進路便り 第2号 平成30年7月13日発行 熊本県立盲学校 進路指導部                     「福祉サービスってよくわからない」、「福祉サービスをどのように利用するかわからない」といった声をよくお聞きします。今回の進路便りは、このような疑問にお答えするために、福祉サービスの基本的な制度についてお伝えします。 「障がい福祉サービスの基礎」 〜サービスの概要と利用方法〜 1 障がい福祉サービスとは 障がい福祉サービスは、障がいのある方や特定の疾患のある方が、地域の中で生活できるように支援するサービスです。盲学校に在籍している生徒は、利用または利用する可能性のあるサービスです。  サービスには、日常生活の介護支援を目的とした「介護給付」と就労やリハビリ支援を目的とした「訓練等給付」に分けられます。では、その内容を見てみましょう。 介護給付              ●居宅介護(ホームヘルプ) ●重度訪問介護 ●同行援護 ●行動援護 ●重度障がい者等包括支援 ●短期入所(ショートステイ) ●生活介護 ●療養介護 ●施設入所支援 訓練等給付 ●自立訓練 ●就労移行支援 ●就労継続支援(A・B型) ●共同生活支援(グループホーム) このようにサービスの種類は13種類もあります。今回は、利用頻度の高いサービスについて説明させていただきます。 同行援護 視覚障がい者がよく利用するサービスです。このサービスは、移動に困難を有する視覚障がいのある方が対象となり、外出する際に、ガイドヘルパーといわれる方が移動に必要な情報の提供や、移動の援護など、外出する際に必要な援助を行います。単に利用者が行きたいところに連れて行くだけではなく、外出先での情報提供や代読・代筆などを行い、視覚障がいのある方の社会参加や地域生活において無くてはならないサービスです。 生活介護 本校の卒業生もこのサービスを利用しており、常に介護を必要とする人を対象に、主として昼間に入浴や排泄、食事などの介護、調理、洗濯、掃除などの家事、創作的活動・生産活動(手工芸や園芸など)の機会の提供などを行うサービスです。 就労継続支援(A・B型) 一般企業に雇用されることが困難な障がい者に対し、就労の機会や生産活動などを提供し、その知識や能力向上のために必要な訓練を行うサービスです。「就労継続支援A型」と「就労継続支援B型」があります。 @就労継続支援A型 障がいにより、企業で働くことが困難な方で、雇用契約に基づき継続的に働くことが可能な方が対象となります。雇用契約を結びますので、最低賃金が保障(熊本県は時給737円)されます。また、社会保険にも加入します。 仕事内容は、クッキーやパン作り、清掃作業、農作物の仕訳など事業所によって様々です。最低賃金に見合った労働能力が求められますので、障がいのない方と同等の速度や内容で働くことが求められます。 @就労継続支援B型 A型と違い、雇用契約に基づく就労が困難な方が対象となります。A型は、高い労働能力が求められるのに対し、B型は、利用者の実態に合わせた作業内容になります。例えば、フルーツキャップを折る、商品にシールを貼る、お菓子の箱を折る、農作物の重さを計るなど事業所によって作業内容は様々ですが、利用者ができる作業をその人のペースで行います。賃金は、1日数百円といった工賃をもらえるところがほとんどです。 2 障がい福祉サービスの利用方法 障がい福祉サービスを利用する場合は、障がい支援区分の認定(介護等給付の場合)とサービスの支給決定が必要です。お住まいの市区町村の役所に行き利用の申請をします。 〜サービス利用の流れ〜 @市区町村へ申請 A障がい支援区分の認定(介護給付の場合) 市区町村の調査員と面接を行い、障がいの程度を調査します。訓練等給付についてはありません。 Bサービス等利用計画案の作成 相談支援事業所が作成する「サービス等利用計画案」を市区町村へ利用者が提出します。 ※相談支援事業所とは 障がい福祉サービスの申請前の相談や申請の時のサポートを行う事業所です。福祉サービスを利用する場合に相談支援事業所を選んでおく必要があります。市区町村の窓口で紹介してもらえます。 C支給決定 障害区分や本人・家族の状況、利用意向、サービス等利用計画案などを踏まえてサービスの支給量などが決まり、支給決定が申請者に通知されます。 Dサービス担当者会議 申請者が利用する全てのサービスの各担当者が出席し、利用者に合ったサービスを提案、サービス等利用計画の作成案が出し合われます。 E支給決定時のサービス等利用計画の作成 サービス担当者会議での案をもとに、相談支援事業所がサービス等利用計画を作成します。 Fサービスの利用開始 申請者はサービス提供事業所と契約を結び、サービスの利用を開始します。サービスの量や内容については、利用開始後も一定期間ごとに確認が行われ、必要に応じて見直されます。 申請から利用までの期間として、一般的に1カ月半程度かかります。サービスを利用するには、相談支援事業所とつながりをもっておく必要がありますので、早めに相談支援事業所を見つけて関わりをもってください。 また、何かご不明な点やわからないことがありましたら、進路指導部までご連絡下さい。 定期的に進路のHP(http://sh.higo.ed.jp/kumamo/)を更新していますので是非ご覧ください。