進路便り  第3号 令和5年(2023年)1月27日発行 熊本県立盲学校 進路指導部                      本号は、進路指導部で夏期休業中に実施した「保護者施設見学会」の報告の第2回目となります。今回は、熊本市東区戸島にある「社会就労センター ライン工房」についてご紹介します。 1 ライン工房のあゆみ     社会福祉法人 ライン工房は、昭和63年(1988年)、長嶺町(当時)に「地域生活作業所ライン工房」として開所され、30年以上の歴史があります。その年の7月、日本テレビ『24時間テレビ』の協賛で始まった夏祭りは、以後、毎年開かれています。その後、平成7年に社会福祉法人となり、現在、「社会就労センター ライン工房」グループホームの「ゆうゆう館」、委託相談支援事業所「熊本市障がい者相談支援センター 青空」と、展開される事業は多岐に及んでいます。  「社会就労センター ライン工房」では、就労継続支援B型事業、生活介護事業、就労移行支援・就労定着支援事業が行われています。 2 理念と自立に向けて    ホームページによると、ライン工房の理念は、ライン(LINE)の頭文字を取って、Livelihood(暮らし)、Independence(自立)、Normalization(正常化)、Energy(力)という言葉で示されています。障がいの重さに関係なく、地域の中に通う場所があり、そこに協力し支え合える仲間がいて、自分自身の役割がある、そんな空間を利用者に提供したいとの思いでスタートされた事業所です。  ご自身での通所が基本ですが、手段のない方には可能な限り送迎サービスが行われています。熊本市内を中心に、合志市、西原村、益城町からも利用される方がいらっしゃいます。 3 事業内容    @ 就労継続支援B型事業・生活介護事業  利用される方それぞれの障がいに応じてクッキーやパン、焼き菓子、自家焙煎コーヒーの製造・販売を行うとともに、その他事業所からの注文を受けて行う軽作業の仕事が行われています。開所日は祝日を除く平日の9時半から15時半までで、土曜日の開所も月に1日〜3日あります。生活介護事業を利用される方も、「働く」ことを活動の中心に置きたいという利用者さんの思いに応える環境を整えることを心がけていらっしゃいます。定員は、就労継続支援B型が38名、生活介護事業が16名です。  また、作業支援を中心に行うスタッフとは別に、利用者やご家族との相談対応や生活面での支援等のサポートに当たるスタッフが複数名おられ、対応に当たられています。  見学当日は、クッキーの製造・梱包、シール貼り、コーヒーの梱包作業、軽作業として、フルーツキャップの箱詰め、洋服につける紙製のタグの穴に糸を通す作業が行われていました。  お菓子の製造では、利用者の皆さんが作業前にしっかりと着替え・身支度・消毒をされ、衛生管理された部屋で黙々と計量や成形作業をされる様子を見学しました。また、本校卒業生が、クッキーの袋にシールを貼る作業に従事していらっしゃいました。補助具を使い、袋の向きを確認し、生き生きとした笑顔で正確にシールを貼っていらっしゃいました。  軽作業の部屋はとても広くゆったりとしており、利用者の皆さんは自分のペースで穏やかに作業に取り組まれていました。 A 就労移行支援事業・就労定着支援事業  企業で働きたい、就職して給料をもらいたい、といった夢を持った方々のため、働くための心構えや職場でのマナーを学び、実際の企業やお店での職場体験を行いながら、就職に向けて必要な準備をします。支援の内容は、実際の職場で必要な態度やマナーに加え、作業遂行に必要な正確さ、丁寧さ、スピードなどの学習も行います。定員は6名、平成22年度から30年度に修了された18名からは15名が企業等に就職されているそうです。  見学当日は、1つの部屋で仕事のマナーや心構えを学習されていました。皆さん熱心に参加されていて、就職に向け切磋琢磨する積極的な雰囲気を感じました。   【終わりに】  利用者の皆さんが穏やかに落ち着いて、黙々と丁寧に仕事をされていらっしゃる姿が印象に残りました。クッキーの粉の計量を始め、どの作業も一つ一つ正確に一生懸命取り組まれる様子が伝わりました。  重度の障がいがあっても、一人一人に合った働き方を構築し、利用者のみなさんが仕事を通して生きる喜びを見いだして行くことを目指して活動されていることを強く感じた見学会でした。  「ライン工房」の詳しい事業内容・パンフレット等は進路指導部でまとめて保管しています。保護者の皆様、お尋ねの点がありましたら各学部の進路指導部までお願いします。