前のとおり、人材を輩出してきました。昭和40年代には学年8クラスを有し、水上村には水上分校を持っていました。しかし、その後、この地域の少子化、人口減が急速に進み、平成2年に水上分校がなくなり、とうとう本校までもが来年度、平成31年3月をもって閉校の定めとなりました。今年度は新入生はなく、現在2、3年生の計136人が在籍しております。

 しかし、小さくともキラリ輝く存在でありたい、最後まで地域と共に歩み、体育部活動をはじめ活気ある学校でありたいと願い、保護者のご支援のもと生徒と職員が一体となって様々な活動に取り組んでいるところです。多くの方に閉校前の多良木高校に来ていただき、その様子を記憶してほしいとの本校PTAの熱い思いから、この城南地区親睦ビーチボールバレー大会も実現しました。

 城南地区高等学校のPTAの皆様にお願いがあります。現在の2年生69人が多良木高校のアンカーとして部活動に励んでおり、野球、陸上、サッカー、男子バスケット、女子バレー、女子アーチェリーの6つの体育系部活動が来年度まで活動します。本校は平成3年に体育コースが設けられたこともあり、二つの体育館、300mの陸上トラック、専用の野球場とスポーツの施設・設備が充実しており、宿泊できるセミナーハウスもあります。どうか、部活動の練習試合や合同練習等で御来校いただき、本校の生徒と一緒に活動していただけないかと願っております。本日も宮崎県の都城の高校が野球の練習試合に来てくれています。それぞれの学校の部活動でご検討いただきたくお願い致します。

 小規模校のため、PTAのスタッフも少なく、不行き届きな点も多々あるかと心配しておりますが、笑顔と歓声あふれるレクリエーションになることを願い会場校校長挨拶といたします。」