校長室からの風(メッセージ)

課題意識を持とう ~ 県高等学校生徒地歴・公民科研究発表大会

課題意識を持とう ~ 県高等学校生徒地歴・公民科研究発表大会

 2月17日(土)に熊本大学(黒髪キャンパス)において、第8回熊本県高等学校生徒地歴・公民科研究発表大会が開催されました。高校生が地歴・公民科の学習を通して興味、関心を持った課題を設定し、それを調べる研究活動の発表の場です。地歴・公民の学習が知識の習得だけにとどまらず、調べる技能と態度、課題解決に向けて考える力、そして他者に説明する能力など総合的な学力を養って欲しいという教職員の願いから毎年行われています。理科(物理・化学・生物・地学)では早くからこのような研究発表大会が行われていました。遅ればせながら地歴・公民科でも人文科学の視点から調査研究に取り組ませ、根拠のある意見発表をさせたいとの高校の地歴・公民科の教員の思いから本大会が始まり、第1回大会で私は審査委員を務め講評も行いました。

 この大会に3年ぶりに多良木高校から出場するため、私も3年ぶりに会場に足を運びました。本校2年生の男子二人が、「語り継ぐ『平和』のメッセージ ~ 多良木高等女学校同窓生からの聴き取りを通して ~」のタイトルで発表しました。戦争中に女学校生活を送った卒業生の方々の記憶を聴き取り記録し、地方の普通の女学生たちの戦争中の生活を具体的に浮彫にし、改めて同窓生の方たちの平和へのメッセージを集約する内容を落ち着いた態度で発表し、頼もしく思いました。

 また、本校を含めて10校の生徒の13本の発表が行われました。研究活動はまだ粗削りですが、どの発表も高校生らしい若い感性と高い意欲が感じられ、好感を持てるものでした。高森高校の女子生徒による「有害鳥獣の食肉(ジビエ)活用の課題と展望」では、自ら狩猟免許を取得して、課題解決に向けて社会的な行動を起こすに至っています。小国高校のグループ発表では、人口減少の著しい地元の町の課題である空家対策にアイデアを提案しています。これらの課題は現在の日本の地域共通のものです。

 社会の様々な課題について、誰かが解決してくれるだろうと待つのではなく、高校生が当事者意識を持つことが大切です。「よし、この課題を解決していこう」という積極的に社会に関わっていく人材がこの大会から輩出することを願ってやみません。

           


          多良木高校生2人による発表風景(熊本大学)