徒然雑記帖

2017年6月の記事一覧

アクセス数654321→わが身世にふるながめせしまに


  いつも本校のホームページにお越しいただきありがとうございます。

654321とは、6月30日(金)18時17分現在の本校のHPのアクセス件数です。

各桁の数字が綺麗に降順に並ぶこの記念すべき数に達するのは、8月11日頃か?と4月3日にアップした記事の中で予想をしていました。しかし、当時のアクセス数750件/dayの倍近い平均1350件/dayのアクセスが6月になって続いたこともあり、予想よりも40日以上も早く届きました。

ちなみに、654321*1は、各桁の数の和が21(3の倍数)ですから3で割り切れますので素数ではありません。しかし、こういう綺麗な数字を見ると、数字の並びをそのままにして、加減乗除等の記号を入れてみたくなります。どういう数字を作ろうかと悩みましたが、今年も半分過ぎたということで、今年の西暦2017を作ってみようと思いました。

÷4+3×21=2007 (10不足!)

65×(4÷2―1)=2015 (惜しい、2不足)

(6!―54)×3+21=2019 (あれ~、今度は2オーバー!)

【注】 中学生の皆さんへ

3番目の式の中にある""は「階乗」または「ファクトリアル」と読み、詳しいことは高校の数学で学習します。ここに出てくる6!なら、6×5×4×3×2×1を計算します。このようにn!なら、n×(-1)×…×3×2×1の自然数の積を計算します。

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数時間の格闘の後、ついにできました。「やっとできた!!!」と興奮冷めやらないうちに式を忘れないようにメモをしました。ところがです。何とその紙切れを誤ってゴミ箱に捨ててしまいました。焼却炉の中で灰になっているはずです。

色々思い出しながら何度も再チャレンジしましたが、結局できませんでした。こういうのを「再現性がない」と言って、理系の人たちは一番軽蔑するのかもしれないとか思いながら、今とても悔しい思いをしています。

話は変わりますが、新年を迎えると、その年の西暦を織り込んだ整数問題や年賀パズルを作ったり解いたりして楽しむ人たちがいます。

私は昔から小町算*2が好きなので、1から9の全ての数字をこの順に並べて加減乗除等の記号を入れてその年の西暦を作る問題に毎年挑戦しているのですが、これがなかなか苦労します。昨年は2017を作るのに、土日など全部で100時間位は費やしたはずです。苦労の末やっと1つだけできていました。これです!

1+2×34×5×6-7-8-9=2017

年が明けてネット上等で公開される全国の精鋭たちの美しい数式をみると、本当に凄い人がいるな・・・と毎年感心します。一例をあげます。

12+345×6+7-8×9=2017

-1×2+3÷4×5×67×8+9=2017(最初に-[マイナス]okバージョン)

1+(2-3)×4×(5-6)×7×8×9=2017 (括弧もokバージョン)

9-8+7÷6×54×32÷1=2017(逆小町算と呼ばれています)

2018年が半年後に迫りました。生徒の皆さんも2018になる小町算に挑戦してみませんか?

紙と鉛筆があればすぐできます。モチロン、電卓があれば便利です。でも、なかなかうまくいかず、試行錯誤の連続になること間違いなしです。コツは30分やってみてできなければ、一旦全て白紙に戻して別のことをします。そしてまた次の日にやってみるのです。そうすれば意外にできたりします。完成したらすっきり気持ちがいいですよ!その快感・達成感を是非味わってほしいと思います。

私は既に1つだけ完成していますが(12×34×567892018)これ以外で綺麗な式ができたら校長室に見せに来てください。一緒に観賞しながら努力を讃えあいましょう。

【校長】


*1「654321の平方根は何桁の数か」という問題を中学の時の数学で先生が問題に出してきたことがあります。皆さんだったらどう解きますか。確か次のような解き方で「3桁」を導くことを習った覚えがあります。

2桁×2桁の最大数=99×99=9801

4桁×4桁の最小数=1000×1000=1000000

654321はこの2つの数字の間にあるので3桁。ウンウン、なるほどそうきたか(^^)


*2本文の中にも書きましたが、「小町算」とは1から9までの数を1回と、+- × ÷ の計算記号を用いて、100の答えになる計算の式を作る遊びです。

このとき、1から9は順に並んでいることが条件です。34や789のような数も利用できます。きっと小中学校のときにやったことがある人がいるはずです。

下に解答例を紹介しますが、他のパターンを皆さんも頑張って考えてみてください。

12+3+4+5-6-7+89=100    (このような標準的なパターンで101通りあるそうです!)

-1+2+3+4×5-6-7+89=100   (最初にマイナスが付くことを許すパターンは61通り)

(1+23-4)×5×(6-7)×(8-9)=100 (括弧まで許すと一体何通り可能なんでしょう?)

 1÷2×3×4+5×|6-7|+89=100     (さすがに絶対値は反則と言われるかも・・・?)

話は変わりますが、これがなぜ「小町算」と呼ばれるか御存知ですか?

小野小町(おののこまち)は、今から1200年程昔の平安時代の実在の歌人です。幼い頃から歌や踊りはもちろん、琴、書道となんでも上手だったそうです。絶世の美女だったそうで、我が国では、エジプトのクレオパトラ、中国の楊貴妃(ようきひ)と並んで「世界三大美人」と称されることでも有名です。しかし、小野小町が実際に小町算を解いたかどうかは定かでありません。それなのになぜ「小町算」と呼ばれるのか・・・?

いくつか語源が考えられているようですが、小野小町が深草少将(ふかくさのしょうしょう)に「自分のもとに100夜続けて通えば結婚してあげます」と約束し、その男性が99夜通って、あと1夜というところで亡くなってしまった! という話にちなんでいるという説が有名です。

また、美しくならんだ数字を計算すると、これまたきれいな数字の結果(100)が出てくるというのは感動さえ覚え、昔の人(小町算は江戸時代の寛保年間[1743]には既に知られ、そう呼ばれていたそうです)は、そこに絶世の美女、小野小町を彷彿(ほうふつ)したのかもしれません。

100は確かに綺麗な数ですが、完全(100%)という意味で好きな人は多いはずです。100点は何回取っても学校で勉強をする身にとっては嬉しい数字でから。

ちなみに、100(=10=6+8)は10の平方数であり、2つの平方数の和になります。即ち、直角三角形の3辺の比が3:4:5の2倍の6:8:10もピタゴラス数ということです。

生徒の皆さん、100は最初の9つの素数の和(100=2+3+5+7+11+13+17+19+23)とか、100は最初の4つの自然数の和でもある(100=1+2+3+4=1+8+27+64)とか知っていましたか?美しいだけでなく、色々と面白い性質をもった数でもあります。

でも、私は、「こんなものに没頭していると、いつの間にか年を取ることも忘れて、おばあさん(おじいさん)になってしまうよ!」という警告であるという説が一番腑(ふ)に落ちます。ちょっと考えてみると、作る数が大きな数になればなるほど、式を作るのが難しくなってくることが予想されます。ちなみに、括弧や累乗を許さない標準的な小町算で1桁多い1000は、次の1通り(-12+34×5×6-7+8-9=1000)しかないと、コンピュータプログラムで解析したある同好家のサイトにありました。

そういうことを知らずにやっていると時間ばかり浪費するわけです。そのことを踏まえたうえでこの被虐的なネーミング「小町算」の由来を理解するには、百人一首にも取られている小町の次の和歌の知識が必要です。色あせた桜に老いた自分の姿を重ねた歌で、聞いたことがある人も多いはずです。

 

花の色は うつりにけりな いたづらに

  わが身世にふる ながめせしまに


【現代語訳】

桜の花の色は、むなしく衰え色あせてしまった、春の長雨が降っている間に。ちょうど私の美貌が衰えたように、恋や世間のもろもろのことに思い悩んでいるうちに。

【鑑賞等】

【ながめせしまに】「眺め」は「物思い」という意味と「長雨」の掛詞(ダジャレ)で、「物思いにふけっている間に」と「長雨がしている間に」という2重の意味をかけています。

栄え咲き誇った桜の花も、むなしく色あせてしまったわね。私が降り続く長雨でぼんやり時間をつぶしているうちに。(かつては絶世の美女よ、花よと謳われた私も、みっともなく老けこんでしまったものね。恋だの愛だの、他人との関わりのようなことに気をとられてぼんやりしているうちに)

【現代語訳等の出典http://www.rakuten.ne.jp/gold/ogurasansou/hyakunin/009.html

             

小町算以外にも「111×11112321」(答えが12321)なども面白い計算ですが、それはまたいつかの機会に。