本年度の研修体制 1 盲学校の現状について (1)現状と課題   特別支援教育の対象者が年々増加している中、全国の盲学校の在籍者数に目を向けると、在籍者数は年々減少しており、昭和34年に10,264人のピークを迎えた在籍者数は平成30年度現在2,731人(前年度比62人減)である。しかし全国の中には、様々な教育実践や広報等の取組により増加傾向を示す学校も出てきている。本校においても、昨年度から、オープンスクールの開催や各関係機関への広報等の周知活動により、若干ではあるが在籍者数が増加しているところである。   現在、全国の盲学校を取り巻く状況に取り組むべき課題は多く、それらは「幼児児童生徒数の減少」「重複障がいの割合の増加」「交流及び共同学習の推進」「専門性の維持・継承・向上」「職業教育である理療を取り巻く動向」の大きく5つに整理される。 (2)学校教育目標  一人一人の幼児児童生徒の障がいの程度や発達段階に応じた適切な教育的支援や合理的配慮に努め、確かな学力と心豊かに「たくましく生きる力」を身につけ、自立し、社会参加する幼児児童生徒を育成する。 (3)校内の研修体制  幼稚部から高等部まで幅広い年齢層の幼児児童生徒が在籍しているが、各段階での指導法を職員全体で把握し、系統的な指導を学校組織として整えていく必要がある。そこで、学部を越えた「縦の連携」と学部内での「横の連携」をキーワードに視覚障がい教育の専門性の推進を図っている。 2 研修の取組 (1)目標    職員研修を通して視覚障がい教育の専門性の向上を図り、幼・小・中・高   の学部間の連携を深め、組織的に視覚障がい教育の推進を図る。 (2)具体的な取組   ア 職員研修     専門性向上研修では、『盲』『弱視』『重複』の3つのテーマごとに幼・    小・中・高の縦割りグループを編成し、視覚障がい教育における個々の専    門性向上を図りながら、学部を越えた縦の連携を高める。学部・学科研修    では自立活動を軸とした授業研究を行い、学部・学科内の横の連携を密に    する。また、講師招聘研修として、熊本県視覚障がい者福祉協会の歩行訓    練士である東和孝先生、熊本県立松橋支援学校の井上礼治先生を招き、年    3〜4回の自立活動の事例検討会・歩行演習を行う。実際の事例を基に、    自立活動の理論や具体的な指導内容や方法について研修し、授業実践に生    かす。   イ 公開授業     盲学校の幼児児童生徒に育みたい資質・能力を横断的にとらえ、公開授業及び代表授業研究会を通して幼・小・中・高の各学部の系統性のある授業づくりを目的として実施する。各学部で校内公開授業週間を設け、代表者による研究授業・授業研究会を行う。公開授業では職員向けのアンケートを実施し、他学部の職員から授業者へのフィードバックを行う。   ウ 新転任者研修     新転任者を対象に、視覚障がい教育の基礎的な知識を身につけることを目的として実施している。年度初めに3日間の研修を実施し、その後も継続して月3回程度の研修を行うことで、本校に初めて赴任した職員が円滑に教育活動を遂行できるようにしている。