校長ブログ

24/02/13(46)歴史を楽しむ

 前回のブログで書きましたが、私は江戸時代の熊本を研究していました。研究は生みの苦しみもありますが、地道に史料を集め、積重ね、自分の仮説を証明する楽しさはそれに勝るものでした。修士論文を書いていたころ、自分の仮説を裏付けために、来る日も来る日も古文書(こもんんじょ)の波の中を泳いでいたある日、6文字の、たった6文字の語句を見つけた時、大きな叫び声をあげたことを思えています(周りに人がいなくてよかった!)。その6文字こそが、自分のすべての論証を紐(ひも)づけるものだったからです。平成18年に「新宇土市史通史編第二巻 中世編・近世編」「新宇土市史資料編第三巻古代・中世・近代」の担当部分を書き終えたあと、単純に歴史を楽しむようになりました。熊本県の高校教師たちが執筆した「熊本県の歴史散歩」(熊本県高等学校地歴・公民科研究会日本史部会編 山川出版社)は、各市町村の文化財やおすすめの文化財散策コースが紹介されています。コンパクトで写真も豊富、地図も載っていますので、まさに歴史散歩にうってつけです。「県史43 熊本県の歴史」(松本寿三郎ほか 山川出版社)や、「街道の日本史51 火の国と不知火海」(松本寿三郎ほか 吉川弘文館)熊本県の歴史が分かりやすく書かれていますので、大きな流れを理解するには便利です。「火の国と不知火海」では、その地域のキーとなる歴史や文化などが取り上げられているので、全部読まなくても、その項目だけ読むのも楽しいです。(例えば、人吉・球磨ですと「人吉町の商人」、「市房信仰」「百太郎溝と幸野溝」など。) 本校図書館には、熊本県や人吉・球磨の歴史に関する本がたくさんあります。図書館で身近な歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

 

 ▲ご紹介した本

国指定重要文化財 桑原家住宅(錦町)

 ▲ご近所の国指定重要文化財 桑原家住宅(錦町)