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校長挨拶

 

ご挨拶

令和3年度が始まりました。今年度も、引き続き、熊本県立八代清流高等学校長を務めます 飯田 恵子 です。どうぞよろしくお願いいたします。

 4月8日、新入生135名を迎え、八代清流高等学校第10回の入学式が行われました。コロナ禍で、来賓もなく、保護者の参加を1名に限りましたが、程よい緊張感と高揚感のある入学式でした。担任の先生の呼名に起立し、前を向いて凛としている新入生の皆さんの姿に、頼もしさを感じました。新入生を代表して、盛高さんが、「一人一人が掲げる『理想の自分』に向かって努力すること」を宣誓しました。式辞の中でも話しましたが、一人一人に、清流高校という舞台と、3年間という時間が、平等に与えられました。清流高校という舞台で、友と一緒に「価値あるもの」を探しながら、『理想の自分』に近づいてほしいと思います。

 

校長式辞

 新緑の輝きが増し、さわやかな春の風が吹き抜けていくこの佳き日に、保護者の皆様の御臨席を賜り、熊本県立八代清流高等学校 第10回の入学式が挙行できますことを、心より厚く御礼申し上げます。

 ただ今、入学を許可いたしました135名の新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。皆さん一人一人の新たな門出を祝し、歓迎するとともに、清流高校10期生として、次の10年間の新たな歴史の1ページを刻んでほしいと思います。

 また、お子様を愛しみ、今日まで支え応援し続けてこられた保護者の皆様にとりましても、この佳き日を待ち望んでおられたことと思います。ご家族の皆様や中学校の先生方の御尽力に敬意を表し、心よりお祝い申し上げます。

 八代清流高校は、氷川高校と八代南高校の2つの普通科高校を再編統合し、「地域の進学希望者の夢を地域で叶える学校」として、平成24年に八代南高校の校地に設立された学校です。熊本県内唯一の「進学重視型単位制高校」という特長を生かして、一人一人の進路希望の実現に取り組んでおり、将来、地域を支え、地域に貢献する生徒の育成に努めています。

 さて、新入生の皆さん、9年間の義務教育を終え、本日から八代清流高校の生徒として、新たな高校生活が始まります。皆さん一人一人に、清流高校という舞台と、3年間という時間が、平等に与えられました。清流高校という舞台で、一人一人が主役の高校生活が始まります。高校生活の3年間を通して、一人一人が輝けるよう、私たちは皆さんを全力でサポートしますので、皆さんにも心がけてほしいことがあります。

それは、「夢や志を持ち、自分の可能性を信じ、失敗を恐れず、粘り強く挑戦すること」です。

 これまで自分自身で設けていた限界という枠を取り払い、夢や志に向かって、自分の可能性を広げるために挑戦してください。うまくいかずに落ち込むこともあるかもしれませんが、気を取り直して、失敗した原因を考え、次こそは…と前向きに努力しながら、新しい自分を発見していくのが、高校生活です。

 先ほど、「清流高校という舞台で、一人一人が主役の高校生活が始まる」と言いましたが、あなたが主役の人生には、多くの人が関わっています。新しい出会いを通して、クラスメートや先輩、先生方や地域の方との関わりを深めてほしいと思います。高校生活というステージには、主役である皆さんを支え、共に喜び、共に悲しみ、共に楽しむ、仲間の存在が欠かせません。特に大切にしてほしいのが、同級生や先輩です。清流高校で出会う同級生や先輩方と共に、夢に向かって、学んでほしいと思います。

 清流高校の校歌は、八代出身で歌手として長年活躍されている八代亜紀さんに、作詞作曲いただきました。「今の僕らは 明日を知らない だから学ぼう 清らかな学舎で 完璧なんて遠いけど 価値あるものを探すんだ 友と一緒に懐きながら」

 皆さんが、清流高校という舞台で、夢や志を持ち、自分の可能性を信じ、友と一緒に価値あるものを探すために、学び続けながら、高校生活というステージが皆さんの人生の素晴らしい1ページとなることを祈っています。

 最後になりましたが、保護者の皆様、高校生活は、お子様が将来、責任ある社会人として自立し、社会に貢献するための、大変重要な時期にあたり、心身ともに様々なことに遭遇する時期でもあります。私ども教職員一同、自律(自立)した行動がとれる生徒の育成に努め、生徒の皆さんの自己実現や目標達成のために、全力で取り組んで参りますが、学校の力だけでは成し遂げられません。学校と家庭とが共に手を携えながら、お子様の成長を支えていきたいと思いますので、本校の教育活動への、御理解と御協力をお願いいたします。

 新入生の皆さん、清流で、夢を見つけ、夢を叶えてください。

令和3年4月8日   熊本県立八代清流高等学校長  飯田 恵子

校長室便り

一期一会 NO.14 ~誰かの役に立つ仕事~

 2月16日から、1、2年次生の皆さんと担任・副担任の先生方との「進路面談」が始まります。テーマは「今年度の反省と次年度の目標」です。生徒の皆さん、「進路面談事前シート」や「キャリアパスポート」の記入は進んでいますか? 自分の未来を切り拓くために、「振り返る」ことは大切です。面談を通して、自身の成長を見つめ、更なる成長につなげてほしいと思います。 

 さて、なぜ私たちは働くのでしょうか?

 この問いを考えるにあたって、池上彰さんが監修した『なぜ僕らは働くのか 君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』を紹介します。

 「お金と仕事の関係から 世の中は仕事によって助け合いのネットワークができており、仕事に対しては、お金を払うことでお礼の気持ちを伝えるルールなのです。」(池上彰 監修 『なぜ僕らは働くのか 君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』より引用)

 私はコーヒーが好きで、毎日3~4杯飲みます。今日は「サントス」という豆を挽いて、コーヒーを淹れました。200グラム1,040円の豆ですが、サントスはブラジルの豆なので、ブラジルで豆を生産する仕事、ブラジルから日本へ豆を運ぶ仕事、豆を市場に出す仕事等、さまざまな人の手を経て、私はこの1杯のコーヒーをいただくことができるのです。多くの人の仕事に対する「感謝の気持ち」にお金を払っている … これがお金と仕事の関係です。

 また、前述の本の中に、税金で「ありがとう」を意思表示する仕事の説明があります。「私たちを犯罪から守ってくれる警察官や、公立の学校の先生などの給料も税金から支払われます。こうした人たちは「公務員」と呼ばれ、人々により良いサービスを提供するために働いています。こうした仕事に対しては、みんなの税金で「ありがとう」の意思を示しているのです。」(池上彰 監修 『なぜ僕らは働くのか 君が幸せになるために考えてほしい大切なこと』より引用) 

 皆さんには、面談を通して、将来どんな仕事に就きたいかを考えてほしいと思います。仕事をすることは、誰かの役に立つこと。つまり、社会に「貢献」することです。これから更に、「知力・体力・徳」を身に付け、誰のために、どんな形で、社会に貢献したいか考えていきましょう。

令和3年2月9日

一期一会 NO.13 ~薩摩街道歴史ふれあいウオークに参加しました~

 去る11月30日に、薩摩街道歴史ふれあいウオークに参加しました。清流高校前からバスに乗り、八代駅から肥薩おれんじ鉄道に乗って、水俣へ行き、水俣のエコパークを出発し、約12kmを歩きました。今回は、写真で紹介します

 

*今回歩いたコース図です。

・肥薩おれんじ鉄道 水俣~津奈木間の、歴史スポットを巡ります。

 

 

① 清流高校前バス停~八代駅

・八代駅には、晩白柚を持つくまモンがいました。これから、晩白柚がおいしいですよね。日本で生産される90%以上が熊本産。もちろん、八代が生産地の中心。

  

 

② ろうそくの原料「櫨(はぜ)の木」

・水俣市侍地区を中心に、15,000本の櫨の木が植えられています。細川藩の藩士が、櫨蝋(櫨の実から蝋を採取し、ろうそくを作る)の生産と経営を管理していたそうです。細川重賢が藩主の時、財政の立て直し(宝暦の改革)に、櫨蝋が大変役立ちました。そういえば、熊本城には「櫨方門」があったと思い出しました。

 

 

③ 鹿児島と熊本との岐路(坂を下ると鹿児島方面へ)

  ・この後、最初の休憩。地元の方が作ってくださった「しし汁」「ぜんざい」と、お茶をいただきました。どれもおいしかったのですが、特にミカンは体全体にしみわたり、疲れが飛んでいきました。ミカンってこんなにおいしかったんだと実感しました。

 

 

 ④ 石畳の道~陣の坂公徳碑~

・徳富家の祖が、陣の坂の大きな岩の上に小さい石がたくさん積まれている理由を尋ねたところ、「ここを通る人が、道端のころび石を拾って岩にのせていくので、道に小石がなくなり、女性や子供たちも歩きやすくなった」というのを聞き、「田舎の人は人情が厚いことが分かった」と「筑紫日記」に書いたそうです。今でも、「ころび石を拾って岩にのせると足が軽くなって坂が楽に登れる」と言われ、「公徳物語」として語り継がれていました。この物語を伝えるために、徳富蘇峰にお願いして「公徳碑」を建てたということです。

 次来る人が歩きやすいようにころび石を拾う姿に、自分さえよければいいと考えて行動することを恥ずかしく感じ、大切なものを失ってはいけないと教えてもらった気がしました。

 

 

⑤ 二三里木~陣内~陣内阿蘇神社

・水俣城跡周辺を歩いていると、加藤神社(加藤清正が祭られている)があったり、西南戦争で薩摩軍と戦った官軍の墓地があったり、500社の分社を持つ阿蘇神社があったり(陣内阿蘇神社、水俣第一中学の隣)、この道はさまざまな歴史を見つめてきたんだろうなと思いました。

 

 

⑥ シラス坂~新水俣駅…しばらく国道3号線を歩きます。

・約25,000年前、鹿児島の姶良(あいら)火山の噴火で起きた火砕流や火山灰が、水俣まで達してできたシラス台地だということです。鹿児島県姶良って、桜島がある錦江湾の北側だから、水俣までかなり距離があるよなと思いながら歩きました。(姶良市と水俣市の距離は、直線で約60kmでした)

 シラス坂を通り、新水俣駅に到着。ここで2回目の休憩。ここでいただいた黒糖と紅茶もおいしく、心と体を癒してくれました。

 

 

⑦ 国道三号線 小津奈木から再び薩摩街道へ~歌坂

・新水俣駅からしばらく国道3号線を歩き、いよいよ最後の難所、歌坂です。天正15年(1587年)、島津征伐のためにやってきた豊臣秀吉に、相良の家臣深水三河守宗方がここで歌を詠んだことが、歌坂の由来です。

詠んだ歌は「草も木も なびき従う 五月雨に 君がめぐみは 高麗百済まで」。「君」は豊臣秀吉のことなので、ずい分と持ち上げたものですね。秀吉はたいそう喜び、お褒めの言葉をいただいたということです。

 

 

⑧ ゴール~津奈木太鼓でお出迎え

・歌坂をなんとか歩き、ゴールの「つなぎ物産ギャラリー」に到着。ゴールでは、津奈木舞鶴太鼓の演奏がありました。

 

 

 今日は、12kmの道を3時間30分かけて歩きました。国道や高速道路が整備されるまで、鹿児島と江戸を結ぶ大動脈だった薩摩街道。長い間、多くの人の往来があった道。ダイナミックな歴史を見つめてきた道。

 道を歩くことで、周囲の自然や道が見つめてきた歴史に気づく機会となりました。そして、道は、一歩の積み重ねからできているのだと改めて感じました。

 

「もともと地上に道はない。歩く人が多くなれば、それが道となるのだ。」(魯迅作『故郷』より)

一期一会 NO.12 ~面倒見の良い先生によるハイブリッドな授業~

 まず、皆さんに報告です。八代清流高校は、県立学校における一人1台端末整備の先行実践校に選定されました。来年4月から、1、2年次生全員(残念ながら、3年次生は対象から外れます)に、一人1台の端末が熊本県から貸与され、各教室に無線LANが整備されます。一人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークが整備されると、一人一人の習熟度等に応じた学習、インターネットを用いた情報の収集や記録、シミュレーション等のデジタル教材を用いた思考を深める学習、グループ等での協働制作や意見交換、遠隔地や海外の学校等との交流学習 …… 学習の充実を図ることができます。この事業は、県立学校の3分の1しか選ばれない事業で、八代地区では清流高校だけが選ばれました。現1年次の皆さんと、来年清流高校に入学する新1年次生は、さらに恵まれた環境で学習することができます。私たちは、休校中、インターネットの利便性を実感することができました。と同時に、対面授業の大切さに改めて気づかされました。この経験を生かしながら、パソコンやタブレット端末、インターネット等の情報通信技術と、面倒見の良い先生方の良質な教育実践とを融合させ、ハイブリッドな授業を展開していきますので、ご期待ください。

 さて、「東ロボくん」と名付けられた「AI(人工知能)」のお話です。東ロボくんにセンター試験(英語)を受けさせるために教えたのは、文法や構文ではなく、10億単語から成る3300万の例文だったそうです。東ロボくんが、センター試験の模試(英語)を受け、次の問題につまずきました。

 

 問 ①~⑥の語を並べて、適切な文を作れ。

  Maiko :  Did you walk to Mary’s house from here in this hot weather?

  Henry :  Yes. I was very thirsty when I arrived. So (ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)(カ)drink.

     ①asked ②cold ③for ④I ⑤something ⑥to

 

 東ロボくんは3300万の例文を検索して、2つの候補まで絞り込みました。

 (1)So Cold.  I asked for something to drink.

 (2)So I asked for something cold to drink.

 

 (1)も(2)も文法的には間違っていません。東ロボくんは、先にヒットした(1)を選びました。しかし、皆さんなら、(2)を選びますよね。なぜですか。「今日は暑かった。ヘンリーは家に着いたとき、のどが渇いていた」とありますから、「冷たい飲み物」を選びますよね。東ロボくんは3300万の例文から検索をすることができても、「常識の壁」に阻まれたというのです。この話は新井紀子さんの『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』という本に載っています。他にも興味深い話がたくさんあるので、ぜひ読んでみてください。(図書室にもあるそうです。)

 先ほど、「ハイブリッドな授業」と言いました。清流高校でインターネット環境が整いますが、パソコンやタブレット端末を活用するだけでは、「常識の壁」を越えることはできないのです。知識を活用するには(知識を実際に使うには)、「読解力」や「想像力」が必要なのです。だから、面倒見の良い先生方による対面授業が必須なのです。そこにインターネット等の情報通信技術が加わることで、ハイブリッドな授業(異なる要素が組み合わさり、学びが深まる授業)になるのです。

「未来を生きる皆さんが身につけておかなければならない力」は何だと思いますか。

令和2年11月4日

一期一会 No.11 ~鳥の目、虫の目、魚の目~

 台風一過の10月10日、文化祭が開催されました。コロナ禍で一般開放はできませんでしたが、清流高生による、清流高生のための、文化祭でした。若干の制約はありましたが、「咲 ~ 百花流麗 みんなの笑顔 ~」というテーマのように、清流高生の美しく若々しい笑顔が、咲き誇っていました。生徒会の皆さん、企画・運営等、大変お世話になりました。

 さて、前期終業式の時に、「コインは丸か、長方形か」と、吉野源三郎さんの著書『君たちはどう生きるか』の中から「ものの見方」の話をしました。そして、「あなたが受け取ったメッセージ」と「どんな大人になりたいか」について、全校生徒に書いてもらいました。短い時間でしたが、皆さんが真剣に取り組んでまとめてくれたことに、心を動かされました。皆さんが書いてくれたメッセージを読んで、簡単でしたがコメントを書きましたが、読んでもらえたでしょうか。

 ものの見方について、皆さんは「いろいろな視点(広い視野)」「多面的に見る」「自分の考えだけではなく、周りの意見や考えも聞く」等、地動説的考えを取り入れたいという意見が多くありました。もちろん、まずは自分の考えを持ち、その上で他の意見にも耳を傾けると、自分だけでは気づくことができなかったことに気づき、自分の考えが深まることで、より良い選択ができるようになると思います。選択肢が多いと迷うこともありますが、いろいろな視点から考えることで、どれを選ぶかの判断材料が増えるのではないでしょうか。

 いろいろな視点を考えるヒントとして、「鳥の目、虫の目、魚の目」を紹介します。

 鳥は、空高くから地上を俯瞰(ふかん;全体を上から見る)します。「鳥の目」とは、高いところから全体像をつかむ「広い視野」のことを指します。

 虫の中には、複眼(たくさんの小さな目が合わさって一つの目を形成している)の虫もいて、目の前のものを細かく捉えようとします。「虫の目」とは、物事を分析して、詳しく見ようとする「深い視点」のことを指します。

 魚は、流れの中で自分の位置を確認しながら、大海原を移動します。流れを、現在・過去・未来という時間の流れに置き換えると、「魚の目」とは、「長い視点」のことを指します。

 「鳥の目、虫の目、魚の目」という視点でものを見ると、さまざまな角度から物を見るので、「死角」が少なくなります。自分一人の考え方には限界があるので、多様な(自分とは異なる意見も含めて)考えを大切にすることで、より良い正しい判断ができるのではないかと思います。

令和2年10月15日

一期一会 NO.10 ~気づき、考え、行動する~

 先日、拉致問題に関する教員等研修会に参加しました。当初の予定では、新潟県で実施されることになっていましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、webによる研修となりました。今回、新潟県に出かけ、拉致が行われた現地で研修を受ける現地研修に期待していたので、web研修になったことは残念でしたが、拉致被害者で2002年に帰国された蓮池薫さんと、帰国はしたものの一緒に拉致されたお母さんはまだ帰国していない曽我ひとみさんのお話を聞くことができ、学びが深まりました。

 清流高の皆さんは、拉致問題について、人権学習で学びました。アニメ「めぐみ」を観て、何を感じましたか。拉致問題を身近な問題として、捉えることができましたか。学習後の皆さんの感想の中に、「私には何もできませんが」というものが見られました。確かに、国家間の問題なので、私たちの力では解決できないと考えるのが普通かもしれません。でも、私たちにもできることがあります。

 

できること①「もし自分がその立場だったらと、相手の立場に立って想像する」

 もしも、あなたが「めぐみさん」のように、ある日突然、家族から引き離され、家族と連絡の取れないところへ連れて行かれたら、どうしますか。残った家族は何を考えるでしょうか。そんな映画みたいなことあり得ないと思いますか。しかし、そんな映画みたいなあり得ないことが、実際に起こっているのです。13歳で拉致されためぐみさんは、今56歳になっています。めぐみさんの帰国を信じて、待ち続けたお父さんが、今年逝去されました。40年以上の歳月、めぐみさんやめぐみさんの家族は、どんな思いだったか。皆さんも想像してください。大切なのは、「もし自分がその立場だったら」と、自分のことに引きつけて「想像」し、相手に思いを寄せることです。

 

 できること②「思いを寄せて気づいたことの原因や背景等を考えること」

 皆さんは、公民や現代社会の時間に「基本的人権」について学んだと思います。日本国憲法第11条に「…基本的人権は、侵すことのできない永久の権利…」とありますが、めぐみさんの基本的人権がどんな状態にあるのかと考えてください。めぐみさんに「自由権」はあるのか。「社会権」は? 等々考えていくと、放ってはおけない問題だと分かります。めぐみさんは、日本に生まれ、日本国憲法の下に、個人として尊重され、生命・自由・幸福を追求する権利を持っているのです。めぐみさんの基本的人権を保障するには、何をしなければならないか「考えて」ください。講師の蓮池薫さんは、拉致問題は過去の問題ではなく、生死に関わる「現在進行形の問題」である。そして、離ればなれになった「家族の再会」を果たすことができたとき、拉致問題は過去の問題になると、話されました。

 

できること③「私にできることはないかと考え、行動にうつす」

 まず、若い世代の皆さんが、強い関心を持ち、拉致問題は現在進行形の問題であると発信すること。めぐみさんのことを、あなたの家族に話してください。そして、40年以上も離ればなれになった家族の再会を、願ってください。待っておられる家族の皆さんへ声援やメッセージを送ったり、署名に協力したり …。私にできることは些細なことかもしれませんが、小さな声がうねりとなれば、世論を動かすことができます。どうせ関係ないとか、こんなことしたって何も変わらないとあきらめて、行動しなければ本当に何も変わりません。些細なことでいいので、私にできることを考えて、行動しましょう。

 

 蓮池薫さんも曽我ひとみさんも、拉致問題が過去の問題となり、皆の関心がなくなることを大変心配されています。若い世代の皆さんの声が、うねりとなって、世論を動かし、一日も早く家族が再会できるよう、強く願っておられます。拉致問題から気づいたことや考えたことを深く胸に刻んでください。そして、私ができることを探して、行動しましょう。

令和2年9月15日