徒然雑記帖

2017年5月の記事一覧

613557→5月28日(業平忌・辰雄忌)

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数字の並びをそのままにして、加減乗除等の記号を入れてみたくなりました。

 

613-5!+5×7=528 → 5月28日

 

【注】 中学生の皆さんへ !は「階乗」または「ファクトリアル」と読み、詳しいことは高校の数学で学習しますが、例えばここに出てくる5!なら、5×4×3×2×1を計算することになります。このようにn!なら、n×(-1)×…×3×2×1の自然数の積を計算します。

今回はあまりにも簡単に528ができあがったので唖然としましたが、今日5月28日と言えば文学忌*1の一つ「業平忌」です。

 

その話をする前に・・・

前任校で春休みの宿題に「あなたが一番好きな歴史上の人物を一人取り上げて、その生涯やどのような点が好きなのかレポート用紙5枚程度でまとめなさい」という課題を出される先生がいらっしゃいました。どのような人物が高校生に人気なのかと気になりました。大河ドラマに取り上げられていた平清盛とかかな?と思いながらレポートを見せていただいたところ、徳川家康が多く、意外だな・・・と思った記憶があります。

皆さんだったら誰を取り上げますか。私、今だったら在原業平(ありわらのなりひら)にするかもしれません。でも、業平をよく知らなかった(あまり関心がなかった)高校の頃だったら誰にしただろうとか考え込んだところです。

 

在原業平は、伊勢物語(本校では2年生の国語総合で2学期に学習する予定と聞いています)のモデルとされている実在の人物で、和歌に優れ六歌仙*2の一人でもあります。今から約1,200年前に生きたこの方、天皇の血を引く由緒正しい実在の貴族なのですが、既存の風習にとらわれず、56歳の生涯の中で多くの女性(一説には3,733人)と関係を持っていきます。一夫多妻制の当時の結婚形態を考慮に入れてもスゴイの一言ですが、別にそういう所に憧れるのではなく、反骨の精神で自由奔放に、そして風流に生きたその生き様に心惹かれるわけです。実は、今日5月28日はそんな業平の命日とされる日なのです。

業平が晩年を過ごした京都市小塩の十輪寺では、毎年この日に「業平忌」を営み、平安王朝時代の歌聖業平を偲んでいます。今年は日曜日に当たりましたが、10年ほど前、土曜日だった日にそのお寺を訪ねたことがあります。全国から集まった本堂に入りきれないほど沢山の業平ファンが境内から見守る中、住職が三弦を弾きながらお経(般若心経)を唱え始めると、木漏れ日に薫風が葉影を揺らす中、鶯(うぐいす)のさえずりだけが聞こえ、異空間に迷い込んだ気がしました。

彼が関わりを持った女性たちも、そのことで運命が分かれ、幸・不幸様々な人生を送ったに違いないと、胸に迫るものがあったことも静かに思い出しました。業平が生きた年月よりも1つ多く齢を重ねてしまった今、「貴方にとって恋愛とは何だったのか?」と訊いてみたい気がします。

 

話は大きく変わりますが、作家の堀辰雄が昭和28年5月28日、肺結核のため享年48歳で亡くなっており、今日は「辰雄忌」でもあります。

中には「堀辰雄なんて聞いたことないよ・・・」という人がいるかもしれません。でも、数年前に大ヒットした宮崎駿監督のアニメ映画「風立ちぬ」は見たことがある人も多いはずです。これ、実在の人物である堀越二郎をモデルにその半生を描いたものでしたが、堀辰雄の小説「風立ちぬ」からの着想が盛り込まれていたと知ると、きっと身近に感じるはずです。実際、映画のポスターには、「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」と印刷してありました。

余談ですが、「後期一般入試を受けて入学した1年生は、全員が堀辰雄の『風立ちぬ』*3の抜粋を読んで入学している」と言ったら、驚くかもしれません。

 

実は・・・

この3月に実施された熊本県公立高校入試の国語で、この「風立ちぬ」からの抜粋でしょっぱなの問題が作問されていたのです。「一朝一夕」にふりがなをつける問題がありましたよね!できていましたか?

 

そんなこんなでもうすぐ5月も終わり。衣替えの季節です。夏服への移行期間ということで、ざっと見て8割以上の男子生徒が白い開襟シャツを着ています。

高校総体もサッカーなど先行実施分が始まり、順当に勝ち進んでいるようです。保護者の皆さまには、暑い中ご声援をいただきありがとうございました。

学校の四季の中で皆さん方が一番輝く季節の到来です。文武両道で頑張ってください。                      【校長】

 

*1文学忌(ぶんがくき)とは、作家の命日をその雅号やペンネーム、代表作などにちなんで、その文学的な業績を偲ぶ日としたものです。国文学の専門家の手帳のカレンダーには、文豪の文学忌や誕生日がびっしり書き込まれているとか聞いたことがあります。

もし、皆さん方の中に「桜桃(おうとう)忌」とか聞いて、「太宰治大先生!」とか言い出す人がいたら、相当なファンなのかもしれません。桜桃忌はもうすぐ6月13日、さくらんぼが美味しい頃です。

 

2六歌仙(ろっかせん)とは、平安時代の勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう:天皇や上皇の命によって編集された歌集)である「古今和歌集(こきんわかしゅう)」の序文に名前が挙げられている 6人の歌人をいいます。具体的には、正遍照(そうじょう へんじょう)、原業平(ありわらのなりひら)、屋康秀(ふんやのやすひで)、撰法師(きせんほうし)、野小町(おののこまち)、友黒主(おおとものくろぬし)です。

試験で名前を問われることがあり、「大いに喜べ 小僧の分際(おおいによろこべ こぞうのぶんざい)」→【変換】いにべ 在 などと覚えたものですが、皆さん方はどのように暗記しているのでしょうか?

 

*3モチロン、「風立ちぬ」は「風が立たない」という打消しの意味ではなく、「あっ、風が吹いた!」という意味です。36年前、グリコ・ポッキーCM曲として松田聖子さんが歌った同名の曲が、後に爆発的にヒットしたことがありました。大学生だった当時、友達同士での「風立ちぬってどういう意味だろうね?」という会話の中で、何気に打消しで訳したところ、「あんたの文法、相当ヤバい!」と笑われたことがありました。