は じ め に  今年、本校に古くからある様々な歴史的資料の整理を行いました。その一部は、4月に開舎となる新しい寄宿舎の一画に展示の予定です。これらの資料をひもとくと、本校の歴史や実践及び研究、幼児児童生徒の活躍の記録、また、全国各地の盲学校の研究集録や記念誌など、いずれも先人の方たちの盲教育、視覚障がい教育に対する熱い思いが伝わってきます。改めて、盲学校としての不易の部分を大切にしなければならないという思いを強くしました。そして同時に、時代の変化に即したこれからの盲学校の在り方を考えていくことが、今、求められていると感じています。  近年、盲学校を取り巻く状況は大きく変わってきています。幼児児童生徒数の減少やその実態が多様化するなか、一人一人の教育的ニーズに応じた学習指導や進路保障、そのための専門性の担保、新学習指導要領を踏まえたカリキュラム・マネジメントの在り方等、取り組むべき課題は多岐にわたります。本校でも、これらの課題一つ一つに対し真摯に向き合いながら、県内唯一の盲学校として、「信頼され、頼りにされる盲学校」を目指し取組を進めているところです。本校に在籍する幼児児童生徒や保護者から信頼され、見えにくさのある幼児児童生徒が学ぶ地域の学校から拠り所とされ、更には、職業自立を目指す中途の視覚障がいのある方たちに選ばれる盲学校でありたいと思っています。  そのために欠かせないのは、やはり視覚障がい教育の専門性です。本年度は、「縦の連携」と「横の連携」をキーワードに、視覚障がい教育の専門性の推進に取り組んできました。縦の連携として専門性向上研修を位置づけ、「盲」「弱視」「重複」の三つの縦割りグループを編制し、それぞれの分野での専門性向上と、学部間の連携強化を目指しました。また、横の連携として学部・学科研修を位置づけ、自立活動を中心とした授業研究を行い、実践力の向上と学部・学科内の横の連携強化を図りました。その結果として、専門性や実践力は着実に高まってきていると思います。しかしながら、それを測る尺度がまだ十分でないことが課題でもあります。今後は、研修や実践の積み重ねをより一層大事にしながら、併せて、専門性の可視化にも取り組んでいきたいと思っています。  本校は、これからも本県の視覚障がい教育を担う学校として、全職員が一丸となり、日々研鑽を重ねながら、視覚障がい教育の充実、発展に努めてまいる所存です。  忌憚のない御意見をいただきますとともに、御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。  平成31年(2019年)3月          校長 松ア聡一郎