校長室からの風(メッセージ)

平成28年度修了式にあたって

 3学期終業式及び平成28年度修了式を3月17日(金)に第1体育館で行いました。校長挨拶の一部を次に掲げます。

 「皆さんは、一時の感情の赴くままにしゃべり、あるいはネットに書き込んで、後悔したことはありませんか? 防ぐ方法は一つ、ちょっと立ち止まることです。感情的になっている時に、自分の意志で立ち止まることができるか、どうかです。あまりに自分中心になっていないか振り返るために、ちょっと立ち止まってください。
  古代中国の思想家である孔子の教えをまとめた「論語」という本に次のような戒めがあります。

  「師曰く 人の己れを知らざることを患えず、人を知らざることを患う。」

  人が自分のことをわかってくれないと嘆き心配するより、自分が人のことを理解しようとしていないことを心配しなさいという意味でしょう。

  外交官として世界各地の大使館で長年活動された方が興味深いことをインタビューで述べておられました。外交とは、日本を代表し国益のため相手国と交渉し国と国との関係をより良いものにしていく難しい業務ですが、日本の外交官は相手国との交渉において、目指す点数があるという箇所に特に興味を持ちました。外交官は100点や90点は目指してはいけないそうです。では何点を目指していると思いますか?51点が目標だと云われました。残りの49点は相手国にあげると。外交交渉で100点や90点を日本側がとったら、それは日本にとっては完全勝利かもしれないけれども、相手国の反感、反発をかい外交は中断してしまう。かといって50点対50点では事態が変わらないまま平行線です。だから、51点がベスト。1点づつ積み重ねていって、時間をかけ関係を改善していくという粘り強い姿勢で外交に取り組んできたと云われました。
  これは国と国との関係、外交のお話ですが、人と人との関係を考えるうえでも示唆に富むと思い、皆さんに紹介しました。

 結びになりますが、1年間、皆さんと共に多良木高校で過ごすことができ、教師として本懐だと思っています。感謝の思いです。」