校長室からの風(メッセージ)

強歩会

「みんなで歩く、ひたすら歩く」 ~ 多良木高校強歩会

 
 全長31㎞。多良木高校の伝統行事「強歩会」を1117日(金)に開催しました。三つのコースを三年間それぞれ歩く鍛錬行事ですが、今年のコースが最も長く31㎞を歩くことになります。朝霧の中、午前7時45分に2年生、3年生の全校生徒で校門を出発。私も最後尾から歩き始めました。

 学校から南に向かい多良木町久米地区の幸野溝沿の山麓を歩き、第1チェックポイントの中山観音堂(4.8㎞)。御本尊の聖観音像は何と平安時代前期の9世紀(西暦800年代)に造立されたものです。千二百年近くの間、先人が守り伝えてきた奇跡の仏様を拝観できました。

 さらに歩きあさぎり町に入ります。第2チェックポイントのあさぎり町岡原の宮原観音堂(7.6㎞)。今では珍しい茅葺の観音堂はおよそ500年前の室町時代後期に創られた品格ある姿です。観音堂を守っておられる地区の方々がお堂を開帳して歓迎していただきました。続く第3チェックポイントのあさぎり町上の谷水薬師(13.4㎞)。昼でも暗く深山幽谷の趣があり、古くから地元の人々の信仰を集めている場所です。そして第4チェックポイントが秋時観音堂(16.4㎞)。面長で優美なお顔の十一面観音像が出迎えてくれました。業務の都合で私はここで脱落し自動車で学校に帰りましたが、生徒たちは第5チェックポイントのあさぎり町免田の岡留熊野座神社(22.2㎞)に向かいます。

 この岡留熊野座神社の裏手の公園で生徒は昼食を取ったのですが、この頃から天気予報通り小雨が落ち始めました。無情の雨で、身体の冷えが心配されたのですが、生徒たちはここから底力を発揮しました。歌を歌ったり、お互い励まし合いながら、小雨に濡れて歩きます。第6チェックポイントのあさぎり町農協「あぐり」(25.2㎞)を経て、多良木高校を目指します。

 ゴールする生徒を正門で私は待っていたのですが、トップの2年1組男子の班は午後2時半に到着しました。そして続々と帰ってきて、最後尾の班も午後4時10分にはたどり着いたのでした。気温が低く後半は雨も降る厳しい条件の中、完歩した生徒たちのたくましさに脱帽です。「みんなで歩く、ひたすら歩く」強歩会は、生徒にとって特別な感動体験となったに違いないと思います。


           31㎞強歩会スタート