進路便り 第1号 令和元年5月10日発行 熊本県立盲学校 進路指導部                     今年度も進路便りを通して進路選択や日頃の学習の参考になる情報をお知らせしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。  1 松ア校長より 新緑がまぶしい5月、今年は、1日から元号が「令和」に変わり、例年にも増してこの季節が新鮮に感じられます。10日間という長いゴールデンウィークでしたが、皆さんそれぞれに、時代の節目を感じつつ過ごされたのではないでしょうか。 さて、皆さんは「ブラインドセーリング」という言葉を聞いたことがありますか。平成の終わり、4月21日(日)の朝、「ブラインドセーリングで無寄港太平洋横断成功!」のニュースが飛び込んできました。「ブラインドセーリング」とは、目の見えない人と晴眼者が連携してヨットを操ることを言います。この、歴史的快挙を成し遂げたのは、全盲の岩本光弘さんと晴眼者のダグラス・スミスさんの二人です。そして、岩本さんは、本校の卒業生でもあります。 約2か月間に渡るヨット上での生活は、自然との戦いです。決して楽なものではなかったと思います。しかし、岩本さんにとってそれ以上に苦しかったのは、6年前に同じチャレンジに失敗し、周りから多くのバッシングを受けたことでした。そんな岩本さんを再度このチャレンジに立ち向かわせたもの、それは、岩本さん自身の常に前向きな生き方にあったと思います。岩本さんは、小さいころから弱視で、16歳の時全く見えなくなりました。当時は、「こんな人生なんてつまらない」「どうして自分だけが」といったネガティブな思いばかりだったそうです。しかし、次第に、環境が自分を幸せにしてくれるのではなく、どのような環境にあっても、自分の心の持ち方で幸せになると考えるようになります。岩本さんは、その著書「見えないからこそ見えた光〜絶望を希望に変える生き方〜」の中で、私たちの指針となるような言葉をたくさん記しています。その一部を紹介します。「環境のせいにするのではなく、心の持ち方を変えるだけで、人生は素晴らしいものになっていく。」「100%準備をしたからといって、必ず成功するとは限らない。頭で考えてばかりいるのではなく、まず、行動してみる。」「他人を信じるだけでなく、自分を信じることも大事。そうすれば世界が開ける。」「全盲の私に操船の自由を与えてくれる太平洋から見れば、人生の悩みや苦しみは小さい。」 本校は、今年で108年目を迎えました。長い歴史の中で、多くの人材を輩出し、それぞれの道で活躍されている先輩方がたくさんおられます。岩本さんもその一人であり、その生き方は、本当に素晴らしいと思います。来春、卒業を迎える皆さんは、今、自分の将来について真剣に考えていることと思います。夢や目標を実現するための近道はありません。だからこそ、そこに向かって努力し行動しつづけることが大事だと思います。一日一日を大切に、自分を信じて積み重ねていきましょう。そして、あなたにとっての太平洋に、あなたの船を漕ぎ出していけるよう共に頑張っていきましょう。 2 第27回国家試験について 理療科に在籍する3年生は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家試験を2月に受験します。  今年は、平成31年2月23日(土)あん摩マッサージ指圧師(以下、あマ指師)、24日(日)はり師・きゅう師の国家試験が行われました。  1日目は、あマ指師、2日目に、はり師・きゅう師の国家試験を受験します。試験は本校会議室で行われ、午前9時から午後4時10分まで行われます。問題は、あマ指師150問、はり師・きゅう師が160問の四者択一問題です。 国家試験に合格するには、正答率が60%以上必要になります。合格発表が3月26日にあり、全国の合格率は、あマ指師    86.8%、はり師76.4%・きゅう師78.5%となっています。昨年と比べ合格率が上がっています。 本校では、国家試験の合格に向けて授業時間以外に、放課後や長期休業中などの時間を使って補習を行っています。ただ、国家試験に合格するには、学校だけの勉強だけでなく帰宅してからの勉強も大切です。 受験する理療科の3年生は、毎日、学習する習慣を身につけ、日々の積み重ねがよい結果に結びつくことを頭に入れて頑張ってもらいたいと思います。