平成29年度 学校長より

平成29年度 学校長便り

3学期終業式校長式辞


                     3月20日3学期終業式式辞
                                                   H30.3.20 光 永 幸 生

 3学期終業式にあたり、私から話をさせていただきます。

 さて、今年度の仕上げの3学期ではありましたが、短く、慌ただしく、そして寒さ厳しい3学期でもありました。皆さんはいかがだったでしょうか。私なりに振り返ってみたいと思います。
                                                
 まずは今月1日に卒業した3年生の進路状況です。今年も進路決定100%を実現することができました。昨年の内にそれが実現でき、3学期のことではありませんが大事なことですので最初に触れます。内容は国公立大学2名、私立大学2名、専門学校7名、自衛隊1名、日本郵便2名、一般企業就職7名でした。特に国公立大学は8年連続で合格者を出し、その中で熊本大学は5年ぶり、法学部は初めてのようです。是非、みなさんも先輩たちに続いてもらいたいと期待しています。
 またこれからはどれだけ学習してきたか、ということが大きく問われる時代になっていきます。単に勉強が嫌いだから、という理由だけで安易な進路選択をするのではなく、学びの楽しさを感じながら、一生学ぼうという姿勢を身につけ、学校生活を送っていって欲しいと思います。

 次に、各種大会での成果です。先ほど表彰をしましたが、数々の大会で入賞したり、県大会を突破したり、更には最優秀賞に輝くものもあるなど、みなさんの活躍がいろいろなところで評価されました。特に2月28日の表彰式で紹介しました、県高等学校地歴公民科研究発表大会の最優秀賞2連覇や、くまもとICTコンテスト作品部門の最優秀賞は特筆すべきことでした。また上位の入賞ではありませんでしたが、城北駅伝での7位入賞や、英語スキットコンテストでの成果は次回の大会につながっていくのではないかと期待しているところです。
 
  最後に先日行われた高校入試とその合格発表です。新聞にも公表されましたが、高森高校は40名を大きく上回る合格者の発表を行いました。来年4月9日に入学式を挙行しますが、是非、先輩として高森高校のことを教え、仲良くしてあげて欲しいと思います。部活動にもどしどし勧誘し、歓迎してあげてください。勉強の方もいろいろ教えてあげてください。
 また、来年度は15年ぶりに数学Ⅲと物理が開講されます。なかなか手強い科目ですが、しっかり予習、復習、課題に取り組んで、理系の進学先にもどんどん挑戦して欲しいと思います。
 
 ところで、皆さんに一つ、ご紹介したいことがあります。2月に和歌山県で内科医をされている方から本校へ寄附がありました。この方は熊本県の人吉市のご出身ですが、地震で被災した故郷を思い、本校への善意を申し出られました。本当にいろんな方が本校を応援してくださるのだな、と胸が熱くなる思いでした。いろいろと相談して、保健室の環境整備に利用させて頂くことにしました。購入予定のものは保健室の布団とマットです。届きましたら、購入物品の写真やお礼状をお送りしたいと思います。是非大事に扱ってもらいたいと思います。


  さて、来年度の話です。
  来年度は、「Classi」というシステムを導入します。これは皆さんの日々の学習活動やその記録を残したり、学習課題やアンケート調査等を皆さんのスマートフォンに配信したりするものです。学習コンテンツの配信もあり、自分で好きなところを学習することもできます。そこで、来年度は「校内検定」を廃止し、新たな形で基礎学力の育成や、応用力を育てるシステムを皆さんに提供する予定です。
  またこれは保護者の方にも参加いただき、奨学金を始めいろいろな連絡や、自分のお子さんの学習成績がスマートフォンから見ることができますので、有効に活用していただきたいと思います。
  いろいろな機能がある「Classi」ですが、先生方からの説明を聞いて、きちんとした操作を行い、学習活動、部活動や行事を含めた学校生活が充実したものになるよう期待したいと思います。併せてスマートフォンやSNSの使い方、マナーも学習して欲しいと思いますし、このシステムを通じて、いじめのない、周りを配慮する優しさをもった人間になって欲しいと思っています。
 
  また、本校は県教育委員会から「スーパー・グローカル・ハイスクール」事業の指定を受けることになりました。先日行われた「グローカル・プロデュース」報告会で、皆さんがそれぞれの研究を披露しましたが、お越し頂いた中学校の先生方からも、好評かを頂きました。このような活動を更に充実させ、併せて、ICTを含めた新しい学習を推進や、部活動、ボランティア活動、学校行事をとおして、地域に根差した学校、世界に目を向ける学校としての存在を応援していただけることになったわけです。本校の学習システムを利用して、皆さんは新たな学びに挑戦して欲しいと思っています。そして、みなさんは「思考をする」機会を数多くもち、真の学力をつけて進学、就職先で更に成果を挙げ、将来、社会で活躍して欲しいと思います。
 
  さて、来年は創立70周年関係の行事が行われます。記念式典も10月26日に行われます。同窓会との関連行事も多くなります。高森高校は新たな成長期に入りました。いろいろな方々がみなさんを応援してくれます。それに応えるべく、学び、優しさ、強さのハーモニーを地域に響き渡らせて、真の意味での「一人一人が輝く学校」に、この高森高校を成長させていきましょう。

 これで私の話を終わります。

                                       

第65回卒業証書授与式校長式辞

       平成29年度 第65回熊本県立高森高等学校卒業式校長式辞

 厳しい冬の寒さも過ぎ、ここ南郷谷にも、柔らかな日差しとともに、春の訪れを感じる季節となりました。この佳き日に、熊本県議会議員 河津修司 様、高森町長 草村大成 様をはじめ、多くの御来賓並びに保護者の皆様の御臨席のもと、第65回熊本県立高森高等学校卒業証書授与式を挙行できますことは、このうえない喜びであり、光栄の至りであります。

 ただ今、卒業証書を授与した21名の皆さん、卒業おめでとうございます。保護者の皆様におかれましては、これまで励ましながら支えてこられ、本日の凛々しい我が子を前にして、お喜びも一入かと存じます。

 私たち教職員も、この三年間、卒業生の皆さんと共に多くの時間を過ごしてきました。授業や掃除時間、部活動の大会、体育祭、文化祭、チャレンジ大会での生き生きとした姿が、笑顔が、そして涙が、走馬燈のように思い出され、感慨深いものがあります。

 一昨年4月の熊本地震では、多くの方々が被害に見舞われました。改めて哀悼の意を表したいと思います。しかし、皆さんはここでいろいろなことを学びました。普通のことが如何に尊いものであるのか、人と人との絆の重要性等。またそのことを理解するだけではなく、行動で表すことの大変さも身にしみて感じたと思います。そのような中においても、皆さんには周囲を労る姿やボランティアに励む姿、復興への魁となる姿がありました。これらはとても頼もしく、また本校生のあるべき姿を示してくれました。皆さんには、それと同時に、周囲への感謝の気持ちと、このことを風化させない気持ちとを持ち続けて欲しいと切に望むところです。


 さて私は、皆さんに、常に思考をする機会を求め、学び続けることを求めてきました。これからの進路先では、社会に貢献するために、新たに学び、それらを継続し、追求していくことが今まで以上に要求されます。その学びには楽しさを感じると同時に、他者と共感し合う優しさと、貫き通す強さを備えるべきであろうと考えます。また、学べば、学ぶほど、次に目指す内容は高度で難解なものとなっていくことでしょう。

 17世紀から18世紀に掛けて活躍した大科学者、アイザック・ニュートンの墓碑には次のようなことが刻まれています。「自然界と自然を司る法則は、夜の闇に包まれていた。神は言った『Let Newton be! ニュートンいでよ!』そして世界は明るくなった。」これは古代ギリシアから続いてきた科学の間違いを正し、近代物理学の基礎を築いたニュートンの功績を讃えた文章で、詩人アレクサンダー・ポープのものです。彼が打ち立てたニュートン力学は、物理学の大きな柱となりました。

 しかし、時代は流れ、このニュートン力学に矛盾が生じ、欠陥が見つけられていきます。そして登場したのが20世紀最大の物理学者であるアルベルト・アインシュタインです。彼は量子力学とともに「20世紀における物理学史上の二大革命」といわれる、特殊相対性理論、一般相対性理論を発表しました。その内容は「ものが縮む」「空間が曲がる」など、一般には非常に難解なものでありました。

 イギリスの批評家ジョン・コーリング・スクワイヤーは、先程のニュートンの墓碑銘に続けて次のように表現しています。「しかしニュートンの業績は長くは続かなかった。『Let Einstein be! アインシュタインいでよ!』すると全ては再び闇に包まれた。」

 皆さんが、学べば学ぶほど、目的達成の前に立ちはだかる壁はどんどん高くなっていくことでしょう。それを乗り越えるには、得た知識を駆使し、如何にそれらを活用するかを考え、どんな複雑なことでも諦めずに解明し、追求し続ける努力必要です。皆さんにはそれができる人物になって欲しいと強く希望し、期待をします。そして、「一人一人が輝く学校」を巣立ち、「一人一人が輝く人生」を歩み続けることを切に望む次第です。

 

 本校は、今年10月に創立70周年の記念式典を挙行します。脈々と続く本校の歴史に、皆さんは個性ある一ページを鮮やかに書き残しました。後輩の1・2年生は、卒業する皆さんの気持ちを引き継ぎ、次の80周年へのスタートを成し遂げてくれるものと信じます。そして高森高校は90年、100年と進化をし続けることでしょう。

 さて、本日御出席の御来賓並びに保護者の皆様方には、御多用の中に、未来ある卒業生に心温まる祝福と激励を頂き、誠にありがとうございます。また、高森町、南阿蘇村からは、物心両面でのご支援を頂きました。彼等はそれらを励みに学習に、部活動に、学校行事にと、精一杯の努力をして参りました。そして本日、この日を迎えることができました。彼等と共に、心から厚く御礼申し上げます。

 なごりは尽きませんが、卒業生の皆さんの前途に幸多からんことを祈念して、式辞といたします。

   平成30年3月1日         

                                                          熊本県立高森高等学校長  光 永 幸 生


            

 

 

 

 

 

 

 

 

3学期始業式 校長式辞

月12日3学期始業式式辞

                                            H30.1.12 光 永 幸 生

 皆さん新年おめでとうございます。3学期の始業式にあたり、私から話をさせていただきます。

 いよいよ3年生は卒業を控え、高校時代を有終の美で飾れるよう、日々充実した時間を過ごして欲しいと思います。2年生、1年生は、大きな学校行事がない3学期に、自分の将来を見据えて、特に学習面に大きなエネルギーを費やして欲しいと思います。

 さて、皆さんはどのように年末年始を過ごしたでしょうか。

 私は毎年教え子の同窓会に呼ばれる機会があるのですが、今年も初任の学校の同窓会で、高森高校の新校舎建設に関わったという教え子に出会うことができました。いろいろな人たちが本校を支えてくれているのだな、という思いとこの偶然の縁に何か嬉しい気持ちになりました。

 年末年始はいろいろなテレビ番組をよく見ました。昨年もお話ししましたが箱根駅伝は必ず観ます。今年、4連覇を果たした青山学院大学のスローガンが「ハーモニー大作戦」、本校と被ってないかな、と思った次第です。

 さて、丁度観た報道系の番組で、ショッキングなことが話題になっていました。日本は今まで例のない「少子高齢化社会」に突入するという話は皆さんも聞いたことがあると思いますが、実際にどういうことが起こると想定されているのかという話でした。「未来の年表」という話でしたが、ここでこれから100年、今まで通りの生活や社会の制度が変わらなければ、どんなことが起こるか、皆さんもちょっと想像してみてください。主なことだけ紹介しますと

 2022年 一人暮らし社会が本格化する。

 2023年 企業の人件費がピークを迎える。

 2024年 社会保障費が大きくふくらみ始める。

 2026年 高齢者の5人に1人が認知症患者になる。

 2027年 献血必要量の不足により、手術等に大きな影響が出る。

 2030年 ITを担う人材が不足し、社会基盤が混乱する。

 2033年 3戸に1戸が空き家になる。

 2039年 死亡者数がピークとなり、火葬場不足が深刻になる。

 2040年 全国の自治体の半数近くが消滅の危機に陥る。

 2050年 世界人口が97億3000万人になり、日本も世界的な食料争奪戦に
       巻き込まれる。日本の社会保障制度の破綻懸念が強まる。

 2053年 日本の総人口が1億を割り込む(9924万人)。

 2059年 5人に1人が80歳以上になる。

 2076年 年間出生数が50万人を割り込む。

 2115年 日本の総人口が5055万5000人になる。

 とてもショッキングな話です。もちろん何もしなければ、なのですが。

 では今から100年前はどんなことがあっていたでしょうか。そこから想像するに当時の人たちは、そこから100年後の世界、つまり現代はどうなるだろうと想像していたでしょうか。

 1917年にロシア革命が起こっていますね。丁度100年前の1918年に第1次世界大戦が終結しました。新しい兵器が導入され、900万人の人が命を落としたとされています。その後の第2次世界大戦では6000万人の人が亡くなったと考えると、本当に争いに明け暮れていた時代でしたが、それがたかだかこの100年に起こっています。日本も第1次世界大戦に参戦していますが、国内では米騒動が起こっていますね。

 この年に今のパナソニックである松下電器が創業されました。創業者の松下幸之助は「これからは電気の時代だ」ということを見通していたようです。

 松下幸之助の言葉に次のようなものもあります。「逆境、それはその人たちに与えられた尊い試練であり、この境涯に鍛えられてきた人は誠に強靱である」

100年前は世界的にも逆境の時代であったといえます。それを科学技術的にも、社会思想的にも、豊かな社会、平和な世界を目指して当時の人々は苦しみながらも相当な努力をして成果を残してきました。もちろん、終着点はなく新たな問題が生じ、また努力を続ける歴史が繰り返されているわけです。

 高森高校の今年の一文字を選ぶならば「進」です。これからの大変な時代を生き抜かなければならない皆さんに、どういう教育活動をすればよいか、いろいろ考えてきましたが、これからも更に立ち止まらず、前進あるのみと思っています。
 

 高森高校は、4月から新しい学習指導体制、進路指導体制を開始します。そのためには、皆さんがSNSの使い方、マナーを始めとした生活面のルールをしっかりと守り、配慮ができ、優しさをもった生徒であることが前提です。詳しくは改めてお話しをしますが、まずは自分をしっかり磨いておいて欲しいと思います。皆さんには将来の悲観的なことを打破して、知恵を絞って、人のために社会のために貢献できる人間になって欲しいと思っています。それぞれのできることは小さなことでも、みんなが少しでも豊かな心を持てるように頑張って欲しいと思っています。これで私の話を終わります。


             


 

 

 

 

 

 

2学期終業式 校長式辞

12月18日2学期終業式式辞

                                                    H29.12.18 光 永 幸 生

皆さんおはようございます。2学期終業式ということで、私から話をさせていただきます。

この2学期は8月23日から本日までの約4ヶ月という長い期間でしたが、高森高校の3大行事である体育祭、文化祭、チャレンジ大会をはじめ、忙しいながらも充実した日々になったのではないかと思います。またそれぞれの行事が外部の方々から大きな評価を頂くことができました。

加えて、2学期は9月に文部科学省指定事業の英語の公開授業、11月には県の高校体育研究会の体育の公開授業、そして12月にあった県指定の「未来の学校」創造プロジェクトによるICTの公開授業と、本校の教育活動を外部の皆さんにご披露する機会がたくさんありました。先生方の研修の一環ではありましたが、同時に高森高校生の学習に対する態度を評価していただく場でもあったわけです。皆さんは緊張した中にも積極的に取り組む姿勢を見せてくれました。いろいろな方々からお褒めの言葉をいただいた次第です。

さて、3年生の皆さんの進路先については早々に全員方向性が決まりました。進学する人はこれからの学習活動の中で、高度な知識や技能を身につけていって欲しいと思うと同時に、就職する人も、これからは「学び」の姿勢が要求される厳しい時代となることを覚悟して欲しいと思います。

先日、ある企業の方とお話をする機会がありました。この方がおっしゃるには、よく言われるAIの波がすぐそこに来ている、ということでした。例えば、銀行やコンビニなどでの窓口的な業務は近い将来無人化され、AIがとってかわることは間違いなく、そのために、現在の社員の皆さんには、今のうちからいろんな業務を覚えて、その会社のために有為な人材となるよう研修を始めているそうです。そういう状況を考えると、高校生の皆さんは、今ある教科の勉強や総学などでの探究的な活動には是非力を入れて欲しいということでした。もちろん、部活動等で、いろんなスポーツ、文化活動で汗をかいたり、生徒会活動、ボランティア活動も含めた、集団の中での人間関係構築や外部の方との交渉などの経験も大事なものとなることは当たり前です。

皆さんには2学期の始業式で、家庭学習の充実を求めましたが、十分達成できたでしょうか。課題は当たり前ですが、自分で求めて、授業の予習や復習をするなど、自ら考え抜いて、次の授業等に臨めたでしょうか。どうでしたか?

これからの学習活動には「主体的・対話的で深い学び」ということが要求されます。このうち、「主体的」という点については、皆さんの姿勢、気持ちの在り方が問題です。またそれには、皆さんが将来のことについて、明確で、本当にそれぞれにあった適切な目標を持つことが大事だと思います。

文化祭にゲストでお出で頂き、落語を披露していただいた三遊亭好吉さんは、紹介にもあったように神戸大学で物理学を専攻されていました。卒業後は大学院の進学が決まっており、将来は研究者の道を歩もうとしておられたそうです。ところが大学4年の夏に、同じ神戸大学出身で早くに他界した天才落語家、桂枝雀のビデオを観て落語家になることを決意し、両親を説得してこの世界に身を投じたそうです。因みに桂枝雀師匠は超人的努力と空前絶後の天才的センスの持ち主で、「東の志ん朝、西の枝雀」とも称され、古典落語の他、英語落語を行うなど、いろいろな挑戦を行った人でもあります。

好吉さんは、「大学時代、物理学はもちろんですが、語学などもっと勉強したり、長期の海外旅行などに行ってもっと見聞を広めておきたかった」と云われています。

私は思うのですが、この教科、科目だけやっていれば、他のものは必要ない、という人がいればそれは大きな間違いです。無駄なものはありません。生きていく上で、いろんな人と会話をし、語らい、一緒に仕事をする必要がでてきます。その際、いろんなジャンルの話も一通り話ができる教養を持っていなければなりません。すべてに専門家になれ、ということではなく、それについていけるぐらいの力を持っておきましょう、ということです。 

それと同時に好吉さんはこんなことも云われています。「何かやろうとすると必ず苦労します。やりたいこととやりたくないことが一緒にやってきます。」

これも同感です。好きなことだけをやれることは絶対になく、好きなことをやるためには、それに伴うやりたくないことを無理してでもやらなければならないのです。それを避けて通ろうとすることは絶対に無理なのです。

皆さんはいつの間にか、そういうことについて我慢することを忘れていた、ということはないでしょうか。やりたくないことも必ず自分の力になるはずです。

この冬休み、皆さんそれぞれがこの2学期を振り返り、冬ゼミや冬学習、部活動等を通して、「主体的な学び」に挑戦してみてください。きっと来年へのいいステップとなることでしょう。

それでは、健康に留意し、ご家族でいい年をお迎えください。これで私の話を終わります。


                                               

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2学期始業式 校長式辞

8月23日2学期始業式式辞

                                                    H29.8.23 光 永 幸 生

 2学期始業式にあたり、私から話をさせていただきます。

 さて、28日間という、他の高校よりは短い夏休みでしたが、皆さんはいかがだったでしょうか。この夏休み期間中も本校生徒がいろいろな活躍をしました。いくつか紹介をしたいと思います。

 まず、高森中央小学校のサマースクールでの学習支援活動がありました。2,3年生の有志で参加してもらいましたが、小学生の皆さんとのふれあい、教えることの難しさなど、とても貴重な体験をすることができたのではないかと思います。

同様に2年生が参加しましたが、高森町の小学生を対象とした英語わくわくキャンプでの学習支援がありました。これは皆さんの英語力を高めることにも大いに役立ったのではないかと思います。

それから先程表彰を行いました吹奏楽部です。7月27日の県吹奏楽コンクール予選、30日の代表選考会を、金賞並びに最優秀賞で勝ち抜き、県代表として大分で行われた南九州大会に出場しました。そしてそこでも金賞を受賞し、またその中のトップの成績ということで最優秀賞に輝きました。このことは、学校だけでなく、地域としても喜ばしいことであったと評価を受けているところです。

 そして、高森町の夏の風物詩「風鎮祭」です。ここでも本校から、吹奏楽部の演奏、総合文化部の書道パフォーマンス、放送部の司会進行、有志による清掃ボランティアなど、本校生が地域になくてはならない存在として活躍しました。実行委員会の方々からも皆さんの活躍とその行動する姿、挨拶など、お褒めの言葉を頂き嬉しく思った次第です。

 残念ながら台風5号の関係で中止になった行事も多数ありました。例えば例年行われている「南郷熟寺子屋」、今年も興味が湧く実験やグローバル的な外国語活動など準備されていただけにとても残念でした。また2年の下田君が代表で参加することになっていた東京大学の視察ツアーもこの台風のおかげで中止となりました。都合がつけば冬休みに実施される可能性は残っていますので、その際にはみんなでその報告を聞く機会をつくりたいところです。

 また、夏ゼミや、3年生の就職、進学へ向けての対策、2年生のインターンシップなど、短い夏休みもみっちりとした充実した時間を過ごしたのではないかと思います。その努力が実ることを期待しています。   

さて、2学期の始まりにあたり、皆さんに強く訴えておきたいことがあります。それは家庭学習時間の充実です。

今、先生方には高森高校の理想の授業を追い求める研究をしていただいています。この授業を「Takamoric Movement」と名付けています。この先生方の授業は、皆さんが家で行う授業の予習、復習の取り組みにより、先生方も皆さん自身も大いに充実して輝きを増すはずです。

ただ、学習というものは言われてやるという状態ではなかなか実力はつきません。しかし、学力がついていなければ、進学しようが就職しようが、イバラの道が待っているだけですし、社会に貢献するということなどは夢のまた夢でしかありません。では学習するということはどういった意味があるのでしょうか。私の専門は数学ですので、数学を例にとり少しお話しをしたいと思います。

小学校で学んだ算数の内容は日常生活に必要不可欠であることは、暗算による計算力や図形的な能力を養ってきたことを考えると、皆さんも理解できると思います。

大学では、最前線の、しかも国際基準の分野の学習、研究を行います。

中学校、高等学校はその中間に位置するものを学びます。実はここにその国の求めている教育水準があります。またその国の将来の国力レベルが伺えます。

自然界の様々な法則や原理は数学を使って記述されます。計算やデータの処理は数学の一分野ですが、情報科学の基礎でもあります。数学の問題を解くことにより、論理力を身につけ、未知の問題に取り組むちからを養うことができます。

もちろん、皆さんが進学する学部や学科、就職する職種によって身につけていく数学の種類や程度に違いはでてきますが、不必要な内容はありません。数学Ⅱで学ぶ三角関数や指数関数、対数関数は生活の至る所で使われていますし、まして微分積分がなければ建築、土木、医療、生活科学などあらゆる分野は成り立ちません。確率を学んでいなければ仕事にならない業種はたくさんあるでしょう。1年生の皆さんはだいぶ2次関数を学習したことでしょうが、2次関数は単にグラフを描くことが目的ではなく、2次関数の性質をもとに、2次方程式、2次不等式などの他の分野との関連を考え、その考えの正しさを論理的に記述することをとおして、数学の基礎の基礎を学んでいるのです。これらの教材の学習をとおして、将来生活する上での大事な力を養成しているのです。

数学についてのみ話をしましたが、どの教科、科目も必要だから学んでいるのです。だから進学するにしても就職するにしても、単に受験のためということではなく、学ぶ必要があるから学んでいるのです。ならば、どんな難しい内容であろうとも、歯を食いしばってどうにかしようと努力しなければなりません。これは授業だけで成就できるわけではありません。皆さんが家庭に帰ってからも学習時間を確保し、努力することで成果が現れてくるのです。

 2学期は、体育祭、文化祭、チャレンジ大会と大きな学校行事が続きます。しかしそのような忙しい中でも学習のペースを崩すことなく、しっかり頑張り、高森高校で何でも挑戦し、“ええとこどり”の高校生活を送ってもらいたいと思っています。特に3年生にとっては大事な日が続きます。自分の一生のことです。覚悟して頑張ってください。

 これで私の話を終わります。


           


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

1学期終業式 校長式辞


1学期終業式式辞

                                                          光 永 幸 生

皆さんおはようございます。昨日はオープンスクールや応急手当・AED講習会お疲れ様でした。1学期終業式ということで、私から話をさせていただきます。

 この1学期、生徒数も増え、賑やかにスタートしたと思っています。部活動では高校総体で陸上競技部の2年連続の南九州大会出場、テニス部が男子団体でベスト16等、先程表彰も行いましたが、いくつのもの部活動がそれぞれの目標を立て、活躍をすることができたのではないかと思います。

また、2年1組の諸君によるTPCの番組制作や1年生の湧水トンネルの七夕祭りの飾り付け、先日の野球部の試合での応援等、グループや学校全体が一体感をもつことを地域に大きく発信することもできたと思います。

 

明日から夏休みに入ります。3年生にとっては、進路目標を達成するために実行に移すときです。進学を考えている人は入試科目や小論文、面接の練習など、就職をする人は本当に自分にあった就職先か、また自分が選んでもらえる人物なるために、等、それぞれの目標に向けて自分を十分磨いてください。1、2年生も自分の将来を考えるにはいい時期です。また、夏ゼミや部活動、ボランティア活動、インターンシップなど、自分を磨く場所はたくさんあるでしょう。

皆さんは「玉磨かざれば光なし」という言葉を知っていますか?これは中国の「礼記(らいき)」という書物に書かれている「玉琢かざれば器を成さず、人学ばざれば道を知らず」に基づくもので、「宝石が原石のまま磨かれなければ美しい光を放たないのと同じように、すぐれた才能や素質を持つ人物でも、努力して自分を磨かなければ、その才能や素質を活かせない」という例えです。英語では「An uncut gem does not sparkle.」(磨いていない宝石は輝かない)というそうです。この夏休み、それぞれで目標を持ち、自分磨きに挑戦して欲しいと願っています。

 来る2学期は、高森高校の3大行事である、体育祭、文化祭、チャレンジ大会が行われます。また、9月29日には英語の研究発表、12月1日にはICTの成果発表を高森高校で行うことになっています。今、いろいろな方面から高森高校は注目をされています。しかし一番大事なことは皆さんが高森高校で活躍し、輝いていることなのです。

昨日のオープンスクールでも来校された保護者の方が話をされていました。「この学校の雰囲気、空気がとてもいいですね。生徒さんたちがとてもいい。」とお褒めの言葉をいただきました。この高森高校の良き伝統を皆さんは次の世代に引き継ぐ義務があります。その引き継ぐ人たちが一人でも多く存在するよう、来年度の入学希望者が多くなるよう、期待をしていますし、皆さんにも是非その発信に協力して欲しいと思います。

それでは健康に留意し、夏休みだからこそ計画的な学習に励み、8月23日の2学期の始業式には元気に、全員そろってここに参集できれば、と思います。これで私の話を終わります。

           


 

 

 

 

平成29年度 熊本県立高森高等学校 入学式校長式辞

    平成29年度 熊本県立高森高等学校 入学式校長式辞

 満開の桜がうららかな春の日差しに映え、時折り吹きゆく風の勢いが、ここ南郷谷への春の訪れを感じさせます。この佳き日に、熊本県議会議員 河津修司様、高森町長 草村大成様、南阿蘇村村長 吉良清一様をはじめ、多くの御来賓並びに保護者の皆様の御臨席のもと、平成29年度熊本県立高森高等学校入学式を挙行できますことは、このうえない喜びであり、光栄の至りであります。

 本日、本校に入学された45名の新入生の皆さん、本当におめでとうございます。また、これまで皆さんのことを一番気にかけ、すこやかな成長を楽しみにしてこられた保護者の皆様のお喜びも一入と存じます。

 さて本校は、昭和23年の学制改革に伴う阿蘇高等学校開校と同時に開設された白水分校と高森分校に始まります。翌24年高森分校に統合され、昭和28年高森高等学校として独立昇格し、今年度創立70年目を迎えます。この間、阿蘇南部地域の教育及び文化の中心的な役割を担って発展を遂げてきました。学舎を巣立った卒業生は7000有余名に上り、県内はもとより全国各地で広く活躍されておられます。

 本校の三つの校訓は、昭和30年9月に制定され、その内容は中国の古典である「中庸」に由来します。

  一番目は「叡智を磨いて真理を探究する」、これは単なる知識だけでなく道徳上の真理、つまり善悪を深く考えて何が正しいかを知り、それを実践していれば心安らかに生きることができるということです。

 二番目は「友愛の心を養い社会の福祉に貢献する」、これは進んで人の役に立ち、社会に奉仕することで自分の価値に気づかされ、生きる喜びを感じることができるということです。

 三番目は「心身を鍛えて困難を克服する」、これは平坦な道ではなく険しい道、高い山を選び、苦しい時に我慢して困難に耐えた後にこそ、人間の生命が輝くということです。

 これらは才能や環境に関係なく、やる気さえあれば実現可能なものばかりです。本校では、その校訓実現の基礎となる実践力育成を目指し、様々な教育活動に取り組んでいます。

  ところで、昨年は熊本地震により多くの方々が大きな被害に遭われました。ここに改めて皆様にはお見舞いを申し上げますとともに、当時迅速な復旧に力を注ぎ、現在も復興に向けて努力をされ続けている関係者の皆様に敬意を表します。現在、Build Back Betterの合い言葉の基、関係諸機関や本日お出での自治体関係者の皆様も全力で復興に向け力を注がれていることと存じます。

高森高校も地域の皆様に教育という分野でどう貢献することができるかと考え、学力保証、進路保証の観点から、普通科高校の存在意義に鑑み、特に高等教育、即ち大学等への進学に向けての、学習のあり方、部活動のあり方、学校行事のあり方等を検討して参りました。そういう意味では今回の入学生は、新しい高森高校の教育システムで、大いに勉強に部活動等に励んでくれるものと期待するところです。

  さて、皆さんはロシアの作曲家ストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」を知っているでしょうか。約百年前、パリのシャンゼリゼ劇場でその初演が行われました。当時としては複雑なリズムと聴いたこともないような不協和音に満ちた音楽で、それを不満に感じた観衆の野次や罵倒、更には客席で激しいもみ合いまで起こり、大きなスキャンダルとなりました。しかし、後にこの「春の祭典」は、その芸術的価値が認められていき、現在では20世紀最高の音楽として演奏され続けられています。ものごとの本質を理解することの難しさを物語る一つの例でしょう。

あらゆる学問やものごとの本質には必ず美しさが存在します。それらは生活を豊かにする力を持っています。ところがそれを実践、表現するどころか、理解すること自体が難解なものも数多く存在します。しかし要、不要に関わらず、その壁に立ち向かうことが豊かな「学び」につながると思います。

 学校の授業時間だけが「学び」の時間というわけではありません。「学び」とは生き方を学ぶことです。そのことが本校の校訓にも謳われています。

昨年の本校の体育祭のテーマは「革命~新たな時代の幕明け~」でした。高森高校は変化の時代に入りました。丁度そのときに皆さんはこの高森高校に足を踏み入れたわけです。難解なものであろうと、学び続けることで、一人一人がそれぞれの夢に出会い、それに向かって努力をし、輝く人生のきっかけをこの高森高校で見つけ、実り多き充実した時間を過ごして欲しいと願っています。

新入生の保護者の皆様におかれましては、改めてお子様の御入学、誠におめでとうございます。本校職員も在校生も新入生の入学を心待ちにしておりました。高校生の成長には家庭と学校の連携はなくてはならないものであります。本校職員もお子様の教育に心血を注ぎ、指導、支援をして参ることをお誓い申し上げます。これからの高校生活において、本校の教育方針や指導に御理解いただきますとともに、御支援、御協力の程お願い申し上げます。

 また、本校は来年の平成30年10月26日に創立70周年式典を行う予定です。今日この席にお越しの同窓生の皆様には、この伝統ある高森高校の更なる発展に努めることをお誓い致しますとともに、新入生、在校生への応援をお願いする次第です。

 最後になりましたが、御来賓の皆様には御多用な中に御臨席賜り誠にありがとうございました。本校の存在意義は地域に根ざした学校、地域とともに歩む学校であると考えております。これまでも物心両面にわたる御支援をいただいておりますことに大変感謝しております。これからも阿蘇南郷谷の拠点校として、高森町、南阿蘇村、山都町蘇陽地区を中心に、更に連携を強め、地域教育の発展に力を注ぐ所存でございますので、どうか本校の更なる充実と振興のため、一層の御厚情を賜りますようお願い申し上げ、式辞といたします。

 

 平成29年4月10日

                  熊本県立高森高等学校長  光 永 幸 生

 

 

 

                

 

 

 

 

 

1学期始業式 校長式辞

4月10日1学期始業式式辞

                                                    H29.4.10 光 永 幸 生

今年度のはじまりの始業式にあたり、話をさせていただきます。

今年の春は例年より寒く、高森でも、まだ桜の開花が遅れたようです。4月2日に、私の高校の同窓会の南阿蘇地区の花見の宴があったのですが、小雨、また雹も降ってきたので、急遽屋内で行うことになりました。そのときも、高森高校のことが話題となり、母校でなくても、地域の方々の本校への期待の大きさを強く感じた次第でした。

さて、本校のスローガン

 「一人一人が輝く学校」

   ~響き渡る学び、優しさ、強さの個性あるハーモニー

は、今年も継続します。

高森高校の良さの第一は、先生方と生徒の皆さんが近い関係にあることだと思います。皆さんの強みを見つけ、そこを伸ばすことができる学校です。つまり一人一人が輝く学校であり、高森高校はそうあることを目指さなければなりません。

しかし、「輝かせてくれる」と思ってはいけません。自分で「輝こう」という意志をも

たなければいけません。それを謳っているのが本校の校訓です。本校の校訓は中国の古典である「中庸」に記された三徳「知」「仁」「勇」から考えて制定されたものです。そして、この「知」「仁」「勇」を優しく言い換えたのが、サブタイトルにある「学び」「優しさ」「強さ」です。これらはどれも大事な道徳的内容を含んでいますし、人として大事なことであると思います。

本来の意味、当時の先生方の先輩のみなさんの思いは、入学式の式辞の中で触れたいと思いますが、現在の皆さんへのメッセージを具体的にいうと

「知:学び」とは、「広い教養と深い論理的思考力を身につける」こと

「仁:優しさ」とは、「コミュニケーション能力を高め、社会性を育む」こと、

「勇:強さ」とは「強い忍耐力と自己解決能力の養成」を目標として、日々精進して欲しいと思っています。

さて、「中庸」とはどんな意味があるのでしょうか。「真ん中」とか「平均」という意味ではありません。どちらにも偏らない、いわゆる「丁度良いところ」という意味があります。「知」「仁」「勇」と言っても、一人一人に合ったバランスがあり、それが個性だと考えます。そしてこれらは「個性に合ったバランスよい人」になって美しいハーモニーを響かせて欲しいという願いになっています。

 改めて、本校の校訓とスローガンをよく理解し、今年度も何事にも大いに挑戦し、失敗してもくじけずに、いろいろな壁に立ち向かっていって欲しいと思います。

 さて、午後からは45名の新入生が入学してきます。多くの新入生を迎えることができ、とても嬉しい限りです。先生方の人数も増えました。高森高校はいろいろな意味で新しい時代の幕明けの時期に来ました。教育課程の変更、県立学校では先駆けて行うことになるICTを利用した教育の推進、総学の時間の新プラン等、教育環境は整いつつあります。しかし、これこそみなさんがあらゆることに対して「自分で考えよう!」「いろいろなものに興味を持ってアクティブに取り組もう!」そして「自ら輝こう!」という気持ちで取り組まないと無駄なものになっていきます。

 皆さんには、この高森高校の生徒であることにプライドを持ち、将来、グローバル的にもローカル的にも有為な人材として社会で活躍できることを望んで、今年度、最初の話とさせていただきます。