職員ブログ

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さくらさくらさくら咲き初め咲き終わり……

1枚目 3月24日の桜の花。

この桜は、天草高校の玄関前にあります大きな桜。

 

 

2枚目は3月26日の同じ桜。わずか2日でほぼ満開となり、いくつかは散っているものが見受けられます。 

 

さて、小倉百人一首のなかで桜の文字が見られるのが6首あります。

花の色はうつりにけりないたづらにわが身よにふるながめせし間に (小野小町)

ひさかたの光のどけき春の日にしづごころなく花の散るらむ  (紀友則)

いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重ににほひぬるかな  (伊勢大輔)

もろともにあはれと思へ山桜花よりほかに知る人もなし  (前大僧正行尊)

高砂の尾の上の桜咲きにけり外山の霞立たずもあらなむ  (権中納言匡房)

 

このように、花=桜で表されることが多いのが古典の特徴です。

みなさんは上記の和歌を詠んだとき、1枚目の「咲き始めの桜」と、2枚目の「満開、そして散っていく桜」のどちらをイメージしますか?

 

 

さて、3枚目 いっきに時が進んで、4月20日の桜です。

さくらさくらさくら咲き初め咲き終わりなにもなかったような公園 俵万智『サラダ記念日』

 

たくさんの桜が天草高校を薄桃色に染め上げていましたが、今では葉が生い茂っています。

また来年、美しい花を期待して。

 

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寒梅、咲き始める

写真は定時制図書室前にある梅の木。

2月20日(月)の午前のものです。枝の先に見えるピンク色は梅の花。下の方はまだつぼみのままなので、今まさに咲き始めたのでしょう。

 

さて、こちらは同じ2月20日の午後のもの。なんと数時間しか経っていないのに花の数が増えているではありませんか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日はとても天気が良く、朗らかな陽気が気温を高めたからなのか、梅の木もここぞとばかり花を咲かせたのでしょう。

 

 

 

さて、受験の神さまといえば北野天満宮や太宰府天満宮。ここに祀られている菅原道真が作った短歌に

東風(こち)吹かば匂(にお)いおこせよ梅の花 主(あるじ)なしとて春な忘れそ

という歌がありますね。太宰府天満宮で買える鉛筆にも書かれていますので、見たことがある人もいるのではないでしょうか。

現代語訳 東からの風が吹く季節になったら、梅よ、花を咲かせて匂いを太宰府まで届けておくれ。梅の木がある京都には主人である私はいないが、けっして春を忘れてはいけないよ。

菅原道真は太宰府に住むことになった際、京都の邸宅に残さなければならなかった梅の木を題材にして詠んだものです。

 

菅原道真が太宰府に住むことになった理由は割愛しますが、梅の花が最も強い香りを放つのは、満開の花ではなく開花してすぐの花だそうです。とは言っても香りは弱いものですので、鼻を近づけなければよく分かりません。

もし咲き始めの小さな花に出会うことがあったなら、菅原道真も愛した梅の香りを感じとってみてはどうでしょうか。

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「ちはやふる」

今回は「ちはやふる」を紹介します。

2007年にスタートした「ちはやふる」。

「カルタ競技部&青春マンガ」という設定が斬新でした。

 

登場人物達が、部活動を通してカルタ競技への向きあい方や自身のあり方に悩むのですが、その人間心理の捉え方や画力が高いこともあって、大人気になりました。

のちに、アニメ化されましたし、実写映画化された際は人気のある俳優、女優が抜擢されたこともあって一気に認知度が上がりました。

また、日本一を決める名人戦やクイーン戦がテレビや動画配信サイトで取り上げられるようになりました。

百人一首を盛り上げるきっかけを作ったマンガともいえます。

 

そんな「ちはやふる」も第50巻をもって終了となりました。

定時制図書室には全巻そろっています。

みなさんの来室を待っています。

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掃除をしてもらいました。

定時制図書室のエアコンは20年選手。フィルターの掃除はしていましたが、中の方を除くと黒いポツポツが……。

 

この機体は冷房も暖房もしっかり効きます。

ですから、まだまだ現役。これからも長く頑張ってもらいたいので、内部を掃除してもらいました。

おかげさまで、積もりに積もった汚れがすっかり落ちてきれいになりました。

 

定時制図書室では皆さんの来室をお待ちしています。

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『和菓子のアン』

小説、『和菓子のアン』(坂木司著 光文社文庫)を読んだので紹介します。

 

光文社のHPでは、

「デパ地下の和菓子店『みつ屋』で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは? 読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー!」

と紹介されています。

このミステリーに関係するのが和菓子の名前や由来。読んでいてなるほどと勉強になるところがたくさんあります。そして、紹介文にもありますが、和菓子を食べたくなります。

また、登場人物の個性が鮮やかに描かれていて、それぞれが抱えている課題やコンプレックスが丁寧に描かれ、且つそれがきちんと解消されていくのも読んでいて良かったと思えるところです。

2012年の作品ですが、2016年に『アンと青春』、2020年に『アンと愛情』というふうに4年ごとに続巻が出ています。人気のある作品なのでしょう。

 

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3月11日

3月11日金曜日の午後。図書室の窓を開けていましたら、天草市内の防災無線で黙祷(もくとう)の呼びかけがなされていました。

その放送が終わって、午後2時46分。低く大きなサイレンが鳴り響きました。11年前の天災は深い傷跡を残したわけですが、少しずつ復興が進んでおり、人がたくさん住んでいる都市はもとの様子を取り戻しています。

さて、図書室の詩集が収められている棚に『原発難民の詩』(佐藤紫華子著 朝日新聞出版)という本がありました。その中から、「原発難民」と題された詩をご紹介します。

  仕事が ありますよ

  お金を 澤山あげますよ

  

  甘い言葉にのせられて

  自分の墓穴を掘るために

  夢中になって働いてきて

  原発景気をつくった

  あの頃……

  

  人間が年を取ると同じように

  機械も年を取るということを

  考えもしなかった

  技術者たち!

  ましてや

  大地震、大津波に

  襲われるとは……

 

  地震国であり

  火山国であるという

  基本的なことを

  忘れてしまった国の末路か……

 

  私たちは

  どこまで逃げれば

  いゝのだろうか

  追いかけてくる放射能

  行く手を阻む線量

 

  見えない恐怖!

  匂わないもどかしさ!

  聞こえない焦立たしさ!

 

  私たちは安住の地を求めて

  どこまで

  いつまでさすらうのだろう

 

 津波がもたらした害は、さまざまなかたちとなって今もなお人々を苦しめています。

 天草ではなかなか知らされない東北の情報。事実。この時期ばかりは津波のこと。原発のこと。東北の農業や商工業のことに思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。

 

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梅花(ばいか)寒苦(かんく)を経(へ)て清香(せいこう)を放(はな)つ

 

本校の東側に天神門があります。その脇にある梅の花が咲き始めました。紅白が一本ずつありまして、白梅の方がちょっと花が多い様子です。紅白1対の梅の木は平成15年に植えられたと石碑にあり、タイトルの句はこの石碑に刻まれていました。

 

さて、季節を感じたときには短歌をおすすめします!日本に文字ができる前から存在していた短歌。そのDNAは皆さんの中にもあるはずです!

ここでは梅を読んだ短歌をご紹介。

 

『古今和歌集』より 

(きみ)ならで 誰にか見せん 梅の花 色をも香(か)をも 知る人ぞ知る(紀友則)

   現代語訳 (梅の花を折って、あの人に贈ったときの歌)この梅の花はあなたでなければ誰に見せましょうか、いえ、誰にも見せる気はございません。この色の美しさも、この香りのすばらしさも、あなたにしかわからないのですから。

 作者の紀友則(きのとものり)は今から1,100年ほど昔の人です。当時は旬の植物を添えて和歌を送っていました。送られた側は花がついた梅の枝と和歌が送られてきたのですから、何なのかしらとドキドキしたでしょうね。今回のは梅の花ですが、「すばらしさはあなたしかわかないのですから」というところは、ロマンチックなセリフです。

 

『万葉集』より

(はる)されば まづ咲く やどの梅の花 ひとり見つつや 春日(はるひ)暮らさむ(山上憶良)

   現代語訳 春になると最初に咲く庭の梅の花を、1人で眺めながら春の1日を過ごすのだろうか、いやそのようなことはできない。

 

 作者の山上憶良(やまのうえのおくら)は奈良時代初期の人です。この和歌は現在の太宰府で大伴旅人( おおとものたびと)が主催する梅花の宴にて詠まれたものであることがわかっています。現代語訳で「1人で眺めながら春の1日を過ごすのだろうか、いやそのようなことはできない」とあるのは、梅の花は1人で楽しむのではなく、みんなで楽しみたいものですという解釈となるそうです。

 

 2月4日は立春、2月19日は雨水でした。まだまだ寒い日が続きますが、日中は穏やかな陽光と暖かい風を感じるときがあるでしょう。ふとしたときに五音七音の調子で言葉を紡いでみてはいかがでしょうか。

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日常にアクセントを

 

2月4日(金)は立春です。この日からは春だ!というのではなく、だんだんと暖かくなる春の始まりを春が立つと書く「りっしゅん」と名付けたのですね。

 

しかし日本の南部に位置する天草は、立春を待たずして暖かくなっていて、スーパーや産直市場では春の野菜が売られるようになりました。

 

そこで、今回はお料理の本を紹介します。

 

吉田企世子監修 『春夏秋冬おいしいクスリ 旬の野菜の栄養辞典』

春夏秋冬ごとに旬の野菜が紹介されています。

2月は春なので、赤タマネギ、あさつき、イチゴから始まり実にたくさんの野菜が掲載されています。しかも主な栄養成分や料理のコツなども具体的に書かれていて、料理に役立てることができます。

 

2冊目は東京慈恵会医科大学付属病院栄養部監修『その調理、9割の栄養捨ててます!』

きれいな写真とかわいいイラスト、調理のコツばかりか正しい切り方、保存方法まで紹介。おすすめの調理方法も書いてあります。

 

2冊ともきれいなカラー写真で食材について紹介されています。

 時間がある日には、旬の野菜をつかって料理をしてみてはいかがでしょうか。

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大正浪漫

ある晩、テレビで音楽番組が放送されていました。

ゲストとして出演していたのはYOASOBIの2人。皆さんも知っている「夜に駆ける」は星野舞夜の小説『タナトスの誘惑』を原作としていることや、そもそもYOASOBIの曲には原作となる小説があることを知りました。

番組内では「夜に駆ける」や新曲の「大正浪漫」を歌っていて、いい歌だなぁと感じたのです。

そういうこともありまして、さっそく原作の「大正浪漫」を購入して読んでみました。

 

タイムパラドックスによる手紙のやりとりや伏線。登場人物の軽妙な会話。時を経ても存在する思いやりと優しさ。

読了後は穏やかな気持ちになれました。

興味がわいた人は定時制図書室まで来てください。

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