平成29年度 学校長より

2018年3月の記事一覧

3学期終業式校長式辞


                     3月20日3学期終業式式辞
                                                   H30.3.20 光 永 幸 生

 3学期終業式にあたり、私から話をさせていただきます。

 さて、今年度の仕上げの3学期ではありましたが、短く、慌ただしく、そして寒さ厳しい3学期でもありました。皆さんはいかがだったでしょうか。私なりに振り返ってみたいと思います。
                                                
 まずは今月1日に卒業した3年生の進路状況です。今年も進路決定100%を実現することができました。昨年の内にそれが実現でき、3学期のことではありませんが大事なことですので最初に触れます。内容は国公立大学2名、私立大学2名、専門学校7名、自衛隊1名、日本郵便2名、一般企業就職7名でした。特に国公立大学は8年連続で合格者を出し、その中で熊本大学は5年ぶり、法学部は初めてのようです。是非、みなさんも先輩たちに続いてもらいたいと期待しています。
 またこれからはどれだけ学習してきたか、ということが大きく問われる時代になっていきます。単に勉強が嫌いだから、という理由だけで安易な進路選択をするのではなく、学びの楽しさを感じながら、一生学ぼうという姿勢を身につけ、学校生活を送っていって欲しいと思います。

 次に、各種大会での成果です。先ほど表彰をしましたが、数々の大会で入賞したり、県大会を突破したり、更には最優秀賞に輝くものもあるなど、みなさんの活躍がいろいろなところで評価されました。特に2月28日の表彰式で紹介しました、県高等学校地歴公民科研究発表大会の最優秀賞2連覇や、くまもとICTコンテスト作品部門の最優秀賞は特筆すべきことでした。また上位の入賞ではありませんでしたが、城北駅伝での7位入賞や、英語スキットコンテストでの成果は次回の大会につながっていくのではないかと期待しているところです。
 
  最後に先日行われた高校入試とその合格発表です。新聞にも公表されましたが、高森高校は40名を大きく上回る合格者の発表を行いました。来年4月9日に入学式を挙行しますが、是非、先輩として高森高校のことを教え、仲良くしてあげて欲しいと思います。部活動にもどしどし勧誘し、歓迎してあげてください。勉強の方もいろいろ教えてあげてください。
 また、来年度は15年ぶりに数学Ⅲと物理が開講されます。なかなか手強い科目ですが、しっかり予習、復習、課題に取り組んで、理系の進学先にもどんどん挑戦して欲しいと思います。
 
 ところで、皆さんに一つ、ご紹介したいことがあります。2月に和歌山県で内科医をされている方から本校へ寄附がありました。この方は熊本県の人吉市のご出身ですが、地震で被災した故郷を思い、本校への善意を申し出られました。本当にいろんな方が本校を応援してくださるのだな、と胸が熱くなる思いでした。いろいろと相談して、保健室の環境整備に利用させて頂くことにしました。購入予定のものは保健室の布団とマットです。届きましたら、購入物品の写真やお礼状をお送りしたいと思います。是非大事に扱ってもらいたいと思います。


  さて、来年度の話です。
  来年度は、「Classi」というシステムを導入します。これは皆さんの日々の学習活動やその記録を残したり、学習課題やアンケート調査等を皆さんのスマートフォンに配信したりするものです。学習コンテンツの配信もあり、自分で好きなところを学習することもできます。そこで、来年度は「校内検定」を廃止し、新たな形で基礎学力の育成や、応用力を育てるシステムを皆さんに提供する予定です。
  またこれは保護者の方にも参加いただき、奨学金を始めいろいろな連絡や、自分のお子さんの学習成績がスマートフォンから見ることができますので、有効に活用していただきたいと思います。
  いろいろな機能がある「Classi」ですが、先生方からの説明を聞いて、きちんとした操作を行い、学習活動、部活動や行事を含めた学校生活が充実したものになるよう期待したいと思います。併せてスマートフォンやSNSの使い方、マナーも学習して欲しいと思いますし、このシステムを通じて、いじめのない、周りを配慮する優しさをもった人間になって欲しいと思っています。
 
  また、本校は県教育委員会から「スーパー・グローカル・ハイスクール」事業の指定を受けることになりました。先日行われた「グローカル・プロデュース」報告会で、皆さんがそれぞれの研究を披露しましたが、お越し頂いた中学校の先生方からも、好評かを頂きました。このような活動を更に充実させ、併せて、ICTを含めた新しい学習を推進や、部活動、ボランティア活動、学校行事をとおして、地域に根差した学校、世界に目を向ける学校としての存在を応援していただけることになったわけです。本校の学習システムを利用して、皆さんは新たな学びに挑戦して欲しいと思っています。そして、みなさんは「思考をする」機会を数多くもち、真の学力をつけて進学、就職先で更に成果を挙げ、将来、社会で活躍して欲しいと思います。
 
  さて、来年は創立70周年関係の行事が行われます。記念式典も10月26日に行われます。同窓会との関連行事も多くなります。高森高校は新たな成長期に入りました。いろいろな方々がみなさんを応援してくれます。それに応えるべく、学び、優しさ、強さのハーモニーを地域に響き渡らせて、真の意味での「一人一人が輝く学校」に、この高森高校を成長させていきましょう。

 これで私の話を終わります。

                                       

第65回卒業証書授与式校長式辞

       平成29年度 第65回熊本県立高森高等学校卒業式校長式辞

 厳しい冬の寒さも過ぎ、ここ南郷谷にも、柔らかな日差しとともに、春の訪れを感じる季節となりました。この佳き日に、熊本県議会議員 河津修司 様、高森町長 草村大成 様をはじめ、多くの御来賓並びに保護者の皆様の御臨席のもと、第65回熊本県立高森高等学校卒業証書授与式を挙行できますことは、このうえない喜びであり、光栄の至りであります。

 ただ今、卒業証書を授与した21名の皆さん、卒業おめでとうございます。保護者の皆様におかれましては、これまで励ましながら支えてこられ、本日の凛々しい我が子を前にして、お喜びも一入かと存じます。

 私たち教職員も、この三年間、卒業生の皆さんと共に多くの時間を過ごしてきました。授業や掃除時間、部活動の大会、体育祭、文化祭、チャレンジ大会での生き生きとした姿が、笑顔が、そして涙が、走馬燈のように思い出され、感慨深いものがあります。

 一昨年4月の熊本地震では、多くの方々が被害に見舞われました。改めて哀悼の意を表したいと思います。しかし、皆さんはここでいろいろなことを学びました。普通のことが如何に尊いものであるのか、人と人との絆の重要性等。またそのことを理解するだけではなく、行動で表すことの大変さも身にしみて感じたと思います。そのような中においても、皆さんには周囲を労る姿やボランティアに励む姿、復興への魁となる姿がありました。これらはとても頼もしく、また本校生のあるべき姿を示してくれました。皆さんには、それと同時に、周囲への感謝の気持ちと、このことを風化させない気持ちとを持ち続けて欲しいと切に望むところです。


 さて私は、皆さんに、常に思考をする機会を求め、学び続けることを求めてきました。これからの進路先では、社会に貢献するために、新たに学び、それらを継続し、追求していくことが今まで以上に要求されます。その学びには楽しさを感じると同時に、他者と共感し合う優しさと、貫き通す強さを備えるべきであろうと考えます。また、学べば、学ぶほど、次に目指す内容は高度で難解なものとなっていくことでしょう。

 17世紀から18世紀に掛けて活躍した大科学者、アイザック・ニュートンの墓碑には次のようなことが刻まれています。「自然界と自然を司る法則は、夜の闇に包まれていた。神は言った『Let Newton be! ニュートンいでよ!』そして世界は明るくなった。」これは古代ギリシアから続いてきた科学の間違いを正し、近代物理学の基礎を築いたニュートンの功績を讃えた文章で、詩人アレクサンダー・ポープのものです。彼が打ち立てたニュートン力学は、物理学の大きな柱となりました。

 しかし、時代は流れ、このニュートン力学に矛盾が生じ、欠陥が見つけられていきます。そして登場したのが20世紀最大の物理学者であるアルベルト・アインシュタインです。彼は量子力学とともに「20世紀における物理学史上の二大革命」といわれる、特殊相対性理論、一般相対性理論を発表しました。その内容は「ものが縮む」「空間が曲がる」など、一般には非常に難解なものでありました。

 イギリスの批評家ジョン・コーリング・スクワイヤーは、先程のニュートンの墓碑銘に続けて次のように表現しています。「しかしニュートンの業績は長くは続かなかった。『Let Einstein be! アインシュタインいでよ!』すると全ては再び闇に包まれた。」

 皆さんが、学べば学ぶほど、目的達成の前に立ちはだかる壁はどんどん高くなっていくことでしょう。それを乗り越えるには、得た知識を駆使し、如何にそれらを活用するかを考え、どんな複雑なことでも諦めずに解明し、追求し続ける努力必要です。皆さんにはそれができる人物になって欲しいと強く希望し、期待をします。そして、「一人一人が輝く学校」を巣立ち、「一人一人が輝く人生」を歩み続けることを切に望む次第です。

 

 本校は、今年10月に創立70周年の記念式典を挙行します。脈々と続く本校の歴史に、皆さんは個性ある一ページを鮮やかに書き残しました。後輩の1・2年生は、卒業する皆さんの気持ちを引き継ぎ、次の80周年へのスタートを成し遂げてくれるものと信じます。そして高森高校は90年、100年と進化をし続けることでしょう。

 さて、本日御出席の御来賓並びに保護者の皆様方には、御多用の中に、未来ある卒業生に心温まる祝福と激励を頂き、誠にありがとうございます。また、高森町、南阿蘇村からは、物心両面でのご支援を頂きました。彼等はそれらを励みに学習に、部活動に、学校行事にと、精一杯の努力をして参りました。そして本日、この日を迎えることができました。彼等と共に、心から厚く御礼申し上げます。

 なごりは尽きませんが、卒業生の皆さんの前途に幸多からんことを祈念して、式辞といたします。

   平成30年3月1日         

                                                          熊本県立高森高等学校長  光 永 幸 生