校長室からの風(メッセージ)

校長室からの風(メッセージ)

第66回体育体育大会開催

 5月14日(土)、風薫る五月晴れのもと、熊本県立多良木高等学校第66回体育大会を開催しました。開会式に先立ち、「平成28年熊本地震」の犠牲者の方に全員で黙祷を捧げました。今年度の体育大会が3学年そろう最後の大会となります。校長の開会挨拶を次に掲げます。

「五月晴れのもと、熊本県議会議員 緒方勇二様、多良木町町長 松本照彦様をはじめ多くのご来賓の方々、そして保護者、地域の方々に御臨席いただき、熊本県立多良木高等学校第66回体育大会を開催できますことを生徒の皆さんと共に喜びたいと思います。

 ちょうど一か月前、「平成28年熊本地震」が発生し、未曾有の災害に熊本県は見舞われました。甚大な被害を受けた地域の復興は始まったばかりであり、被災地の学校では体育大会を開くことができないところもあります。こうして、体育大会を実施できることに心から感謝すると共に、立ち上がろうとされている被災地の方々に向けてここ多良木の地から元気を発信したいと思います。

 今年の体育大会のテーマは「がむしゃら ~ 一瞬一秒に感動を」です。土にまみれてもいい、多少の演技のミスがあってもいい、皆さんの若さと勢いで押し通し、これまでの練習の成果を発揮してほしいと思います。併せて、大会の円滑な運営を担う各係の皆さんが責任をもって自分の役割を果たすことを期待します。そして、笑顔と歓声があふれる大会になることを願っています。

 結びになりますが、ご観覧の皆様には、全校生徒に対するご声援をよろしくお願いして、開会の挨拶といたします。」

                                「多高生」の人文字

 

平成28年度PTA総会

 5月7日(土)に平成28年度多良木高校PTA総会を開催しました。開会に当たり、「熊本地震」で犠牲になられた方に対し、黙祷を捧げました。校長挨拶の前半部分では、この「熊本地震」に伴う本校の被害状況及び対応等について説明し、安全・安心な学校づくりに一層努めていくことを誓いました。校長挨拶の後半部分を次に掲げます。

「さて、本校にとって最後の入学生である新入生73人を迎えることができました。多良木高校の歴史のアンカーを走ってくれる頼もしい生徒たちです。2年生67人、3年生64人、全校生徒204人です。30人の職員全員で204人の全校生徒を支援していきます。小規模校の特性を生かして、一人一人の生徒に寄り添い、きめ細かな指導、支援に努めていく所存です。生徒たちがもつ豊かな可能性を引き出し、学力をはじめ様々な力を伸ばし、多良木高校の教育成果を地域に広く発信していきます。

 ここで、昨年度後半に保護者の皆様に御協力いただいた学校評価アンケート結果についてお話しします。

 「多良木高校は保護者や地域から信頼されている」

 「多良木高校は学校行事が充実している」

 「多良木高校は部活動が活発である」

などの多くの項目について、保護者の皆様から、「よくあてはまる」「ややあてはまる」という肯定的な意見が90%を超えるという高い評価をいただきました。学校の教育活動への御理解の表れだと深く感謝すると共に、今年度はさらに100%に近づくよう努力していきます。

 

 来週土曜日、5月14日は体育大会を予定しております。4月28日から全体練習を開始し、全校生徒が気持ちを一つにして取り組んでいます。どうか御観覧いただきますようお願い申し上げます。

 結びになりますが、お子様のことで何か気になることがありましたら、遠慮なく担任や学年主任へ御連絡いただきたいと思います。保護者の皆様の願いと学校が目指すものは同じだと思っております。学校の教育活動への御理解と御支援を重ねてお願いして、私の挨拶といたします。」


スポーツの力で元気を発信

スポーツの力で元気を発信

 

 4月14日(木)夜の「熊本地震」発生以来、2週間以上経過しました。いまだ熊本地方では余震が続き、多くの方が避難生活を余儀なくされていることに胸が痛みます。そして、熊本市をはじめ県全域で24校もの県立学校が休校状態(4月27日現在)です。被害が大きい学校は、5月の大型連休明け以降に授業再開がずれ込むところもあるようです。

 球磨郡はこの度の地震災害の被害をほとんど蒙ることなく、小、中、高校ともに平常の教育活動が展開できています。そのため、被災地から小、中学生が球磨郡の学校に転校してくる動きも見られます。また、被災地の公立・私立の高校に通学している球磨郡出身の生徒が一時帰省しています。そして、体育系部活動の練習を長くできていない高校生が、本校の部活動練習への参加を希望するケースも出てきました。保護者もしくは所属校からの依頼を受け、安全面に配慮して、柔軟に対応しています。陸上、バスケットボールで本校生と一緒に練習する生徒の姿からは、自分の好きなスポーツをできる喜びが感じられ、本校の生徒にとっても豊かな交流の機会となっています。また、被災した大学の野球部員が本校の野球場で自主練習に励む光景も見られます。本校の恵まれたスポーツ環境を活かし練習や合宿の場を提供することで、被災地の学校及び生徒の皆さんに対して多良木高校ならではの支援ができるのではないかと考えます。

 4月29日の祝日には、本校をはじめ球磨人吉地域の4つの高校の女子バレーボール部が集まり、合同練習試合を行いました。本校は被災地に水を送る支援活動を行い、今後は生徒会で募金活動を予定しています。しかし、高校生の本分である学習活動や部活動に真摯に打ち込むことこそが、被災者の方に明るい気持ちになってもらえる最大の「支援活動」になるのではないかと思います。

 スポーツを通して元気を発信しよう、との合い言葉のもと多良木高校の各部活動はこれまで以上に声を出し、気持ちを奮い立たせています。

            女子バレーボール練習試合(多良木高校第1体育館)

被災地に球磨の水を送る ~ 「熊本地震」支援活動

被災地に球磨の水を送ろう ~ 「熊本地震」被災地支援活動

 

 4月20日(水)の朝、「熊本地震」の被災地の一つである西原村に水を送る支援ボランティアに多良木高校として取り組みました。多良木高校同窓生の方から、水不足で困っておられる西原村の避難所に水を運びたいとの協力依頼があり、学校として支援ボランティア活動を始めたのです。前日、全校生徒に「1㍑か2㍑のペットボトルに家庭の水道水を入れて持ってくるように」と呼び掛けました。当日朝、生徒だけでなく、保護者の方や、話しを聞きつけられた近隣の住民の方もペットボトルの水を持参され、およそ千㍑の水が集まりました。 午前8時半過ぎに、生徒会の生徒や1年1組体育コースの男子が中心となって、車に積み込みました。

 多良木高校の「水」は約5時間かけて運ばれ、西原村小森の避難所である山西小学校に届けられました。被災された方々が大変喜んで受け取ってくださったそうです。ペットボトルの一部には、生徒会の生徒によるメッセージがマジックで書き込まれていたのですが、それを読まれた高齢のご婦人が涙を流されたそうです。

 4月14日(木)の夜の大地震発生以来、甚大な被害が出ている「熊本地震」。ニュース映像で見る上益城郡、熊本市、阿蘇地域の被災地の様子には言葉を失います。現在、被災地では余震が頻発し、震災は長期化の様相を呈しています。出口の見えない状況で、被災者の方の疲労が心配されます。

 この非常時、同じ県民として、「気持ちを一つにしよう」と4月18日(月)の臨時全校朝礼で生徒に語りました。今、高校生が被災地に赴くことは危険であり、現実的ではありません。しかし、今回のように運送手段さえ確保できれば、「水」という最も必要とされているものを、生徒一人ひとりが持ち寄り積み込むという簡単な行為で、被災地を応援することができます。遠隔地にいる高校生と被災者の方との気持ちをつなげることができます。今後も、地域の役場等と連携して、被災地に球磨の水を送る活動を続けていきたいと思います。


  水を車に積み込む多良木高校生

気持ちをひとつに ~ 「熊本地震」にかかる緊急全校朝礼

 4月18日(月)、緊急の全校朝礼を第一体育館で行いました。4月14日(木)の夜、16日(土)未明に県央部で大きな地震が起き、その後も余震が続く非常事態を受けて、同じ熊本県に住む者として気持ちを一つにしたいという目的で全校生徒に集まってもらいました。最初に全員で黙祷を行い、次に私が生徒に語り掛けました。

「ただ今、黙祷を全員で行いましたが、多くの犠牲者、そしてまだ把握できていないほどの負傷者、家屋の被害など今回の地震災害は熊本県に大きな爪痕を残しました。益城町をはじめとする上益城郡、熊本市、阿蘇、宇城地方が受けている被害は甚大で、私たちの想像を絶するものです。同じ熊本県に暮らす者として、気持ちを一つにするため、こうして全校朝礼を行いました。

皆さんに二つのことを伝えます。

 一つは、普通の生活のありがたさをかみしめよう、ということです。被災された方々が口をそろえて、「早く普通の生活に戻りたい」と言われている様子をニュース映像が伝えています。蛇口をひねったら水が出る、スイッチを入れたら電気がつく、お風呂に入れる、食事ができる、自分の部屋で眠ることができる、これらの普通の生活ができることは実は多くの人の力で成り立っているのです。それを普段、私たちは意識していませんが、いったん災害が起こるとそれらは瞬時に断ち切られます。今日、こうして多良木高校が平常の学校活動ができることを皆さんと共に感謝したいと思います。

 もう一つは、自然災害を正しく恐れる、ということです。地震は、今の科学技術では予知不能でいつ起きるかわかりません。次はこの球磨郡で巨大地震が発生するかもしれません。しかし、その時パニックにならないよう、基本的な知識や心構え、準備をしておくことが必要です。自宅に、非常用の水、食料、懐中電灯が用意してあるか、家族で確認してください。学校は、平成22年度から耐震化工事を進めてきています。皆さんが主に生活する教室、体育館などは今回の震度6から7クラスの大地震にも耐えられます。しかし、大きな揺れが治まったら、各自でグラウンドへ避難しましょう。もし帰宅できない状況になっても、本校のセミナーハウス、平成7年度につくられ、耐震性に優れた建物ですが、ここに宿泊することができます。

 結びに、もう一つ皆さんに伝えておきたいことがあります。災害が起きたとき、皆さんは弱者ではありません。子どもやお年寄り、障がいのある方を助ける方に皆さんはまわらなければなりません。東日本大震災の時にも、災害で多くのものを失い、落ち込んでいる大人に対し、気力、体力を備えた高校生がとても頼りになったそうです。

 何が起こっても、自分の気持ちをしっかり持って、仲間同士助け合っていけば、困難を乗り越えることができるという覚悟で生活していきましょう。」