徒然雑記帖

2018年11月の記事一覧

√1234321=?

 

いつも本校のHPにお越しいただきありがとうございます。生徒の皆さん、3連休、いずれも天気に恵まれましたがいかがお過ごしでしたか?今日から期末考査が始まりました。全力を尽くしてください。

 

ところで、本校のHP、最近1日におよそ1100件(1時間当たり45件)のアクセスがあっています。

今日11月27日は、そのアクセスカウンターに興味を惹く数字が2つ現れました。まず午前8時12分に現れた1234321

 

この数字、ちょっと面白いと思いませんか? 右から読んでも左から読んでも同じ数という意味で。

このような数字を「回文数字」といい、趣味の数学の分野でしばしば研究の対象になっています。このことについては、偶然にも丁度1年前、昨年の11月27日の記事で紹介済みです。(詳しくはこちら → 総アクセス数 842248 → この数字の魅力

 

 

もう1つは、そのおよそ4時間半後の午後12時47分に現れた1234567

最上桁から数字が昇順に並び、何ともいい数字です。

 

ということで、今日はこれら2つの数字について考察してみます。

 

まずは今日のタイトルである √1234321=?

これは数年前の3年生の受験報告書の中にあった、即ち就職試験に出題された問題でもあります。学校では習わないはずの開平法(ルートの近似値を筆算で計算する素朴な方法)の技量を問う問題とは思えません。以下に述べる知識の有無が問われているはずです。

 

111や11111のように1がいくつも並んだ数字を「レピュニット」(repunitrepeated unitの略】)ということについても、今年の7月17日の記事で紹介済みです。(詳しくはこちら → 総アクセス数1111111と7月17日と239

 

その日の記事で、レピュニットに関する頭の体操を3問出題していました。それとも関連する問題になります。

 

回文数である121は11というのはとても有名です。

そこから何か閃きません?

・・・・

・・・・ thinking  time ・・・・

・・・・

分からない人は左の【ヒント】を見て考えてください。

 

もう大丈夫ですよね。

 

4段目の④をみながら、答は1111

 

 

では、数としての1234321を考察してみます。まず素因数分解です。

 

1234321=11×101 

 

従って、その約数は、1, 11, 101, 121, 1111, 10201, 12221, 112211, 1234321の9個。何と約数まで全て回文数になっているのがある意味不気味です。 

 

次に1234567 果たして、これは素数でしょうか?

色々な素数で割ってみました。なかなか素因数が見つかりません。根負けしてネット上の素数判定機にかけてみたら、素数ではありませんでした。

 

1234567=127×9721 

 

ということで、その約数は 1, 127, 9721, 1234567の4個になります。

従って、もし「x+9848x+1234567 を因数分解しなさい」という問題があれば、その答は (x+127)(x+9721)となります。中学程度の因数分解ですが、難しいですよね(..;)

でも、こういう因数分解が某私立高校の数学の入試の1番の集合問題の中に出題されていたのを見たことがあります。勿論、最後の定数項は1234567みたいな7桁の数字ではなく4桁の数字でした。その数字、随分昔のことで正確に覚えていませんが、例えば「x-670x-2019を因数分解しなさい」ならできますか?

2019は来年の西暦です。閃き力を問う問題かもしれません。

答は(x+3)(x-673)です。定数項はわずか4桁ですけれども、当時、因数分解の専門書の中で「高校受験史上最難の因数分解」とか騒がれました。実際、限られた時間で3と673の組み合わせを見つけるのは至難の技かもしれません。

 

知っている人もいるかもしれませんが、1234567のように2つの素数の積として表される自然数のことを「半素数semiprime:【セミプライム】)」と言います。素数は無数に存在するため、半素数も無数に存在することになります。ちなみに最小の半素数は4(2×2)ですし、先ほど取り上げた来年の西暦である2019も(3×673)で半素数です。

 

最後に、今日取り上げた12343211234567の2つの数について、数字の並びをそのままにして、加減乗除等の記号を入れて、今日の日にち11月27日の数字をそのまま並べた1127を作ることに挑戦してみます。

 

12!!!-(!!-(!!!!!-(!!!!=1127 → 11月27日

 

1234!=1127  11月27日

 

「半素数」について

名前がついているぐらいだから、数学、特に暗号化理論の分野では研究の対象になっています。ここでは極々簡単に。

インターネットでやり取りするデータは、常に悪質な第3者に傍受されているという前提で利用しなければなりません。クレジットカードの番号を入力するとき、その番号が盗まれて第三者に不正に使われないかとか心配したことがある人も多いはずです。

そこで、たとえ盗まれても絶対に読まれないように、データを暗号化する必要があります。その時にデータに素数を使った「鍵」を掛けます。2個の素数の積を求めることは簡単ですが、半素数を素因数分解して元の2個の素数を求めることは、その桁が大きくなればなるほど困難であり、そのことが「鍵」の安全性の原理になっています。事実、わずか7桁の数である1234567も127×9721のように素因数分解に苦戦しました。

図書館にある雑誌Newtonの昨年8月号が「素数の神秘」という特集を組んでいて、そこに素数を使った「鍵」について分かりやすく解説してあります。興味がある方は是非ご一読を。

 

追伸

1234567で思い出しました。123456789人です。何の数字でしょう?

昔、私が駆け出しの教員だった頃、新聞の見出しにこうありました。「日本の人口、今日123456789人」

いつの頃だったのかと改めてネットで調べたら、平成2年(1990年)4月3日のようです。ずっと増加傾向だった日本の総人口は、平成16年(2004年)12月の1億2783万8000人をピーク(総務省発表)に減少に転じています。減少のサイクルに入った日本の人口が再び123456789と並ぶのは2020年頃だと言われています。私たちはそのことを報じるニュースをどう受け止めるのでしょうか?

 

【校長】


手巻きウインチの設計図面がこんな形で!

 

いつも本校のHPにお越しいただきありがとうございます。

今日、学校は球磨工フェスタ(文化祭)を開催しています。あいにく、人吉市は産業祭を行っており、地域の中学校も文化祭をしているそうです。出足が心配されましたが、天気に恵まれたこともありお陰様で大盛況です。でも、中学生の皆さんにご観覧いただくことができなかったことは残念に思います。

 

写真は、校内で見つけたカレーのポスターです。そよ風に吹かれて裏面がめくりあがっていました。何と、手巻きウインチの設計製図の図面です。

私は昔、機械科の教師をしていました。前々々任校のことになりますが、3年間の機械科での学習の総まとめとして、卒業製図と称して描かせていたのがこの図面です。寒さに震えながら夜遅くまで描いていた生徒たちのことを思い出しました。

誰が描いた図面か知るよしもありませんが、将来こういう形で文化祭のポスターとして裏面が甦(よみがえ)るとはまさか思わなかったはずです。ある意味、機械科らしい究極のエコかもしれません。

 

話は変わりますが、体育館で行われた午前の部が終わり、校長室に戻りHPを開けたところ、今、午前11時24分現在の総アクセス件数は、1219957

今日11月11日の日にちの数字の並びは1111で、レピュニット数(1がいくつも並んだ数字のこと。repunitrepeated unitの略】)です。

 

ということで、いつものように1219957に加減乗除等の記号を入れて、この1111を作ってみます。

 

121×+√×=1111 → 11月11日

 

あまりにも簡単に出来たので手応えを感じません。もう一つ作ってみます。

 

121995!!=1111 → 11月11日

 

いくつも出来そうな気がします。皆さんだったらどんな式を作りますか?

           【校長】

今日は古典の日

 

月がかわり今日から霜月。空の色のみならず、街の景色のなかにも冬めいた感じが一層漂っている感じがします。

写真は一昨日、多良木高校であった会議に行った際に目にした校庭の木々をパシャリしたものです。さすがは奥球磨、人吉市内より色づくのが早いように思いました。

 

ところで、11月1日は「古典の日」。源氏物語千年紀を記念して10年前の平成20年(2008年)11月1日に京都で宣言されました。何とその2年後の平成22年、国の法律でも制定されました。

「こういうことが法律になじむのか?」と思えるような興味深い法律です。法文を読んだことがある方はきっと少ないでしょうから、全文を引用して紹介します。

 

(目的)

第一条 この法律は、古典が、我が国の文化において重要な位置を占め、優れた価値を有していることに鑑み、古典の日を設けること等により、様々な場において、国民が古典に親しむことを促し、その心のよりどころとして古典を広く根づかせ、もって心豊かな国民生活及び文化的で活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この法律において「古典」とは、文学、音楽、美術、演劇、伝統芸能、演芸、生活文化その他の文化芸術、学術又は思想の分野における古来の文化的所産であって、我が国において創造され、又は継承され、国民に多くの恵沢をもたらすものとして、優れた価値を有すると認められるに至ったものをいう。

(古典の日)

第三条 国民の間に広く古典についての関心と理解を深めるようにするため、古典の日を設ける。

2 古典の日は、十一月一日とする。

3 国及び地方公共団体は、古典の日には、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよ う努めるものとする。

4 国及び地方公共団体は、前項に規定するもののほか、家庭、学校、職場、地域その他の様々な場において、国民が古典に親しむことができるよう、古典に関する学習及び古典を活用した教育の機会の整備、古典に関する調査研究の推進及びその成果の普及その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。

附 則

この法律は、公布の日から施行する。

 

6年前、「古典の日」が法律で制定された時、マスコミでも大きく取り上げられました。当時、「えっ!何でまた法律で・・・?」と、私自身はかなり複雑な思いで受け止めたことを思い出します。

というのも、そもそも「古典の日」が京都で宣言された発端が、源氏物語の執筆千年を記念したものだったので、この法律でいう「古典」とはいわゆる国語で習う(文学の)古典とばかり思い込んでしまったからです。高校のとき、「ラ行変格活用」などでアトピーが出るほど苦しんだ古語文法を思い出し、「国は何と嫌な日を作ってくれたんだ!?」と思ってしまったわけです。

 

それから数年後、どういういきさつだったか忘れましたが、条文に目を通す機会がありました。第二条の「古典」の定義によると、文学だけでなく音楽や美術、演劇・・・と様々であり、「なんだ、そういうことだったんだ・・・(安堵)」と思った次第でした。

定義の後段には、「学術」や「思想」という言葉も出てきます。その視点から考えを巡らせてみると、今皆さん方が少なくとも普通教科で習っていることのほとんど、数学のサイン・コサインにしろ、理科のアボガドロ数にしろ、現社で学ぶベンサムの功利主義にしろ・・・、人類の叡智(えいち)の結晶であり、まさに古典といってもいいですよね。

私、そういうことも踏まえて、入学式の式辞に「古典」のことも触れることにし、毎年次のように話をしています。抜き出しておきますので、文中の「いにしえの賢人の思想」に着目しながら入学式の日を思い出してください。「そんな話、聞いたかな・・・」と思う人がいるかも?

 

・・・(前略)・・・第四次産業革命が社会や生活を大きく変えようとしている今、知識を得ることは勿論ですが、将来の技術者・技能者として数学的・論理的なものの見方や考え方をしっかり身に付けることは必要不可欠です。さらに、異文化やいにしえの賢人の思想に触れることで、自分の心の幅を広げ、それらを基に自分自身の頭で考え、判断し、実行する力も求められます。その意味で、中学までの教師や親から言われてする勉強から脱却し、知的好奇心を持って自ら学ぶ力を身に付けなければなりません。三綱領の中にある好学とはまさにそのような姿勢です。・・・(後略)・・・

 

話を大きく変えます。古典の日である今日11月1日に思いを込めて、朝一番(7時25分)にHPを開けた時の総アクセス数である1209199に加減乗除等の記号を入れて、日にちの数字の並びである111を作ってみます。

 

120)×111 → 11月1日

 

あっという間に式ができて拍子抜けです。生徒の皆さんだったらどんな式を作りますか?

【校長】

 

【注】 中学生の皆さんへ

10=10×10=100 とか 2=2×2×2=8 は御存じのとおりです。高校の数学では、もっとすごいものが出てきます。上に小さく書く数字を「指数」と呼びますが、この指数が0やマイナスのものが出てくるのです。

 例えば、50とか、2-2という形のものです。

 「0乗ってナニ?」「-2乗って・・・!?」

 初めて見る人は、そう思うかもしれません。

それから、なんとこの指数、整数にとどまらず、有理数(二つの整数 a, b (ただしbは0 でない)をもちいて a/b という分数で表せる数)になることもあります。

64(2/3) とかです。3分の2乗とか、もう本当にすごい世界です。このように数の世界が広がることを「指数の拡張」と言うことがあります。

 ちなみに、50は1、2-2は0.25、64(2/3)は16になります。

「・・・何で(?_?)」というのが実感かもしれませんが、高校の数学をお楽しみに。

 

ということで、今日の式の指数にあった(9-9)は0であり、1の0乗は1であることに注意しながら味わってください。

このように、どんな数も0乗すると1になります。今はそう覚えておいてください。勿論、高校ではなぜ0乗が1になるのか説明できるようになるはずです。

最後に・・・、今、「どんな数も・・・」と書きましたが、0(0の0乗)については、「0に0をかけると0だが、0の0乗は1である。果たして??」といった議論になることがあります。このことを理解するためには、高校の数学も越える高度な数学の素養が必要かもしれません。